UNIONE×αD|ボーカルユニットとeスポーツチームが異色コラボ ジャンルを超えて完成させた「GOOD GAME」

UNIONEがバトルロイヤルゲーム「荒野行動」のeスポーツチーム・αDを迎えたコラボレーション作品「GOOD GAME」を7月28日にリリースした。

ボーカルユニットとeスポーツチームという一見異色な今回のコラボは、友人同士であるUNIONEのJINとαDの超無課金がお互いの歌声に心を打たれたことがきっかけとなり実現。「GOOD GAME」には、超無課金が甘い歌声を聴かせる「RUN feat. 超無課金」、多数のαDメンバーが参加した「Voice feat. αD」、αDのへんしゅう長が参加した情熱的なバラード「with you feat. へんしゅう長」のコラボ曲3曲と、supercell「君の知らない物語」のカバーが収録されている。

この特集では、αDから超無課金、へんしゅう長、61ueの3人を迎えてUNIONEとのクロストークを実施。2組の出会いのエピソードから、各楽曲の制作秘話を語ってもらった。

取材 / 倉嶌孝彦 文 / 下原研二 撮影 / 斎藤大嗣

きっかけは会員制のバー

──音楽とeスポーツのコラボはこれまでにもいくつかありましたけど、eスポーツ界隈の方々がボーカリストとして楽曲に参加するケースは珍しいですよね。そもそもの2組の出会いから教えていただけますか?

超無課金(αD) まず僕とJINくんがバーで会ったんだよね。

左から超無課金(αD)、JIN(UNIONE)。

JIN(UNIONE) 僕が行きつけのバーで飲んでたら、ちょうどむかたん(超無課金)がTwitterで飲めるところを探してたんです。そのときはまだ面識はなかったけど、僕は「荒野行動」が好きでむかたんの実況動画をよく観ていたので「よかったら来ませんか?」とDMしたら本当に来てくれて。

超無課金 「飲みたい」ってツイートしたらいろんな人から連絡がきたんですよ。その中でJINくんのDMには「会員制のバー」という言葉が入っていて、僕は東京に出てきたばかりで会員制とか知らなかったので「これはすごい。ここに決めた!」みたいな感じで(笑)。

一同 (笑)。

──実際にお会いしたときの印象はどうだったんですか?

超無課金 そのバーで一緒にカラオケをしたんですよ。で、JINくんは年齢的に先輩なんですけど、まず初め思ったのは「あ、こいつ歌うめえ」でした(笑)。自分も歌うのが好きなので本当にうまいなと思って。

──JINさんはどうでした?

JIN 「荒野行動」が好きでよくプレイしていたから「芸能人に会えた!」というくらいうれしかったですね。もちろん同業で好きなアーティストさんと会ったときに興奮することあるんですけど、「荒野行動」にハマりすぎていて(笑)。「これが『荒野行動』の超無課金かあ……」と、今までにないくらい感動しました。

──eスポーツの方々はミュージシャンと比べると実像が見えづらい部分もありますもんね。

JIN そうなんですよ。話すときの声や実況の雰囲気でなんとなくのイメージはあるんですけど、どういう人かというところまでは想像が付かないので。

──ちなみにUNIONEの皆さんはゲームはされるんですか?

JIN 僕らはみんな大好きですね。

ISSY(UNIONE) 「荒野行動」は遠征に行ったときにメンバー全員でプレイするくらいハマってました。

YUUKI(UNIONE) でも最近はやってないよね。その理由は明確にあって、JINくんがガチ勢になりすぎたという(笑)。

SAM(UNIONE) もともとみんなで楽しんでやっていたんですけど、JINくんが1人だけすごくうまくなっちゃった。

YUUKI ちょうどαDの皆さんと仲よくなってから、僕らはフェードアウトしました(笑)。

JIN ハマりすぎて大会に出るようになっちゃって、メンバーに誘われても「ごめん、大会あるから」みたいに断っちゃって(笑)。

へんしゅう長(αD) 俺はJINくんと何度かプレイしたことありますけど、めちゃくちゃうまいんですよ。僕らより全然うまい。

超無課金とへんしゅう長、ボーカリストとしての魅力

──超無課金さんとへんしゅう長さんは、“歌ってみた”などの歌唱動画をアップしていますよね。もともと音楽はお好きなんですか?

超無課金 歌うのは好きですね。彼(へんしゅう長)とはカラオケによく行っていて、それこそYouTubeでカラオケ配信をしたりもしてました。そのときも視聴者が6000~7000人くらい来てくれたので、当時から歌って需要があるんだなと思っていて。

──UNIONEの皆さんから見て、超無課金さん、へんしゅう長さんのボーカリストとしての魅力はどんなところですか?

