音楽ナタリー Power Push - UNCHAIN

このグルーヴで世界を目指す

ロサンゼルスのスタジオはざっくりしてる

──Yagiさんのスタジオでレコーディングすることになったのはなぜですか?

谷川 Yagiさんはグラミー賞を取ってから「日本のバンドを世界に出したい」って思って、有名無名問わずいろんな日本の音楽を聴いていたそうで。そこでUNCHAINを知って「こいつらとやりたい」って言ってくれたみたいです。僕らもちょうどデビュー10周年記念のリメイクベストを作りたいと思ってたから、じゃあロスでレコーディングしよう、って。最初は「マジっすか?」って、めっちゃ疑いの目で見てましたけどね。ホントでした(笑)。

佐藤将文(G)

佐藤 スタジオの環境が日本とは全然違いましたね。丘の上に建ってる木造の豪邸で。たぶん向こうでも特殊なスタジオだと思うんですけど。

谷川 そうっぽいよね。あんまり防音とかないんですよ。ベースを録るブースとか、ドラムを録るブースとか、一般的なスタジオだとそれぞれガッチリ防音されてるんですけど、普通の家だから木の扉1枚で仕切られてるだけで。すげえざっくりしてるんですよ。

 Maroon 5のプラチナディスクがそのへんに普通に置いてあったりして(笑)。

谷川 細かいことを全然気にしないんですよね。向こうの人の性格上なのか。僕らはいつもレコーディングで1曲につき10テイクくらい録るんですけど、Yagiさんは2~3回やったら「はい、次」って感じで。演奏してる立場としてはもっとやりたいんですけど、Yagiさんは細かいミスとか全然気にしてなくて、その演奏にちゃんとグルーヴがあったか、熱がこもっていたかという点を大事にしてるんですよ。だからすごくライブ感のあるレコーディングになって。2~3回しかチャンスがないからみんなかなり集中して演奏してましたね。

──Yagiさんとのレコーディングで得たものは何かありますか?

谷川 グラミー賞のラテン・ポップ賞を受賞している方なので、横乗りのグルーヴの出し方を教えてもらいました。それで「音数を抜くことで生まれるグルーヴがある」ってことに気付かされたり。

──音が少ないっていう印象は確かにありました。その結果、全員の音がすごくしっかり聞こえました。

谷川 そうですね。全員の音が聞こえやすくなるし、1人ひとりの音を太くできるんですよ。それで骨太なグルーヴを出せるっていう。

オリジナルが好きな人に文句を言われてもいいと思う

──自分たちの曲をリメイクをしてみて、どうでしたか?

佐藤 僕らは歌詞を日本語にした頃から、言葉やフレーズなどで「伝える」っていうことにいろいろ挑戦してきたんですけど、今回はそういう細かいことじゃなくて、もっと骨格になってるギターリフとかメロディとかを聴かせるために音の抜き挿しとかをやったので、自分たちが今まで作ってきた曲の一番大事な部分をもっと大きく表現できた気がします。自分らの曲を触るのって、勉強になりますね。

 やっぱり海外に行くと、いい意味でかぶれるもので(笑)、ロサンゼルスに行ったおかげで演奏することに対して自信が付きましたね。別に今までビビってたわけじゃないですけど、気持ちに余裕が生まれてきたのが演奏に出てると思う。

谷川正憲(Vo, G)

──ファンにとってみればオリジナルバージョンはどうしても思い入れが強いものだと思うんです。こういうリメイクベストだと、結果的にクオリティが高くなっても思い出補正で「前のほうがよかった」という反応があるのもよくある話で。それに対する配慮みたいなことは考えました?

谷川 それ考えちゃうと中途半端になっちゃう気がしたんで。むしろ突き抜けたほうがファンに納得してもらえるんじゃないかと思ってました。曲名も変えちゃったくらいだし、別物として聴いてもらって全然いいと思います。

 でもまあ、文句を言われてもいいと思うんですけどね。そういう人もいて、よくなったって言ってくれる人もいて、っていうのが一番理想です。

──リメイクした曲の中で、一番気に入ってるのはどれですか?

 僕は「Super Collider」ですね。あれが収録された「Hello, Young Souls!!」っていうアルバムは同期演奏をガンガンやってて、この曲ももともとそれがテーマだったんです。リメイクするにあたって、それを壊すべきかをすごく迷って。YagiさんともSkypeで相談して、結局そのテーマは取っちゃったんですけど、同期がなくなった代わりにグルーヴで横揺れみたいな感覚が出せてよかったです。新しい歌詞も曲調やメロディとすごく合ってると思う。

吉田昇吾(Dr)

吉田 僕は「Movin' My Soul」ですかね。今回のアルバムの中では、あの曲が一番ライブ感があると思っていて。なんというか、その瞬間が詰まってる気がして好きですね。

谷川 佐藤くんはなんですか?

