「風間公親－教場0－」主題歌の“目線”の正体は

──もう1つの表題曲は、木村拓哉さん主演のテレビドラマ「風間公親－教場0－」の主題歌「心得」です。単発ドラマとして放送された過去の「教場」シリーズはご覧になっていましたか？

はい。ずっと観ていたのでお話をいただいてすごくうれしかったのと同時に、大きなプレッシャーもありました。それで今回の台本と合わせて過去の作品ももう1回観直してみて、そのままの感情でピアノに向かったら、すぐにいくつか曲が浮かんできました。

──「教場」シリーズのどこに魅力を感じますか？

風間（公親。木村拓哉演じる主人公で若手刑事を指導する刑事指導官）の人間性です。指導相手に思うことがあっても口に出さずに導いていく姿勢や、1人ひとりがなぜその道を選んだのかという背景に目を向ける。そこに胸を打たれました。

──ものを教えるうえで、むやみに口出しをしないというのはすごく難しいですよね。

そうですね。見守ることが一番難しいと思うので、風間の姿勢は本当にすごいなと思います。あと私は、新人の頃の風間がどんな人だったのかにすごく興味があって。子供の頃からどのようにして育ち、どんな志をもって刑事を目指し、今ここにいるんだろうということが気になっています。

──今回は風間の目線で曲を書こうと思われたんですか？

そう受け取ってくださる方が多いと思うんですけど、風間のように誰かを見守る人、第三者的な視点で書いた……という感じです。過去の「教場」シリーズの中で、訓練している道場に大きく「心得」と書かれた張り紙があり、それが記憶に残っていました。

──なるほど、道場に掲げられた心得のイメージなんですね。この曲は、「君はこの先も間違うことがある、それもちゃんと悔いながら進みなさい」と伝えていて、間違いや後悔も含めて「心得」というのがすごくいいなと思いました。

ありがとうございます。「意志あるところに道は開ける」というリンカーンの言葉がありますが、ドラマはそこを引き出そうとしていることがすごく伝わってきたので。

──この「心得」は、ドラマの初回放送でサプライズとして流れましたね。

すごくドキドキしました。主演の木村拓哉さんがドラマの完成披露舞台挨拶で「主題歌がある」ということを話されていて、それを受けて皆さんがいろんなアーティストを想像しているのがすごいプレッシャーで。

──木村さん主演の月9ドラマといえば、数々の歴史もありますしね。

物心ついたときから木村さんが主演されている月9を全部観てきているので、自分がその主題歌を歌わせてもらうというのはちょっと信じられなかったです。

タイアップ作品の世界にいる間にすべてを終わらせる

──ところで、これだけタイアップが続いていると、制作期間がかぶることはないんですか？

あります。私は学生時代からテスト勉強も入念に計画して臨むタイプだったんですけど、曲作りも同様にマネージャーさんとアプリでスケジュールを共有し、その通りにやっています。午前中はこの曲の構成を考えて、午後はこの曲の歌詞を考えて、という感じで。

──時間を区切りながら進めるんですね。

そうですね、何曲も同時進行で作る場合は、何も考えつかなかったとしても時間がきたら次の曲にいく。頭がいっぱいになってるときって、別の刺激があるほうが気分が切り替わって、もとの作業に戻ったときにいいアイデアが出たりするんです。

──行き詰まったときは別のことをしたほうがいいって言いますよね。

景色が変わるといいみたいですね。私は歩いたり、車や電車に乗って外を眺めていたりするとアイデアが出てくることが多いです。そういうときは忘れないうちに、人がいないところを探してレコーダーに吹き込みます。大きな声は出せないのでレコーダーに顔をすごく近付けて（笑）。

──Uruさんは多くのタイアップを手がけられていますが、制作の仕方において変化などはありますか？

あまり変わってないと思うんですけど、タイアップ曲を作るときは、その作品を自分の中に浸透させる作業に時間を使ったほうがいいということに気付きました。楽曲制作に向かう前に一度どっぷりと作品に浸かって、その濃度が最も高いときに制作に向かう。そして、その世界にいる間にレコーディングまですべてを終わらせるのが一番いいみたいです。

──なるほど。今後もいろんな作品とのタッグを楽しみにしています。さて、これから夏の盛りまでツアーが続きますが、Uruさん、夏はお好きですか？

昔は大っ嫌いだったんですけど、ここ2、3年、好きになってきました。夜になってもすぐに暗くならないのがいいなと。

──夏のレジャーのご予定は？

アウトドアをするタイプではないんですが、夏らしいこともしたいなと思っています。花火とか、海に行くとか。

──そこから夏の歌が生まれるかもしれませんね。

そうですね。私の場合、夏の歌も湿度がちょっと高めかもしれません（笑）。