ビッケブランカ×Awesome City Clubが語るライブナタリーでの初ツーマン|現状に満足しない2組が追求するライブの在り方とは

ライブナタリーが主催するビッケブランカとAwesome City Clubのツーマンライブが7月24日に神奈川・KT Zepp Yokohamaで開催される。

この公演に先がけ、音楽ナタリーではビッケブランカとAwesome City Clubのatagi、PORIN、モリシーへインタビュー。お互いの音楽に対する印象、ライブについての考え方、イベントに向けた意気込みなどについて語り合ってもらった。

取材・文 / 森朋之撮影 / 斎藤大嗣

ライブ情報

ライブナタリー “ビッケブランカ × Awesome City Club”

2022年7月24日(日)神奈川県 KT Zepp Yokohama
OPEN 16:30 / START 17:30

出演者

ビッケブランカ / Awesome City Club

チケット

一般販売(ローソンチケット)
受付期間:2022年7月9日(土)10:00~7月23日(土)23:59

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開催に向けて2組からコメントが到着!

肝の据わり方が違うビッケブランカ、いい曲ばかりのAwesome City Club

──ライブナタリー主催でビッケブランカとAwesome City Clubのツーマンライブが開催されます。この2組の対バンは初めてだそうですが、まずはお互いの印象から教えてもらえますか?

ビッケブランカ どこまで本気で言っていいか難しいんですけど……いきなり本当のことを言いますね。

PORIN(Awesome City Club) お! なんでしょう?

ビッケブランカ 初めてオーサムのライブを観たのは、2017年の赤坂BLITZだったんですよ。めっちゃいい曲ばかりだし、PORINさん、atagiさんのボーカルも素晴らしくて。

ビッケブランカ

ビッケブランカ

Awesome City Club

Awesome City Club

atagi(Awesome City Club) ありがとうございます。

ビッケブランカ 素晴らしかったんですけど、途中のMCがものすごくユルかったんですよ(笑)。

PORIN キャー!

モリシー(Awesome City Club) ハハハハハ。

atagi 確かにあのライブのあと、「東京の公演はMCでなかなかいい感触が得られないね」みたいな話をした気がする。

ビッケブランカ でも、とにかくオーサムの曲が大好きだったので、今回ご一緒できてすごくうれしいです。

atagi そう言ってもらえてよかったです。ビッケさんの楽曲やミュージックビデオから感じるのは、二面性なんですよね。鍵盤と歌を中心にしたピュアな楽曲もあるし、トラックをブラッシュアップした曲もあって、その両方を自由に行き来しているイメージがあるので。それがビッケさんのミュージシャンシップでもあるだろうし、うらやましさを感じることもありますね。

PORIN 私は去年の3月に中野サンプラザでライブを観させてもらったんですが、カッコよかったです! 肝の据わり方が違うなと思ったし、カリスマ性がすごくあるなって。

モリシー 以前は静かな曲のイメージを勝手に持ってたんですけど、ライブの映像を観たら、すごくアグレッシブで。そのギャップも印象に残ってますね。

──お互いの好きな曲は?

ビッケブランカ オーサムとの出会いが「4月のマーチ」だったんですよ。めっちゃいい曲でビックリしたし、MVも何度も観ました。

PORIN うれしいです。

ビッケブランカ 「今夜だけ間違いじゃないことにしてあげる」も好きですね。曲もジャケットもすごくよくて。サビの後半のメロディに対するコードの当て方が独特で、フワッとさせることで、暗くならないんですよね。「なんでこうなってるの?」と思って分析してみたんですけど、いろんな音が鳴っていてよくわからなかったです(笑)。あとはやっぱり「勿忘」ですね。それまでのオーサムと違うことをやってるわけじゃないんですよ、あの曲は。ずっとやってきたことを削ぎ落して、きれいな骨だけにしたような曲なんですけど、それが世の中に受け入れられたのも素晴らしいなと。

atagi ありがたいです。作ってるときはそこまで意識してなかったんですけど、確かになかったものを持ってきた感じはないですね。だからこそヒットしたことに納得感があるというか。

PORIN うん。それまでの活動の延長線上にある曲だし、映画「花束みたいな恋をした」のエッセンスもあって。ミラクルがいっぱい重なった曲なんですよね。

ビッケブランカ 実はオーサムのディレクターもよく知ってるんですけど、その人がオーサムの担当になったばかりの頃に、一緒にゲームをしながら話したことがあって。「オーサムは俺が盛り上げる!」って言ってたんですよ。

PORIN カッコいい!

atagi ゲームしながらじゃなかったら、最高にいい話ですね(笑)。

ビッケブランカ そのあと「勿忘」がヒットして、オーサムもどんどんいい感じになって。

PORIN ありがたいです。ビッケさんはプロデューサーの目線を持ってますよね。そこもこれまでのシンガーソングライター像と違うところなのかも。

ビッケブランカ 全部1人でやってるわけじゃないですけどね。まあ、自分でタイアップを取ってきたりはしますけど。

PORIN それ、どうやったんですか?