佐藤 「Show Me Your Height」かな。あ、曲名変わったから「Get Ready」か(笑)。

谷川 じゃあ僕、「Tonight's The Night」ね!

──別にかぶっちゃダメってことではないですよ(笑)。

佐藤 「Get Ready」は、もう30歳を過ぎたUNCHAINの大人っぽい色気のあるグルーヴも、20代の頃のちょっとやんちゃな部分も残りながら、すごくいいバランスで生まれ変わったなと思ってます。「Tonight's The Night」もいいね。原曲よりもテンポを下げて、今のUNCHAINらしい大人のグルーヴになったと思う。

谷川 「Tonight's The Night」は数あるUNCHAINのオリジナル曲の中でも、好きな曲の1つなんです。アコースティックバージョンも作ったことがあるんだけど、曲自体がいいからどんなアレンジにしてもカッコいい。って、自分で言うのもアレなんですけど(笑)。今回のアレンジはオリジナルにあった渋みをサラッとさせて、聴きやすくノリのいいサウンドにできたと思います。

リメイクベストアルバム「10fold」2015年6月17日 / CROWN STONES
Type-A [CD+DVD] 3700円 / CRCP-40410 / Amazon.co.jp
Type-B [CD] 3000円 / CRCP-40411 / Amazon.co.jp
CD収録曲
  1. Kiss Kiss Kiss
  2. Super Collider
  3. Get Ready(ex. Show Me Your Height)
  4. Tonight's The Night
  5. My Bicycle
  6. Come Back To Me
  7. Movin' My Soul
  8. Give Me Life(ex. Inspire of life)
  9. Life Is A Wonder(ex. Life Is Wonder)
  10. The Sun And Iris(ex. 太陽とイーリス)
Type-A DVD収録内容
  1. Spin My Head
  2. "NORTH"
  3. bb...
  4. Make it glow
  5. Lite The Truth
  6. 少女ジレンマ
  7. Don't Need Your Love
  8. The Grounds Of Heaven
  9. Easy Come, Easy Go
  10. "WEST"
  11. Number-One

(2014年11月13日に東京・LIQUIDROOMにて開催の全国ツアー「"N.E.W.S." Release One Man Tour~7th News~」ファイナル公演の模様を収録)

特典映像
  • 「Making of 10fold」In Los Angeles
UNCHAIN Debut 10th Anniversary "10fold" Tour 2015
  • 2015年10月23日(金)宮城県 enn 2nd
  • 2015年10月27日(火)福岡県 LIVE HOUSE CB
  • 2015年10月28日(水)広島県 CAVE-BE
  • 2015年10月31日(土)東京都 LIQUIDROOM 
  • 2015年11月6日(金)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
  • 2015年11月13日(金)大阪府 BIGCAT

チケット料金:3800円
一般発売日:7月25日
オフィシャルサイトでは6月28日23:00まで先行受付を実施中。

UNCHAIN「10fold」発売記念イベント
  • 2015年6月21日(日)東京都 タワーレコード渋谷店 1Fイベントスペース
    START 15:00
  • 2015年6月27日(土)神奈川県 タワーレコード横浜ビブレ店 イベントスペース
    START 17:00
  • 2015年6月28日(日)東京都 タワーレコード新宿店 7Fイベントスペース
    START 12:00
  • 2015年7月4日(土)東京都 たまプラーザテラス ゲートプラザ 1Fフェスティバルコート
    START 15:00
UNCHAIN(アンチェイン)

UNCHAIN京都府京丹後市出身のロックバンド。1996年に中学の同級生だった谷川正憲(Vo, G)、谷浩彰(B)、吉田昇吾(Dr)によって結成される。後に佐藤将文(G)が加入。ジャズ、ブルース、フュージョン、ソウルなど幅広い音楽を独自の解釈で昇華させたグルーヴ感あふれるサウンドや、フロントマン谷川のクリアでソウルフルなボーカルなど、豊かな音楽性が耳の肥えたリスナーから支持を集める。2005年に1stミニアルバム「the space of the sense」が発表されると、無名の新人バンドにもかかわらず好セールスを記録し、その名が一気に全国区へと拡大した。結成当時から英詞にこだわっていたが、よりメッセージを伝えるために2008年リリースの作品から日本語詞を採用。2011年6月発売のアルバム「SUNDOGS」は全曲日本語詞の作品となった。2013年2月に発表したカバーアルバム「Love & Groove Delivery」が大きな反響を呼んでシリーズ化され、2014年2月に第2弾、2015年2月に第3弾をリリース。2015年6月にはデビュー10周年を記念して、過去曲を新たに作り直したリメイクベストアルバム「10fold」を完成させた。