音楽ナタリー PowerPush - ウソツキ
未来へ進むために僕たちが見つけた魔法
今まで言えなかったことを胸を張って言えた
──ちょっと話が前後してしまうんですが「時空間旅行代理時計」を聴いたとき、“いちにのさんの魔法でまた会えるさ”っていうフレーズに聞き覚えがあるなと思ったんです。これってもしかして、自主制作盤の「雨降るバス停」に入っていた「1、2、3、」の歌詞から引用したんですか?
竹田 そうです。「1、2、3、」は曲の中で“忘れよう”って何度も言ってるけど、本当は忘れたくないという気持ちを表現している歌なんです。忘れるということは失うことで、それは恐怖でもあって。
──そうですよね。
竹田 最初は「時空間旅行代理時計」も前に入っている4曲と同じように、葛藤を抱えた人が答えを探し続けてる姿を描こうとしていたものだったんですけど、曲を書いていくうちにその葛藤に対する答えが見つかったんです。それが音楽だったんですよね。懐かしい曲を聴いたら、その曲を聴いていた頃の記憶がポンとよみがえることってあるじゃないですか。それがあるなら一度忘れてしまっても、曲を聴いたら思い出せるんだって割り切ってしまえば忘れることも怖くない、大丈夫なんじゃないかって思えた。今話したような考えが「時空間旅行代理時計」には込められているんです。
──確かにそういう経験はありますね。竹田さんは昔撮った写真を見返して思い出に浸るように、曲を聴いて昔の記憶を思い出すことができるとわかったという。
竹田 そうですね。だからこそ「新木場発、銀河鉄道は行く。」の最後に、主人公が葛藤の答えを見つけることができた「時空間旅行代理時計」を入れたかった。そうすることで、前4曲の主人公たちの気持ちを救ってやれる気がしたんですよ。「過去から届いた光の手紙」で歌っている少年時代に抱いていた好奇心や、「綿飴とりんご飴」で歌っている楽しかった過去も、ちゃんといつでも思い出せるんだよって言えた気がして。
──1つ答えが見つかったことで前に踏み出すことができたんですね。一歩踏み出せたことで、竹田さんの書く曲も変わっていくんですか?
竹田 うーん、僕って見返りを求めてると思われるんじゃないかとかいろいろ考えてしまって、なかなか人に優しくできないんですよ。一般的に優しいとされているメッセージを伝えること、例えば「大丈夫だよ」とか「がんばれよ」とかそういう言葉を根拠もなく言ってしまうことは無責任だと思うんです。だって僕はお金をあげられないし、手もとってあげられない。ただ音を出すだけなんです。だけどこの曲で、今まで言えなかった無責任なことを胸を張って言えた。そこがソングライターとして僕自身が一歩踏み出せた部分だと思っているし、そのおかげで歌えることがこれから増えていくと思います。
下を向きがちだった人が“若干”上を向けるアルバム
──「時空間旅行代理時計」はウソツキというバンドが先に進むためのきっかけにもなったということですね。
竹田 そうです。とにかくアレンジにしてもそうですし。うん、きっかけだな。
林山 その曲が入った「新木場発、銀河鉄道は行く。」っていうアルバムを作れたことによって、すぐに次を見ながら音楽活動をできるようになったというか。このアルバムがこれからのウソツキをすごく後押ししてくれるんじゃないかなって思っています。
藤井 今までのウソツキっぽい曲もあるし。未来を感じる曲も入ってていい具合になったなって僕も思っています。今までとこれからが詰まっている作品ですね。
──タイトルにもわざわざ「行く。」を付けたわけですし。
竹田 「金星人に恋をした。」を作っていた頃のずっと過去しか見られなかった僕が、今「新木場発、銀河鉄道は行く。」という進行形のタイトルを付けられたことはすごい進歩というか。未来に行きたいという気持ちの詰まった作品になりました。
林山 自信作と言える最大の理由はそこかもしれないですね。いろんな要因はあるんですけど。
吉田 今までの僕らの曲って、救いがあるものが少ないんですよ。ほとんどの曲でどうしようって悩んでて、最後にちょっと救いがあったりなかったりぐらいな感じ。ここから抜け出せるかもしれないっていうのは見せるけど、超ハッピーエンドっていう曲がない。