左からISSY(UNIONE)、へんしゅう長(αD)、YUUKI(UNIONE)、61ue(αD)、SAM(UNIONE)。

JIN むかたんと知り合ってから一緒にカラオケに行くようになったんですよ。UNIONEは4人組で声質がみんな違うから一緒に歌っていて楽しいんですけど、むかたんはまた違う歌声を持っているというか。彼の歌声を聴いたときに、今までに感じたことのないような気持ちになったんです。とにかく魅力的でしたね。へんしゅう長の歌声もハスキーで素晴らしいんですよ。

へんしゅう長 なんか俺の方だけ薄い! 素晴らしいで全部片付けたな。

ISSY (笑)。へんしゅう長さんの歌声は、JINくんから音源を聴かせてもらってたんですよ。それで「いつかコラボしたいよね」と話していたから、今回CDをリリースできて本当にうれしかったです。

超無課金 ありがたいけど、声質に関してはノーコメント(笑)。

新たなスタートを切るための「RUN」

──ここからはコラボ曲について話を聞かせてください。1曲目は超無課金さんの甘いボーカルが印象的な「RUN feat. 超無課金」です。作詞はJINさんですが、この曲はどのように作っていったんですか?

JIN 少し話が長くなるんですけど、今年の初めにYUUKIくんが体調不良で活動できない時期があったんですよ。昨年末にメンバーが1人脱退して新体制でスタートするタイミングだったんですけど、3人で活動することになっちゃって。コロナの影響もあって未来が閉ざされているような感覚もあったから、僕らも今後の活動をどうしようかと迷っていたんです。そんな状況の中で「僕たちは今何をすべきなんだろう?」と考えたときに、ファンのみんなと音楽は大切なものだから、とりあえず曲を作ろうと思って。そこからは着飾った言葉や背伸びした言葉ではなくて、等身大の気持ちを曲にしようと思って歌詞を書き始めたんです。

──なるほど、UNIONEとしてもがいていた時期に作った曲なんですね。ゲームの世界観を歌詞に取り入れたのはなぜでしょう。

JIN まず僕ら自身がゲーム好きというのもあるんですけど、αDには自分を表現する選手、実況者がいてすごく輝いているんですよ。とくに自粛期間中は彼らの活動に勇気をもらったり、感動することが多くて。この感じって僕らの活動と通ずる部分があるかもしれないなと思ったんです。ステージに立つことで自分を表現して、仲間と一緒に輝いてる感じが似ているなと。それでゲームの世界を歌にしてみたいなと思ったのがきっかけですね。曲の内容としては、孤独を感じていたり、窮屈に感じている現実世界を抜け出して、仮想世界で自分たちを表現して新たなスタートを切るようなイメージです。当時、YUUKIくんがいつ戻ってくるかもわからない状態だったので、また4人そろってステージに立ちたいという気持ちも込みで歌詞を組み立てました。

──最初の自粛期間中にストリーマーの方々に救われたという人は多そうですよね。あの時期のエンタメ業界を支えたのは動画配信者だと断言する人もいますし。

超無課金 ありがとうございます。あれは僕ががんばりました。

一同 (笑)。

SAM でも、本当にそうだと思います。歌詞を書いてるときに「テーマはどうしようか?」という話になって、このコロナ禍において自分たちが何をしていたのかを歌詞にしようと決めたんです。自粛期間中は仕事がなかったけど、ゲームはあって救われたから歌詞に反映されるのも当然というか。

UNIONE、αD。

超無課金 あのときは困っている人がたくさんいたので、僕らは死に物狂いで自分の好きなことでそういう人たちに夢を与える、そんなモチベーションで動画を投稿していました。

JIN 「ゲーム配信で感動?」と思う人もいるかもしれないけど、あの頃は精神的に不安定な人が多かったと思うし、僕もその中の1人だったからすごく支えてもらいましたね。

──超無課金さんはオファーを聞いたときはどう思いました?

超無課金 「喜んで!」と即答しました。やったことのないことをやるのってむちゃくちゃ面白い。それにお仕事を友達と一緒にできるのって最高じゃないですか。

──実際に歌ってみてどうでした?

超無課金 UNIONEの皆さんがちゃんと僕に着いてきたから、レコーディングはスムーズに進みましたね(笑)。

SAM 着いて行くのにいっぱいいっぱいでした(笑)。

JIN ちゃんとしたレコーディングは初めてだと思うんだけど、経験があるのかなってくらい飲み込みが早くて驚きましたね。

YUUKI 対応力がすごかったよね。一緒にレコーディングしてみて、本当に音楽が好きなんだなというのが伝わってきました。