音楽ナタリー Power Push - Versailles
“耽美派最強バンド”再び出陣
初めて見せるVersaillesの人間味
──バンドの復活を待ち望んでいたファンのリアクションについては、どう感じてますか?
KAMIJO 待ってくれていた気持ちはもちろんありがたいですが、その前に「このメンバーで音を出したい。Versaillesとして新しい曲を書きたい」というところからスタートした部分が大きいんです。実際にステージの上でファンの皆さんの声を聞いて、「これだけ待っていてくれたんだな」と改めて気付かされたという感じですね。
──その後のアクションは、6月に東京・Zepp DiverCity TOKYOで行われたプレミアムショーケースライブですね。
YUKI はい。「この5人で固まってやっていくんだ」という気合いがさらに入りましたね。
HIZAKI 2000人規模の会場でしたが、感覚的には200人、300人くらいのライブハウスのような感じでした。会場全体がすごくアットホームな雰囲気だったし、自分たちも「とにかく楽しもう」という気持ちになれて。ファンの皆さんにも「Versaillesのライブは楽しい」ということを伝えたかったんですよね。
KAMIJO ショーケースライブでは今まで一切出さなかった、Versaillesの人間味をお見せしたかったんです。バラバラになったメンバーがもう一度集まるわけですから、「どういう人間関係があって、復活につながった」のかを示したくて。そのためにはこういうインタビューで語らせてもらうよりも先に、自分たちの姿を見てもらうのが一番だと思ったんですよ。僕たちが一緒にいることで、そこに見えない何かが生まれる。それを感じてもらうことが、本来のバンドのだいご味ですからね。完全復活後の活動に関しては、コンセプトやメッセージを打ち出していきますが、その前の段階として僕たち自身を感じてほしかったということですね。
──なるほど。そして8月7日には千葉・舞浜アンフィシアターでライブが行われました。
KAMIJO “復活の儀式”やショーケースライブとはまったく違って、新曲を含めてこれからVersaillesがやろうとしていることを感じてもらえるライブになりました。
HIZAKI 今後のライブもガラッと気持ちを入れ替えて、引き締めていかないといけないと思っていたので。ライブに向けた気持ちの持っていき方も全然違いますね。
TERU 復活する以上、過去を超えないと意味がないと思ってたんですよ。だからこそ演奏、演出など、あらゆる面で今までの自分たちを圧倒的に超えていかないといけなくて。でも約3年半の間にそれぞれが培ってきたものもあって、期待以上のライブを見せることができたと思いますね。
MASASHI 6月のショーケースライブは普段のワンマンの半分くらいの曲数だったし、いい意味で物足りないところもあって。その分、アンフィシアターでのライブでは現在のVersaillesをしっかり感じてもらえたと思います。以前よりも攻めているし、自分たちの未来を見てもらえるステージになったな、と。
YUKI 3年半前と比べて何も変化がなければ、お客さんもガッカリしちゃいますからね。僕たち5人の“これから”を期待してもらえるライブにしたかったんです。
KAMIJO 自分たちにさらに磨きをかけて完全復活を果たすわけですから、活動休止前の10倍くらいのパワーを持った、圧倒的なバンドになったはず。自分たちは耽美派最強バンドなので、誰にも負けませんよ。
いざ、進軍
──さらに9月14日にはリテイクベストアルバム「The Greatest Hits 2007-2016」もリリース。新曲も収録されますし、ライブだけではなく音源でも現在のVersaillesが体感できるというわけですね。
KAMIJO 復活するにあたって、レコード会社から「ベストを出しませんか?」というお話をいただいて。自分たちとしては新曲を届けたいという気持ちも強かったので、こういう形になりました。
HIZAKI リテイクって、リスナーの立場になるとガッカリする場合もあると思うんですよ。そこはファンの目線も大事にしながら、核となるメロディなどは変えていないんです。ただ、音の重ね方、リズムの取り方などは以前と違っているし、さらにクオリティの高いテイクになっています。インディーズ時代の曲がベストに入るのも初めてだし、新しい曲のような感覚で聴いてもらえると思いますね。
KAMIJO MASASHIくんが初めてレコーディングで弾いた曲も多いよね。