林山 でもそれ言っちゃうと、今回のアルバムも別に救いはないんですよ。「時空間旅行代理時計」って表面上すごく前向きな歌なんですけど、「また会えるさ」って歌詞もあるわけだから過去には引っ張られてるよね。抜け切れてはいないというか。
竹田 うん。無理やり前を見てる感じね(笑)。
林山 でもその感じがすごく竹田さんらしいし、そのらしさがウソツキの音楽に表れているような気がするんですよ。
竹田 僕の書いた曲を聴いて、完全に僕と同じように思ってくれた人は今までいないので、深読みして聴いてくれるくらいがちょうどいいなって。そうしてもらえたらいいなと思ってます。
林山 そうだね。聴く人によっていろいろ感じてほしいです。聴き込んでもらって、「こういうメッセージもあるんだ」とか「こういうことが言いたいんじゃないか」っていうところまで辿り着いてくれる人がいたらそれはすごくうれしいし、深読みした結果として僕たちが考えもしなかったような答えがあったりしたら面白い。
竹田 回しすぎて盤面が真っ白になるまで聴いてください(笑)。
林山 まあ盤面が白くなるコンポで聴いてるなら早く買い変えたほうがいいですけどね(笑)。
竹田 うん(笑)。でも下を向きがちだった人が“若干”上を向けるアルバムですよ。
- 2ndミニアルバム「新木場発、銀河鉄道は行く。」 / 2015年1月21日発売 / 1620円 / DAIZAWA RECORDS / UK. PROJECT / UKDZ-0160
- 「新木場発、銀河鉄道は行く。」
収録曲
- 新木場発、銀河鉄道
- 過去から届いた光の手紙
- 一日だけヒーロー
- 綿飴とりんご飴
- 時空間旅行代理時計
ウソツキ ワンマンライブ
超USOTSUKA NIGHT
2015年4月1日(水)東京都 下北沢CLUB Que
OPEN 18:30 / START 19:30
料金:前売2500円(ドリンク代別)
青春割:ライブ当日の時点で18歳以下の来場者に会場で1000円キャッシュバック
1月21日発売「新木場発、銀河鉄道は行く。」に先行予約チラシ封入
受付期間:2015年1月21日(水)18:00~2月1日(日)23:00
「新木場発、銀河鉄道は行く。」リリース記念インストアツアー
- 2015年2月7日(土)
千葉県 タワーレコード千葉店 イベントスペース
START 15:00 - 2015年2月11日(水・祝)
宮城県 タワーレコード仙台パルコ店 イベントスペース
START 17:00 - 2015年2月14日(土)
大阪府 タワーレコード難波店 イベントスペース
START 19:00 - 2015年2月21日(土)
東京都 タワーレコード渋谷店 1Fイベントスペース
START 17:00 - 2015年3月21日(土・祝)
広島県 タワーレコード広島店
START 19:00
ウソツキ
竹田昌和(Vo, G)、吉田健二(G)、藤井浩太(B)、林山拓斗(Dr)から成る4人組ロックバンド。歌を軸にしたポップなナンバーを得意とし、都内のライブハウスを中心に活動している。竹田が高校生の頃からオリジナル楽曲を作り始め、2011年2月にウソツキとして活動を開始。2012年3月に自主制作盤「雨降るバス停」をライブ会場限定でリリースし、2013年夏に現在の4人編成となった。2014年4月に東京・下北沢MOSAiCにて初のワンマンライブ「SUPER USOTSUKA NIGHT」を開催。6月に初の全国流通盤「金星人に恋をした。」をUK.PROJECT内のレーベルDAIZAWA RECORDSより発表し、インディーズデビューを果たした。8月にはUK.PROJECT主催のライブイベント「UKFC on the Road 2014」に出演。2015年1月21日にミニアルバム「新木場発、銀河鉄道は行く。」をリリースし、4月1日に2度目のワンマンライブ「超USOTSUKA NIGHT」を東京・下北沢CLUB Queにて行う。