ナタリー PowerPush - UNCHAIN
豪華ゲスト迎えて堂々オープン!これが音の遊園地
いつまでも「オレたちカッコいいんだよ」じゃ誰も聴いてくれなくなる
──そもそもインディーズ時代は英語で歌っていたわけですよね。日本語で歌うようになったきっかけはなんだったんですか。
谷川 だんだんお客さんも増えてきて、より自分たちの音楽を共有してもらいたいという気持ちが強くなってきたんですね。
──でもその歌詞も生真面目すぎて遊びがなかったと。
谷川 それはずっと昔からあったんです。曲にしても、例えばセッションで作ることができなかった。
──UNCHAINの曲って、いつもキメキメだもんね。
谷川 はい(笑)。そういうの(セッションで作ること)に昔から憧れてるんですけど、できないんです。遊びながら、ラクな空気で作るっていうのが。
──性格の問題ですか?
谷川 性格もあると思いますけど(笑)。技術の問題もあるし。
──そもそも中学の同級生同士から始まったバンドですよね。友達関係が最初にあるわけだから、もっとリラックスしてやれそうですけど。
谷川 あのー……人見知りなんですね(笑)。
──遠慮しちゃう?
谷川 遠慮しちゃう。ということは性格の問題なんですね。
佐藤 それもあるし、なんか、難しいことをしたほうがカッコいいとか。
谷川 そういう自己満足的なところは、結構ありましたね。
佐藤 難しいことしてるオレたちってカッコいいだろう?みたいな。ま、それが一概にダメだとは思わないですけど。
──人前でやるんだから、カッコはつけないとね。
佐藤 自分たちでカッコいいと思うことはやらないといけないんですけどね。でもツアーとか回ってるうちに、あっ、これって伝わってないなって。「カッコいい!」って思ってくれればいいけど、「なんか難しい」って受け取られちゃうんです。CDならまだいいけど、ナマで初めて聴くお客さんとか、戸惑ってるのがわかって。
──客が悪いって思わなかった?
谷川 ははははは!(笑)
佐藤 そう言うてた時期もありました(笑)。オレたちカッコいいんだよコノヤロウ、ぐらいの気持ちでいたときもあったんですけど(笑)。でもいつまでもそれじゃ、誰も聴いてくれなくなるし。
谷川 それをもっと共有したいと思ったんです。歌詞を日本語にしたこともそうだし、サウンド的にも。みんなで楽しめるようにするにはどうすればいいか考えるようになりました。技術とかそういうものは、みんなを楽しませるためにあるんだって、変わっていったんですね。自己満足的なところから。
最初の頃は自分たちが楽しければよくて、お客さんを見ていなかった
──以前THE CLASHの「Train in Vain」のカバーをやってましたよね(2009年10月リリースのシングル「Gravity」のカップリング)。普段のキメキメの演奏とは違う、すごくリラックスしたパーティっぽいプレイで。こういう面もあるんだと思いました。
佐藤 そうですね。あの頃から結構、ゆるさというか、がっちり合わせなくてもいい曲があっていいかなって思い始めたんですね。ワーッと楽しくやれるような。
谷川 でもそこでただワーッとやるだけじゃメチャクチャな演奏になってしまうから、そのバランスを考えて。
佐藤 荒っぽくてもカッコいい、みたいな。
──そういうのって余裕が出てこないとなかなかできないかもしれないですね。
谷川 そうですね。自分たちを客観的に見られる余裕がないと、そういう風になっていかないかもしれない。
佐藤 前よりも、ライブでお客さんと向き合えるようにはなってると思うんです。だからお客さんの反応は気になるようになりましたね。
──最初はお客さんをよく見ていなかった?
佐藤 めっちゃ見てなかったですね、最初の頃は。
谷川 自分たちが楽しければよくて、その楽しんでるところを見てもらえればお客さんも楽しいだろうと勝手に思ってました。
佐藤 勉強が上手にできれば、みたいな。
谷川 (演奏を)間違えなければいい、という考えだったんですけど、それが変わってきた。自分たちがやりたいことをやるだけじゃなく、自分たちがやりたいことを伝えるためにどうすればいいか考えるようになった。ただわかりやすくするだけじゃ……。
──妥協にしかならない。
谷川 そうですね。僕たちだったら、いかにブラックミュージックをロックに取りこむか、というのがひとつテーマとしてあるんですけど、それをどうわかりやすく見せて、お客さんを巻き込みながら楽しむかっていう。
佐藤 求めるものが変わってきたんですね。昔は「うまくできたイエー!」で終わってたけど、今はもう、うまくできても誰も笑ってくれないんじゃつまらない。上手に演奏できなくても、みんなが楽しんでくれればいいっていう方向に気持ちを持っていけるようになった。それのほうが自分らに合っているのかなと。
CD収録曲
- Lovely Barks -Intro-
- Rainy Dance Floor
- 愛の未来 -I saw The Light-
- Cream Pie
- Rusty Love
- 4U featuring BASI
- Eat The Moon
- 暁のコドウ
- 0.0025
- テレスコープ・トリッパー
- Until Dawn
- I'll Be The Music
- Lovely Barks -Outro-
DVD収録内容
4th Album Release Tour Final "SUNDOGS ~太陽に寄り添う者たち~" 2011/10/01 at SHIBUYA CLUB QUATTRO
- Aurora
- 少女ジレンマ
- The Game Of Life
- 太陽とイーリス
- My Bicycle
- スタイル・ミサイル
UNCHAIN(あんちぇいん)
京都府京丹後市出身のロックバンド。1996年に中学の同級生だった谷川正憲(Vo,G)、谷浩彰(B)、吉田昇吾(Dr)によって結成される。後に佐藤将文(G)が加入。ジャズ、ブルース、フュージョン、ソウルなど幅広い音楽を独自の解釈で昇華させたグルーヴ感あふれるサウンドや、フロントマン谷川のクリアでソウルフルなボーカルなど、豊かな音楽性が耳の肥えたリスナーから支持を集める。2005年に発表した1stミニアルバム「the space of the sense」は無名の新人バンドにもかかわらず、好セールスを記録しその名を一気に全国区へと拡大。ライブバンドとしても定評があり、初出演を果たした「COUNTDOWN JAPAN 07/08」では彼らのパフォーマンスを観るために数多くの観客が詰め掛けた。結成当時から英詞にこだわっていたが、よりメッセージを伝えるために2008年リリースの作品から日本語詞を採用。2011年12月からカバー楽曲配信シリーズ「Love & Groove Delivery」を3カ月連続で敢行し、2012年4月に通算5枚目となるフルアルバム「Eat The Moon」をリリースした。