高音ボーカルは垂直飛びに似ている
Tom-H@ck 徹底的に高音にこだわるウォルピスさんが、どういうライブをやっているのかはすごく気になりますね。
ウォルピスカーター 実は僕、けっこうライブが苦手というか、あまりライブに積極的ではないんです。
オーイシ え、そうなんですか!?
ウォルピスカーター 視聴者のみんなは高い声のウォルピスカーターを観に会場に来てくれるんですよ。でも僕、ライブで実際にそこまで高い声でバンバン歌えるわけではなくて。レコーディングはあくまで作品というか、何度も何度も繰り返し歌って1曲を作り上げているので。
オーイシ それわかるなあ。音源として完成している曲をライブでやる必要があるのかというのは、表現者としてすごく考えるところですよね。だから僕は「ライブをやりたくない」という意思もすごく大事だと思うんです。
Tom-H@ck でも先日は豊洲PITでワンマンライブを開催したんですよね?
ウォルピスカーター はい。ただ「キーを下げた僕の歌を聴いてお客さんはどう思うんだろう」とか考えてしまうと、なかなかライブをポジティブに捉えられなくて……。
オーイシ その気持ちすごくわかる。僕は「仮歌ツアー」といって、提供曲のセルフカバーを披露するライブをソロ名義でやっていて、女性アーティストへの提供曲はキーを下げて歌うんですよ。歌う前は「キー下げて歌ってみんなに喜んでもらえるのだろうか」みたいに考えるんですけど、実際にライブが終わったあとエゴサしてみると、キーを下げて歌っても7割ぐらいのお客さんはそもそも気付いていないですね。
一同 (笑)。
オーイシ だから僕はレコーディングバージョンとライブで最大限の美しさが表現できるバージョンの2つがあっていいと思うんです。
ウォルピスカーター あ、それ僕も同じようなことを思ってました。
オーイシ 僕、高音を出すのって垂直飛びに似てると思っていて。要は人間のフィジカルの限界に挑戦するアスリートと一緒なんですよ。ただ、垂直飛びの選手はものすごく集中して1回か2回のジャンプにすべてを込めているんですよね。ハイトーンボイスもそれと同じ。喉のケアは必須だし、発声の練習とか、喉を温めてようやく達成できるものなんです。なのにライブは2時間ぐらいあるわけですから、何度も何度も垂直飛びを求められる感覚なんですよね。
ウォルピスカーター 確かに、高音へのチャレンジを続けているとなんだかアスリート的な感覚になるときはありますね。
オーイシ ウォルピスさんは音源とライブの中で自分をどう表現するかものすごく考えていると思うし、模索している最中だと思う。それは1人の表現者として正しい姿だと思います。
お互いのカバーから大喜利まで
ウォルピスカーター 僕は自分のライブを「株主総会」と呼んでいるんですけど、この間はライブ中に謝罪会見を開いていみたんです。「キーを下げて歌ってすみませんでした!」って。
Tom-H@ck 自分で言っちゃうんだ(笑)。
ウォルピスカーター もう開き直ったほうが面白いかなと思って。
オーイシ 株主たちはどういう感じなの?
ウォルピスカーター 特に非難の声とかがあるわけではなくて、「まあ、こんなもんか」と大目に見てくれていると思います(笑)。
Tom-H@ck じゃあもう悩む必要もないじゃん。株主がOKだったら大丈夫だよ。ツーマンライブでもやりましょうか? 記者会見。
オーイシ 僕、謝罪することいっぱいありすぎてどれを謝ったらいいか……。
一同 (笑)。
Tom-H@ck でもライブを1つのエンターテインメントと捉えてお客さんに楽しんでもらおうとしているのは、OxTのライブに通じるところもありますね。
オーイシ うん。我々のライブでは2時間で7曲ぐらいしかやらないからね、
ウォルピスカーター え⁉ ライブ中、何やってるんですか?
Tom-H@ck 基本的にしゃべってますね、ずっと。あとパターゴルフしたり、けん玉したり……。
オーイシ バラエティ感覚というか、いろいろなことに手を出してお客さんに楽しんでもらおうとしていますね。
──今回のライブではファンから2組へのコラボ案を募集しているんです。今日は当日にどんなコラボが実現するかもお話しいただければと思っていまして。
Tom-H@ck いろいろありますね。「『UNION』を一緒に歌ってほしい」。いいですね。
オーイシ いくつかリクエストが来ている「アスノヨゾラ哨戒班」を歌うのは、僕にはちょっと無理かな……。
ウォルピスカーター 大丈夫です。僕もライブで歌えませんから(笑)。
──アニメ「オーバーロード」の主題歌をコラボしてほしいという声も多いですね。
ウォルピスカーター 僕、「オバロ」大好きなんですよ。小説、マンガ、スピンオフのマンガ、全巻持ってます。
オーイシ ガチのファンじゃないですか。「オバロ」の曲はぜひ一緒にやりましょう。
──OxT名義の曲ではありませんが「ようこそジャパリパークヘ」のリクエストもいくつかありますね。
オーイシ うれしいですね。ありがたいです。
ウォルピスカーター 「大石さん作詞作曲のオリジナル曲をウォルピスカーターに歌ってほしい」というのもありますが、これは……。
Tom-H@ck いやあ、オリジナル曲の発注はお金かかりますよ。
オーイシ そんなに高くないですよ(笑)。Tomさんのアレンジ料のほうが高く付きます。
ウォルピスカーター (笑)。
──曲のリクエストだけではなくて、バラエティ的な内容のリクエストも入っています。例えば大喜利。
オーイシ しかも大喜利が2通届いてますね。僕らはいったい何を期待されているんだ。
ウォルピスカーター 「OxT名物 リフティング対決」というのは……?
オーイシ 我々2人ともサッカー部なんで、ステージ上でリフティング対決をしたことがあるんですよ。
ウォルピスカーター そうなんですね。僕がやったらおそらく1回か2回だと思います。
オーイシ リフティング対決でどっちが勝ちか決めましょうか。
ウォルピスカーター 絶対負けちゃう(笑)。
──「クイズトムモネア」というリクエストもありますね。
Tom-H@ck トムモネアは、「OxTの日」というライブで行われている恒例のクイズですね。「Tom-H@ckはマンションの何階に住んでいるでしょう?」みたいな質問でどんどんプライベートが暴かれてしまうという。
ウォルピスカーター それめっちゃ面白そう。対バンというのもあって、やっぱり対決系のリクエストが多いですね。
オーイシ お互いの持ち曲をセッションするっていうのは、ベタだけどすごく盛り上がるからやりたいですね。僕は以前ナタリーさんの主催イベントでPENGUIN RESEARCHと対バンしたんですけど、「ようこそジャパリパークヘ」をバンドに演奏してもらって歌ったときはめっちゃ盛り上がりましたし(参照:オーイシ×ペンリサが「ジャパリパーク」熱唱、ライブナタリーで相思相愛の対バン)。
Tom-H@ck 曲のリクエストやバラエティ的な企画のリクエストまで、いろいろ届いていますね。
オーイシ 一緒に何をやったらお客さんが喜んでくれるか考えるのは楽しいですね。当日はアッと驚くようなコラボを実現したいです。
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