ナタリー PowerPush - UNLIMITS
女性ツインボーカルと激情骨太サウンド 快進撃を続ける4人組が放つ移籍第1弾
聴き手の耳を突き刺す日本語にこだわった歌詞。哀愁を帯びた吸引力のあるメロディ。楽曲を彩る女性ツインボーカル。ヘビーさとポップさを共存させる、骨太ながらも柔軟なサウンド。そんなさまざまな要素を素晴らしいバランス感覚で独自の個性として昇華させるバンド、それがUNLIMITS。
2002年の結成からインディーズシーンで鍛え上げてきたキャリアを引っ提げて臨むレーベル移籍で、彼らは今、飛躍の時を迎えようとしている。その証明となるのが、5thミニアルバム「蒼-アオイ-」。収録される6曲が鮮やかに描き出す、他にはない圧倒的な世界を感じてほしい。
取材・文/もりひでゆき
「ドラム叩きながら歌えるわけないじゃん」
──結成は2002年だそうですが、きっかけは?
郡島陽子(Dr,Vo) 元々、彼女(清水)と高校でバンドやってて。その流れでUNLIMITSを結成したんです。最初はひたすらライブばっかやってたよね。
清水葉子(Vo,G) うん。まず2人でちょっとスタジオに入り始めて、なんとなく始まったんですけど、その後にベースが入って、3ピースでしばらくやるようになって。で、メンバーチェンジがあって、2006年に今のメンバーになったのかな。やっと今固まったっていう感じですね。
──当初からボーカルが2人いるというスタイルだったんですか?
清水 そうですね。UNLIMITS組んだときは歌う人がいなかったので、じゃちょっと歌おうかなぐらいの気持ちで私がギターボーカルになったんですけど、ここちょっと大変だから郡ちゃん(郡島)歌ってみてよ、みたいなことをしてるうちにツインボーカルっていう形になって。で、だんだんそこがいいよねって言われるようになったんで、「ラッキー!」みたいな(笑)。
──そこがUNLIMITSの大きな武器のひとつになってますもんね。「歌ってよ」と言われたとき、郡島さんはどんな気持ちでした?
郡島 「え~!」って言いましたよ。ドラム叩きながら歌えるわけないじゃんって。
──アハハハ。でも、ここまでそのスタイルで来ちゃってますけど。
郡島 そうなんですよね。なんかやったらできましたね(笑)。
──で、その後、男性メンバーが加入するわけですが。
石島直和(B,Cho) 当時、僕がやってたバンドが活動休止になったのと、UNLIMITSのベースが抜けたタイミングが同じ時期だったんで、初めはサポートメンバーとしてかかわるようになって。元々、好きなバンドだったんで、入りたいなって思ってたんですよね。
郡島 初めはほんとにサポートとしてだけ手伝ってもらうつもりだったんですけどね。でも、みんなでお酒を飲んでる席で「俺をメンバーに入れてくれ! 俺に弾かせろ!」ぐらいにヒートアップしてたんで(笑)、じゃいいよって。
清水 私にいたっては、彼がいつ正式メンバーになったのか記憶がない(笑)。
4人でやる意味みたいなものも見えてきた
──石島さんとしては、UNLIMITSのどんなところに魅かれていたんですか?
石島 1stミニアルバム(2005年リリース「七色の記憶』」)のときに、衝撃を受けたんですよ。サウンドがすごく凝ってるなぁって。周りからよく80年代ぐらいの歌謡曲っぽいみたいな評価を受けてたんですけど、まさにそういうサウンドで。それが自分的にばっちりハマったというか。
──では、大月さんはどんな経緯で加入したんでしょう?
大月義隆(G,Cho) 僕も自分がやってたバンドがちょうど活動休止になった時期に誘ってもらったんですよ。それほど面識があるわけじゃなかったから、どうしようかなっていう思いもあったんですけど、もらった音源が単純にかっこいいなって思えたし、ツインギターになることで面白いことになりそうなにおいもしたので、やってみようと。
──ツインギターにすることに何か大きな狙いはあったんですか?
清水 単純に、もう1本ギターを入れたら面白いかな、広がるかなっていう気持ちでしたね。そう思ってたときにちょうどタイミング良く大月のやってたバンドが活動休止になったので(笑)。心機一転みたいな感じもありましたし。
──この4人が揃ってから4年ほど経つわけですが、現時点でUNLIMITSが持っている“らしさ”はどんなものだと思いますか?
清水 やっぱり哀愁のあるメロディと、私と郡島がボーカルを掛け合ったりハモったりっていうところが持ち味だと思ってますね。そこは最初から変わらないところでもあるんですけど。
石島 で、そこに今は、4人でやる意味みたいなものも見えてきたような気はしていて。最初はやっぱり(清水と郡島の)2人がそれまでにやってきたことの流れで、みたいな感じがあったんですけど、ツアーやレコーディングを必死にやってきたことで、この4人での道が見えてきたというか。
大月 言葉とメロディが一番真ん中に立ってるという意識を、みんなそれぞれが持ってることも大きいと思います。散らかっちゃいそうなときがあっても、最終的にはちゃんとそこに戻れるというか。
清水 軸は変わらないんですけど、進化をずっと続けてる感じはありますね。バラエティに富んだ、いろんな色の曲ができるようになったし、今すごく変わってきている感じがします、いい方向へ。
UNLIMITS(あんりみっつ)
結成は2002年。メンバーチェンジを経て、2006年8月に現在の清水葉子(Vo,G)、郡島陽子(Dr,Vo)、石島直和(B,Cho)、大月義隆(G,Cho)の4人編成となる。2005年の「七色の記憶」を皮切りに、これまでに4枚のミニアルバムと1枚のフルアルバムをリリース。清水、郡島の女性ツインボーカルが織りなすハーモニーと日本語の響きを重視した歌詞、力強く情熱的なサウンドで人気を集め、2008年にはSUM 41の来日公演オープニングアクトを務めたことでも話題を呼んだ。2010年8月4日リリースのミニアルバム「蒼-アオイ-」から所属レーベルをSony Music Recordsに移籍。