V6メンバー論：森田剛編「V6の顔であり天才」

──森田さんは先程の「いつも的確な意見が出てくる」というエピソード然り、研ぎ澄まされた感性を持っている方だと思います。

corin.　本当に天才。自分の役目も、良い悪いの感覚も肌でわかっちゃうっていうか。パッと何かに放り込まれたとき、自分が今何をすればいいかをすぐに察知する。だから今回の曲にしても前の曲にしても、自分の役割をちゃんと把握して、そこにズバッと持ってきてくれた。

──音に関する勘も良いですか？

corin.　とても良い。さらにさっきも言ったけど、V6として6人で踊ることとか、ビデオクリップやライブのことも全部想像して言ってくれるんだよね。

郷太　あのさ、Jリーガーの友達から聞いて「なるほど！」と思った話があるんだけど、彼曰く例えばボールが真ん中にあって2人の選手が同じ距離で立ってたとき、そのボールが取れるか取れないか、つまりどっちがウマいかは実際に試さなくても対峙した瞬間、フィーリングでわかるらしいんです。そういう意味で言うと、剛くんは「音楽」っていうボールを挟んで対峙したときに、俺が珍しく「こいつには負けた」って思う人なんですよ。ボールをちゃんと立体的に捉えてるから、彼が取りに来たなら、任せようって思える。あ、天才が来た！って（笑）。俺は仕切りたがりなんでいろんな現場で音楽制作をコントロールしてきたし、corin.さんとは互角だからこそ楽しいっていう部分もあるけど、剛くんがヒュッと現れた瞬間に「どうぞ！」っていう（笑）。

corin.　（笑）。なんかそういうところあるよね。感性が間違ってないっていう気がしちゃう。

郷太　だから剛くんはV6の顔。そう思う。

──また、森田さんはJr.時代から三宅さんとともに“剛健コンビ”として絶大な人気を誇っていました。郷太さんはこの“剛健”も大のお気に入りだそうですね。

郷太　だってアイドルソングにしかない魅力みたいなものを体現してるのが、剛くん健くんの声だと思うから。言わば下積み期間が長くない、10代半ばから圧倒的な人気と実力があってデビューしたっていう人は最近じゃ少ないから、そこがアイドルとしての2人の、トニセンの3人とは違った意味での凄さ。まさに90'sアイドルの結晶が剛健だと思う。その強さはいつも生かしたいなって意識してるかな。それに、2人が交互にラップしてるのとか、やっぱり女の子は好きなんじゃないかって（笑）。

V6メンバー論：坂本昌行編「プロフェッショナルな侍」

──では最後、リーダーの坂本さんについて。

郷太　坂本さんはみんなも知ってるとおり、ジャニーズでも屈指の歌唱力とミュージカルの座長経験をたくさん持ってるスーパースター。「kEEP oN.」でそのスター性をお茶の間に届けたいっていうのは、最初から俺たち2人のアイデアとしてあったよね。

corin.　ミュージカルはまさしく本物の凄さ。今までの2作で歌唱力の高さも実証されてますよね。坂本さんの「僕はプロとして全力でやるから、あなたたちもプロとして仕事をしてください」っていうスタンスは最初のときからありました。で、彼に本当にプロの仕事をしてもらうとこっちも感動できる。素晴らしい才能とプロフェッショナルな姿勢を兼ね備えた人だと思います。

郷太　だからこそ俺たちもプロとしてベストを尽くさなきゃいけないって思うんですよ。みんな「一緒に作ろう」って思いでやってたけど、坂本さんだけは「一番良いもの持ってきてくれよ」っていう姿勢だから。多分坂本さんや長野さんは、作家がいて、曲を持ってきて、それをきっちり覚えてパフォーマンスで応えるっていう、昭和から続くアイドルの美学を持ってるんですよね。それから、一番年上でキャリアも長い坂本さんが「俺は言われたとおりに全力を尽くすんで」って言ってくれるのは、俺らにとってどれだけやりやすいか。

──そうなんですね。

郷太　彼の前では中途半端なことできない人っていうか、侍みたいな。PV撮ってるときも坂本さんは精神統一してて、現場も良い意味でピリッとするし、やっぱりリーダーだなと思いました。もちろん冗談とかも言うんだけど、いつも背筋がシューッと通ってる感じ。V6っていうグループのフォーマルな部分を担ってると思う。

今、V6は一番面白いタイミング

──おふたりが6人をよく理解し、深い愛情を持って制作に取り組んだことがひしひしと伝わってきました。そもそも、ジャニーズのアーティストが特定のアーティスト / 作家と3度も連続してコラボするというのは異例だったにもかかわらず、それを楽しんで進めたチーム全体がとても音楽的だなと思います。

郷太　俺たちもまず、“にしこりコンビ”に信頼を置いてくれた今のV6スタッフチームにめちゃくちゃ感謝してることは伝えたいですね。自分の理想は、「初期の光GENJI / CHAGE and ASKA」の関係のように、ダンスパフォーマンスに長けたアイドルと、力があり顔の見えるミュージシャン / ソングライターの数曲にわたるリレーションシップなんです。1曲だけだとどうしてもその場限りの関係になってしまうから。だからセクバニ以降の“にしこりコンビ”とV6の流れは、僕が10代の頃からの理想の結実だったんですよ。音楽的なディテールを全て任せてくれて、逆に僕らができない調整や交渉を一手に担ってくれた、スタッフの皆さんには本当に感謝してます！

──V6は今、グループとしても良い状態なんですかね？

郷太　とにかく6人が仲良いし、みんなV6のことが好きだからね。イノッチや健くんが言うには「今が一番楽しい」って。僕から見ると今のV6は、楽しんで音楽作りをしてる。そう伝わってくるグルーヴがある。だから僕らが参加する前の「only dreaming」、そして「Sexy.Honey.Bunny!」「バリバリBUDDY!」「kEEP oN.」が入る次のアルバムが僕自身も楽しみ。

──私もすごく楽しみにしてます。

郷太　ナタリーをチェックしてるような人には、例えばSTEELY DANとかマイルス・デイビスがむちゃくちゃ好きだけどPerfumeファンとか、60年代のブリティッシュロックがすごい好きだけど今ももクロにハマってるとか、そういう人もいっぱいいると思うんだけど、V6は今ジャニーズの中でそれが珍しく成り立つグループなんじゃないかな。音楽的にもものすごく面白いし、なおかつパフォーマンス力が飛び抜けてるって自分では思うので。

──こうして他者が語ることで、より多くの音楽ファンに彼らの魅力が伝わったらいいですよね。

郷太　すごくそう思う。彼らのストーリーはまだ途中なので、今、次のアルバムの流れに目を向けるとかなり楽しめるんじゃないかな。物事が増幅して倍々になっていく瞬間ってめちゃくちゃ馬力があるじゃないですか。V6は元々すごくキャリアのあるグループでヒット曲もたくさんあるんだけど、また新しいページに入ったところに今いるから、一番面白いタイミングだと思うんです。だからまだ全然遅くない。みんなで楽しんでいる感じがより一層、幅広い人たちに伝わるといいなと思います。