ビッケブランカ まず「Black Rover」という曲がアニメ「ブラッククローバー」の主題歌になって、すごく聴かれたんですよ。そのあと、同じアニメの第10クールが始まることになって、僕はもう一度主題歌をやりたかったんですけど、当時のディレクターが「もうよくない?」みたいなことを言ってて。そんなのあり得ないから、自分でタイアップ担当の人に連絡して、「次も俺にやらせてください。『Black Rover』でアニメサイドの信頼もあるはずだから、ゴリ押しで!」ってお願いしたら、すぐ取ってきてくれたんです。そのときに作ったのが「Black Catcher」で、やっぱりめっちゃ聴かれて。Spotifyで1億3000万回くらい再生されてますね。

PORIN すごい! ビッケさん、人を動かす力があるんですね。

PORIN(Awesome City Club)

PORIN(Awesome City Club)

音楽の醍醐味は美しさと面白さ

──Awesome City Clubの皆さんが好きなビッケさんの曲は?

PORIN 衝撃を受けたのは、「Ca Va?」ですね。SpotifyのテレビCMで聴いたのが最初なんですけど、「すごい曲だ!」ってビックリして、すぐハマりまくって。私にとってはビッケさんのことを深く知るきっかけの曲になりました。曲のよさはもちろんなんですけど、余裕やユーモアもあって、ビッケさんの人柄が出てるなって。あの曲を歌えるのはすごいと思う。

ビッケブランカ そもそも「あの曲を歌いたいのか?」「『Ca Va?』って言いたいのか?」ということもありますけどね(笑)。

atagi 僕は去年のアルバム(2021年9月発売「FATE」)に入っている「Divided」ですね。誰もが作れる曲じゃないというか、努力や才能もそうだし、音楽的な資質がないと無理だと思うんですよ。ああいう曲を作れて、乗りこなしているのはすごいな、と。音楽の醍醐味って美しさか面白さだと思っていて。「Divided」は“美しさ”ですね。かなり大胆な構成ですよね?

ビッケブランカ 基本、ピアノと歌だけで何もしてないですからね。“美しさと面白さ”って、いいですね。わかる気がする。

atagi 面白さは曲を聴いてるときに発見があったり、裏切られたり、ワクワクする感覚というか。一方で、ただただ美しい音楽にも惹かれるし、その2つが音楽の魅力なのかなと。

モリシー 僕も「Ca Va?」がお気に入りですね。ラジオから流れてきたんですけど、最初は「フランスのバンドかな?」と思っちゃって。途中でQueenみたいなコーラスが入るし、平歌の部分は日本語だし、「なんだこの曲!?」ってビックリしてたら、ビッケさんの曲でした。フランスに行ったのがきっかけで生まれたんですよね?

ビッケブランカ そうなんです。パリに行ったら、みんな「Ca Va?」「Ca Va?」言ってるなと思って(笑)。フランス語の歌詞は友達のフランス人に書いてもらって、発音も教えてもらいました。一番エキセントリックな時期だったかもしれないですね。

モリシー 「Ca Va?」を書いた頃が?

ビッケブランカ そう。今よりも自由だし、“No More Rules”だったなって。

atagi その頃に戻りたいって思います?

ビッケブランカ 戻りたいとは思わないですけど、ちょっと形が変わってるんですよね。今も自由にやらせてもらってるし、そこに“自在”も加わって。ただ、ちょっとやんちゃさが足りない気がするから、それをどうやって加えるか考えています。なんて言うか、いい意味で「どうでもいいやん」みたいな感じがあったんです、「Ca Va?」の頃は。今はちゃんとしてますからね(笑)。

atagi なるほど。僕は作家タイプのソングライターではないから、例えば過去の曲を持ち出して、「ああいう感じで作ってほしい」とオーダーされても作れないんですよ。「これまでのような曲はもう書けない」って、半ばあきらめてます。

ビッケブランカ 僕もそうですね。「Ca Va?」みたいな曲はもう作れないので。作ってもしょうがないし。

モリシー そのときのモードもありますからね。