ナタリー PowerPush - VELTPUNCH

迎合せずに戦っていく──新作「BLACK ALBUM」堂々完成

VELTPUNCHが通算6枚目となるニューアルバム「BLACK ALBUM」をリリース。2007年の「White Album」、2008年の「Paint Your Life Gray」に続く3部作の最終章にして、よりオルタナティブかつポップさを増した充実の1枚が完成した。

今回ナタリーでは長沼秀典(Vo,G)、ナカジマアイコ(B,Vo)の2人を直撃。アルバムに込めた思いを訊いた。

取材・文/遠藤妙子

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結成13年目で今までやってきたことがつながった

──前々作が「White Album」、前作が「Paint Your Life Gray」、そして今作が「BLACK ALBUM」。ホワイト、グレー、ブラックと続く流れは最初から考えてたんですか?

ナカジマアイコ(B,Vo) いえ、後付けなんです。前作まで全然気付かなくて(笑)。

長沼秀典(Vo,G) でも結果論だけど、3部作として今作が集大成になったかなって。ブラックっていう感じの作品だし。例えば白だったら明るい希望であったりゼロとか無垢だったりってイメージだけど、黒は全部描ききったイメージというか。

ライブ写真

──今作、描き切れてる感じがします。私はVELTPUNCHって90年代と現在をつなぐバンドだと思ってるんですけど、今作はその縦の線がまさにグイッとつながった作品だなと。

長沼 僕ら、結成してから13年目になったんですけど、確かに今までやってきたことがつながった感じはしますね。

──改めてお聞きしますが、VELTPUNCHにとって原点となる音楽はどのあたりですか?

長沼 やっぱりTHE SMASHING PUMPKINS、DINOSAUR JR.などの90年代オルタナティブ、日本だと北海道を中心としたいわゆるエモコアと呼ばれてたインディーレーベルのバンド達ですね。その後、いろんな音楽を聴いてますけど本当に好きなものは変わってませんね。

──そのへんの音楽を聴き返したりしたんですか?

長沼 いや、今作を作る過程で僕は音楽をほとんど聴かなかったしライブハウスにもほとんど行かなかった。最近はPodcastでお笑いばっかり(笑)。雨上がり決死隊がやってるエッチな川柳を詠むコーナーがあるんですけど、そこに応募して採用率が100%だったんです(笑)。この間、初めて採用されなくて。最近はそういう活動を(笑)。

性欲がなくなったら音楽は作れない

──えーっと、今の話とこじつけると(笑)、VELTPUNCHには女性との歌詞が多いですよね。

長沼 あ、そうですね。基本的に性の衝動みたいなものは音楽にも反映させたいなと(笑)。エロはかなり大事です。

──確かにエロな部分と、エロ心があることに自分で傷ついちゃうようなピュアな部分、そういう男の子らしさはなんとなく感じられます(笑)。

長沼 うん。共存してるのか相反してるのかわからないけど、汚れた感じとピュアな感じはありますね。屈折してるのかな(笑)。

ライブ写真

──そこにアイコさんとのツインボーカルによって中性的な独特なムードだったり女性視点が加わったり。

長沼 そういう幅は出せますよね。でもね、エロに戻りますが(笑)、真面目な話、性欲がなくなったら音楽は作れないと思うんです。

──あ、音楽を聴かなかったしライブにも行かなかったっていうのは、その欲望とも関係あるのでは?

長沼 ああ、そうですね。音楽に飢える状況を作らなきゃダメだって思ったんです。今は情報がすごいでしょう。ネットを見ればいくらでも音楽を知ることができて、アレもカッコいい、コレもカッコいいって、そうやって音楽を聴き出すとキリがない。いろんなの聴いてバンドに反映させようなんて思うと結局は軸がブレていくんじゃないかって。例えば料理でも、いろんな食材があったら本当に食べたいものが見えなくなると思うんですよ。本当に食べたいものって、無人島とかで何もないとき「ああ、牛丼食いたい」とか、飢えた状態で初めてわかるものだと思って。だからそれをやってみようと。音楽も聴かずライブにも行かず、ギターもあまり手にすることなく。レコーディングのギリギリまでその状態で。そこから曲を作ったんです。

──賭けでもあるわけですよね。

長沼 ええ。自分から何が出てくるか、下手したら何も出ないかもしれない。それは怖いことだった。

ニューアルバム『BLACK ALBUM』 / 2010年2月17日発売 / 1890円(税込) / EVOL RECORDS / MOONSHINE Inc. / EVOL-1008

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CD収録曲
  1. CRASH CRASH CRASH
  2. クライマーズ ハイ
  3. それは正に蛇のように頭上を蛇行する首都高速が彼女の部屋から太陽を奪った。
  4. Kill the CLUB DJ
  5. Don't spit to your pineapple
  6. FREE FALLING (A dolphin, is there?)
  7. youth
  8. FEEL LIKE A STAR
6th Album“BLACK ALBUM”
レコ発東名阪ワンマンツアー
  • 2010年3月6日(土)
    @名古屋新栄クラブロックンロール

    ローソンチケット Lコード: 40363 (発売中)
    イープラス (発売中)
    店頭販売 (発売中)
    [問] 新栄クラブロックンロール (TEL:052-262-5150)
  • 2010年3月13日(土)
    @東京下北沢SHELTER

    ローソンチケット Lコード:75237 (発売中)
    [問] 下北沢SHELTER (TEL:03-3466-7430)
  • 2010年4月17日(土)
    @大阪福島LIVE SQUARE 2nd LINE

    ローソンチケット Lコード: 51711 (発売中)
    チケットぴあ Pコード: 347-140 (発売中)
    イープラス (発売中)
    [問] 大阪福島LIVE SQUARE 2nd LINE (TEL:06-6453-1985)

全公演共通
OPEN 18:30 / START 19:00
前売 2300円 / 当日 2800円

VELTPUNCH(べるとぱんち)

1997年に長沼秀典(Vo,G)、ナカジマアイコ(B,Vo)らを中心に結成された4人組バンド。下北沢、渋谷、三軒茶屋を中心にライブ活動をスタート。また国内のみならず、「SXSW」など海外ライブも積極的に行い、現地での人気を高めていく。2003年に遠藤泰介(Dr,Scream)、2006年には姫野聖二(G,Cho)が加入。長沼&ナカジマによるツインボーカルが特徴で、時にエモーショナルで激しく、時に繊細なギターロックサウンドが多くのファンを惹きつけている。