MASASHI そうですね。僕は途中からバンドに加入したので、それ以前の曲はレコーディングに参加していないんですよ。ライブで演奏する中で「自分だったらこういうアレンジにするな」ということも試してきたので、それを音源として収められるのはうれしいですね。
YUKI 楽曲の構成はほとんど変えていませんが、ドラムのフレーズで気になる部分は新しくしてますね。MASASHIくんから「こういう感じにしたい」という提案をもらうこともあったし、新鮮な感覚でやれました。レコ―ディングの環境も変わって、出したい音色をきめ細かく表現できたのもよかったですね。
KAMIJO 何より、メンバー全員の攻めている気持ちが出ているテイクばかりなんですよ。それが馬に乗っている最新のビジュアルにもつながっていて。“進軍”というイメージですね。
TERU レコーディング、衣装決め、撮影など、1つひとつの過程を重ねることで、復活の道筋がはっきりしてきたんですよね。カウントダウンみたいな感覚もあって、楽しいですね。
──もともと明確な世界観を持ったバンドですからね。
KAMIJO 復活後はさらに濃く、鋭くなりますよ。まず、メンバー全員のアイデアがすごく刺激的なんです。例えば制作していても「こんなアレンジするんだ!」と驚かされることばかりで。そういうせめぎ合いこそがVersaillesの一番の強みだし、お互いに高め合うことで、バンドとしてパワーアップしてきたいですね。
HIZAKI 仲がいいとか悪いというのは置いておいて、お互いに尊敬し合えるチームなんですよ。仕事でもそうですが、メンバー同士が刺激し合い、尊敬し合えることが続けていく秘訣だと思うので。
TERU 少しでも足踏みをしていたら置いていかれる感じもありますからね。“我先に”と先頭に向かう気持ちがぶつかり合ってるし、そこで切磋琢磨していて。それがバンドを活性化させている部分もあるでしょうね。個人でせめぎ合ってるだけではなくて、Versaillesとしての見え方も意識しますけどね。
KAMIJO 刺激がないとやらないですからね(笑)。HIZAKIくん、TERUくんはそれぞれほかのバンドでリーダーをやっていた人だし、その2人がステージの前方にいるわけですから。活動休止前はギターの2人に対して「ファンに向かって行ってこい!」という指揮官のような気分があったんですが、今は自分から特攻している感覚もあります。
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- ベストアルバム「The Greatest Hits 2007-2016」2016年9月14日発売 / Warner Music Japan
- 初回限定盤 [CD+DVD] 5400円 / WPZL-31225~6
- 通常盤 [CD] 3240円 / WPCL-12434
CD収録曲
- The Revenant Choir
- The Love from a Dead Orchestra
- Shout & Bites
- Aristocrat’s Symphony
- After Cloudia
- zombie
- Ascended Master
- Serenade
- Destiny-The Lovers-
- MASQUERADE
- Philia
- 新曲2曲
※曲順未定
初回限定盤DVD収録内容
- ドキュメンタリームービー「Versailles復活への道(仮)」
Versailles(ヴェルサイユ)
2007年にKAMIJO(Vo)とHIZAKI(G)が中心となり、“絶対的な様式美サウンドと耽美の極み”をコンセプトに掲げ結成。活動初期は海外メディアのみの取材に応じたことで話題を呼んだ。10月にはドイツのレーベル・CLJ Recordsとライセンス契約を交わし、1stミニアルバム「Lyrical Sympathy」を日本とヨーロッパで同時発売。翌2008年7月には1stフルアルバム「NOBLE」をリリースした。2009年12月には東京・渋谷C.C.Lemonホールのワンマンライブ内でメジャーデビューを発表し、2010年1月20日にデビューアルバム「JUBILEE」を発売。2012年12月の東京・NHKホールでのライブをもって活動を休止するが、2015年に再開。12月に“復活の儀式”と題したライブを東京・Zepp DiverCity TOKYOで行ったほか、2016年8月には千葉・舞浜アンフィシアターで完全復活ライブ「Chateau de Versailles」を実施した。9月には過去の楽曲をリメイクして収録したベストアルバム「The Greatest Hits 2007-2016」の発売を控えている。