音楽ナタリー Power Push - ViCTiM
VALSHE+minato新ユニット 旧知のパートナーとだからできる挑戦
改めて話し合わなくてもわかり合えている
──ViCTiMというユニット名の由来は?
VALSHE まず、頭文字がVALSHEの「V」で末尾がminato「M」というのを決めて、Vから始まってMで終わる単語をminatoがピックアップしてくれたんです。その中で自分たちが打ち出したいものとガッチリ合ったのがViCTiMだったんですよね。
minato 語感もいいし、字面的にも覚えてもらいやすいなって。ロゴはVALSHEのお手製なんですよ。
VALSHE 初めてですね、ロゴを作らせてもらったのは。
minato このロゴには月と太陽というイメージもあるし、“対比”というテーマも表現できて。最初は“「V」始まり「M」終わり”というだけだったんですけど、意外といろんな発見がありましたね。
──ビジュアルワークはVALSHEさんが中心になって進めているんですか?
VALSHE 軸としては自分が担わせてもらっています。ViCTiMというコンセプトに沿った名前が先行してあって、その言葉が意味するところから視覚的な軸が生まれて。後にティザーサイトを公開したんですけど、その時点では具体的な楽曲はできてなかったんです。音作りに取りかかったのは、minatoのアルバム(「ブラックボックス」)が出て、自分のファイナル公演で「(VALSHEとして)一旦足を止めます」と発表してからですね。
──先にビジュアルの部分を進めていくことで、ViCTiMの世界観やコンセプトもさらに明確になった?
VALSHE コンセプトについて明確に話し合ったわけではないんですよ。お互いのソロではやっていないことだったり、まだ出してはいないけれどもともと持っていた要素を合わせることで、新しいものが生まれると思っていたので。
minato 日常会話の中で「こんなことをやりたいよ」という話もしていたし、改めて話し合わなくてもわかり合えているというか。あうんの呼吸ではないけれど、迷うことはなかったですね。
VALSHE 自分としては「ソロでこれをやるとちょっとやりすぎかな」と思うようなこと、1人ではやれないことを全部やりたいなと。それはサウンドでも同じだと思うんです。1人では歌えない歌だったり、いろんな自分の願望をいつも以上に反映させたかったので。“×2”になることでこんなに振り幅が広がるんだ!?ということもすごく多いんですよ。
minato ボーカルの掛け合い、ハーモニーもそうですけど、2人でやることの楽しさ、2人で(ボーカリストとして)前に出ていないとできないことはたくさんあって。曲を構成するときも、そこはテーマとして考えてますね。実際、2人で歌うことで予想以上に面白いことが起きるんですよね。自己満足にならないように気を付けながら、やってる側の楽しさをカタチにしていけたらいいなと思います。
「せっかくのユニットだから」を大事に
──では1stシングル「ゼロサム・ゲーム / ノン・ゼロサム・ゲーム」について聞かせてください。まず「ゼロサム・ゲーム」はすごくアグレッシブなロックチューン。めちゃくちゃ攻めてますね、この曲。
VALSHE そうですね(笑)。
minato 激しい曲をやりたかったんですよね。VALSHEのソロ、minatoのソロがあって「2人でくっついたらおとなしくなったね」っていうのはよくないと個人的には思っていて。生音を生かして、しかも(参加したミュージシャンが)全員暴れられるような曲がいいなって。ベース、ドラム、ギター、ボーカル2人が誰も遠慮しないで、「気を抜いたらやられるぞ」くらいの気持ちでやれる曲を作りたかったんですよ。
──生楽器によるバンドサウンドを主体とした音作りは、デジタル要素を取り入れたVALSHEさんのソロ楽曲とはまったく違いますよね。
VALSHE うん、そうですね。ソロのときもライブではバンドメンバーと演奏することがありますけど、レコーディングの環境はまた全然違うので。今回のViCTiMの制作で「生のドラム、ベース、ギターが入るとこんなに違うんだ!?」って思って。それは(デビューから)6年目にして初めての体験だったし、これはクセになるなーって。
──2人のユニットですが、音作りはロックバンドに近いんですね。
minato それをやってみたかったんですよね。2人で活動を始めるタイミングで「こういう打ち出し方もある」というところも見せたくて。
VALSHE 「これだったらVALSHEのソロでも歌えるよね」とか「この曲、minatoだけでよかったんじゃないの?」と言われないような楽曲というか、「どちらかが欠けたら成立しない」というのは意識してましたね。
minato せっかくのユニットですからね。「せっかくだから」という言葉を大事にしたいなって。
──なるほど。それにしてもこの曲、レコーディングに参加したミュージシャンにとってはかなりハードルが高かったんじゃないですか?
VALSHE minatoはずっとデジタルな環境で曲を構成してきたから、制作の時点では「人が演奏する」ということをあまり考えていないところもあって。もちろん、それを自分でわかっていて(ミュージシャンに)投げているとは思いますけど(笑)。
minato うん。僕はバンドの経験がなくて、作曲を始めたときからずっとDTMなんです。打ち込みでアレンジしているときは確かに演奏のことを気にしていないというか(笑)、「これは弾きづらいだろうな」というところもあって。ただ、「ここは絶対に残してほしい」というフレーズも指定させてもらってるんですよ。そういう部分がないと、自分の表現、個性が薄らいでしまう気がして。特にベースは大変だったと思います。ベースラインを動かすのが好きなので。
VALSHE ミュージシャンの皆さんもヒーヒー言いながら楽しんでるみたいでしたよ(笑)。
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- 1stシングル「ゼロサム・ゲーム / ノン・ゼロサム・ゲーム」/ 2016年2月24日発売 / Being
- 初回限定盤[CD+DVD]2000円 / JBCZ-6041
- 通常盤[CD]1200円 / JBCZ-4022
- Musing盤[CD+フォトブック]3000円 / JBCF-1006
初回限定盤CD収録曲
- ゼロサム・ゲーム
- ノン・ゼロサム・ゲーム
- ゼロサム・ゲーム(Instrumental)
- ノン・ゼロサム・ゲーム(Instrumental)
初回限定盤DVD収録内容
- 「ゼロサム・ゲーム / ノン・ゼロサム・ゲーム」MUSIC VIDEO
- CD制作密着メイキング「ゼロサム・ゲーム / ノン・ゼロサム・ゲーム」
通常盤CD収録曲
- ノン・ゼロサム・ゲーム
- ゼロサム・ゲーム
- ポイズン・アップル・ジュース
Musing盤CD収録曲
- ノン・ゼロサム・ゲーム
- ゼロサム・ゲーム
- ポイズン・アップル・ジュース
- ノン・ゼロサム・ゲーム(minato less version)
- ノン・ゼロサム・ゲーム(VALSHE less version)
- ゼロサム・ゲーム(minato less version)
- ゼロサム・ゲーム(VALSHE less version)
ViCTiM(ヴィクティム)
VALSHE、minatoの2人からなる男女ツインボーカルユニット。2人がともに作詞作曲し、サウンドからビジュアルまで一括で手がけるクリエイターユニットでもある。2015年6月にVALSHEが発表した「ジツロク・クモノイト」の作詞を、プロジェクト発表前にViCTiM名義で手がけ、一部ファンの間で話題に。同年10月に行われたVALSHEのツアーファイナル公演で、VALSHEがソロ名義の活動を休止するとともにViCTiMのユニット活動に移行することを宣言した。2016年から本格始動し、2月に1stシングル「ゼロサム・ゲーム / ノン・ゼロサム・ゲーム」をリリース。