UNISON SQUARE GARDEN|変わらずに動き続けた2020年を締めくくるユニゾン流“年越し特番”

課題があれば楽しいし、生き生きする

──そして「ニューアルバムを全曲披露」という企画。これは曲順通りにやるということですかね。

左から田淵智也(B)、斎藤宏介(Vo, G)。

田淵 「アルバム再現ライブ」というふうに考えています。

斎藤 曲間とかどうする? 12曲連続はなかなかしびれるね(笑)。

田淵 それ考えてなかった(笑)。

斎藤 収録とはいえナマ感は出したいから、水を飲んでるところとかは映してもいいと思うけど。それはまあ、おいおい考えよう。

──ツアーで新曲をやるのはいつものことですけど、「アルバム再現ライブ」という形はユニゾンにとっては初めてじゃないですか?

田淵 そうですね。俺たちの企画としては物珍しいなと思ったので、「観たい」という誘因にはなるかな?と思いますね。

──過去の作品をアーカイブ的に再現するライブはよくあるけれど、新作でやることは珍しいかもしれませんね。

田淵 GRAPEVINEやthe pillowsがそういうことをやっていて、確かにそこに憧れはあったので、もうちょっと歳をとったらやりたいなと思っていたんですけど、今回に関しては、リリース直後なのにアルバムツアーをやっていないので。やっぱり新曲を演奏しないと、次のアイデアが出てこないんですよ。「年越し特番」みたいなイメージでも考えているので。

──トークコーナーもあるらしい、と聞いています。

田淵 そう。普通に番組っぽくやろうと思っています。アルバム再現だけだと50分で終わっちゃうから、プラスしてトークもやって、おまけでほかの曲もやろうかなと思っています。

鈴木貴雄(Dr)

鈴木 毎年年末に出ていたイベントでやっていた、30~40分ぐらいの尺で演奏して、祝って終わり、みたいな?

田淵 そうね。昔、渋谷CLUB QUATTROで年越しさせてもらっていたイベントがすごく好きで。とにかくその年に演奏できなかった曲をむちゃくちゃやるというセットリストで、それに近いものにしようかと思っています、という感じですかね。

──音楽があってトークがあって、という形は、「fun time HOLIDAY online」でやっていたラジオ形式とか、ああいうアイデアが生かされているのかな?と思いましたね。

田淵 そうですね。「fun time HOLIDAY online」で「家で座って観るならこの構成だろう」というものを考えて、それは番組を作ることと同じなのかな?と思ったんですね。なので、ユニゾン的な音楽番組を作る、というノリでいいかなと思っています。家で座って、年越しそばを食いながら観て楽しめる時間を作れれば、と思っていますね。

鈴木 リハーサルがこれからなので、まだあんまりイメージが湧いていないんですけどね。アルバムの曲は、自分たちでレコーディングしたものの、正直忘れているものもあるので、わざわざサブスクで聴き直したりしてます(笑)。アルバム再現ライブって、言ってもハードルが高いものなので。一発勝負だし、ツアーで披露したことのない曲を一気にバン!とやるわけだから。でもね、最初にも話しましたけど、課題がないと淀むので、そういうものがあったほうがありがたいですよね。単純に楽しいし、生き生きする。

僕ら的には「やり続けない理由はない」

──「Patrick Vegee」の曲は、ライブでの再現性に関してはどんな感触なんですか?

斎藤 実はまだ、12曲中6曲をライブでやったことがないんですね。しかも貴雄が言ったみたいに、1年前にレコーディングしたっきりの曲もあったりして、自分の曲を1年ぶりにじっくり聴き直すとか、そういう経験も初めてだったんですよ。でもそこで、今までにない客観性を持てたりして、それはそれで気付きがあって面白いなとは思いますけどね。

田淵 今年の頭には「アルバムを出したらツアーをやるだろう」という気持ちで動いていたので。それが遅ればせながらやってきて、ツアーの1本目みたいな感じになるだろうなと思っていますね。僕ら、ツアーの1本目って、いつもマジでヘロヘロなんですよ。

──あはは(笑)。

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田淵 3本ぐらいやると、だんだん仕上がってくる(笑)。それの1本目を配信で全国に届けなきゃいけないので、大丈夫かな?とちょっと思っていますけど、でも「Patrick Vegee」というアルバムの内容が「MODE MOOD MODE」からの揺り戻しというか、スリーピースでバン!とやるものを主として作ったアルバムだということを、演奏してみて思い出した。「世界はファンシー」「夏影テールライト」とかは先日のツアーでやっていますけど、それと同じ感じで、「今ライブでやりたい曲がいっぱい集まったアルバム」だなということを、練習しながら思い出しました。なので、「Patrick Vegee」ツアーの1本目というか、0.5本目というか、「ようやくツアーが始まるぞ」という気持ちで今はいます。

──2021年の活動がここから始まるということですね。

田淵 とにかく今、1つでも多くのバンドが動き出さないといけないなと思っているので、来年も普通にツアーをやりたいと思っています。今回のツアーで、こうやれば世の中に迷惑をかけずにライブができるというモデルケースがスタッフの中でもできたと思うし、客も「座ってても普通に楽しいじゃん」と思ってくれた人も多かったと思うし、「新しい音楽体験をゲット」みたいなことにできている自負はあるので、これを当たり前のように続けていくことを、来年やりたいなと思っています。理想を言えば、「ユニゾン、マジでずっとライブやってるな」って思われるような、もともと15周年を経てやりたかったバンドのスタイルを継続したいなとは思っていますね。僕ら的には「やり続けない理由はない」という感じなので、来年もそのノリでやるつもりです。

──最後に1つ、今これを読んでいる人だけに、ヒントというか、カウントダウンライブの楽しみポイントを教えてもらえるとうれしいなと。

田淵 そうだなあ、さっきちょこっと話に出た、おまけパートですかね。「Patrick Vegee」を全曲やる、トークもやる、そしておまけもちょこっとやるかもね、というところに、ワクワクするようなものを付け足そうとは思っています。実際やるかどうかわからないけど、今思っていることを言っちゃうと、今年の夏(配信ライブ「USG 2020 "LIVE (in the) HOUSE"」開催時)に募集したリクエスト投票の、下位の曲を発表しようかなと思っていて(笑)。

斎藤 あははは(笑)。

田淵 人気のない曲には一定の傾向があって、まずカップリングであること、アルバムの1曲目のおまけ曲っぽいものであること、あとはインディーズ時代の曲とか。でも、ランキングの下から2番目の曲は、普通のアルバム曲だったんですね。僕らも普通にいい曲だと思って日本武道館でもやっていた曲なので、「あ、人気ないんだ」と思ったから、それを演奏してやろうかなと(笑)。

斎藤 ワースト3、やろうか(笑)。

田淵 下位10曲の発表とかはやろうかなと思っていて。その中からももしかしたらセットリストに入るかもしれない、という感じですかね。71位以降の結果については今まで特に言及してこなかったので、せっかく投票してくれたからにはお知らせする機会があればいいと思っているので。そういうことを、今考えているところです。

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