Unblock「京阪萱島駅」特集|田口卓磨(Unblock)×ごっきん(yonige) 寝屋川出身の正反対な2人をつなぐもの

前作に「西中島南方」、
今作に「京阪萱島駅」と地名を付けた理由

──先ほど田口さんは「寝屋川に戻った」と話をされていましたが、Unblockが昨年12月にリリースしたシングルのタイトルが「西中島南方」で、今作が「京阪萱島駅」。どちらも地名ですが、この位置関係を教えてもらえますか?

田口 京阪萱島駅は寝屋川市と、隣町・門真市の間にある駅。俺の実家は門真市になるんですけど、門真市の高校生がバンドを組んで最初にライブしに行くのがビンテージです。西中島南方は大阪市内のほうにある駅で。新大阪駅のすぐそばです。

──田口さんにとって京阪萱島駅、西中島南方はそれぞれどういう場所なんですか?

田口 京阪萱島駅は実家があるところ。ずっと住んでたんですけど、家の事情で実家を出なくちゃいけなくなったときに、当時付き合いたてだった彼女と西中島南方に一緒に住んで。で、別れて去年の5月にまた萱島に戻ってきました。

ごっきん どれくらい一緒に住んでたんでしたっけ?

田口 2、3年くらい。

ごっきん(yonige)

ごっきん そんなに長かったんや。付き合ってすぐ同棲始めたんですもんね。

田口 うん。実家を出なくちゃいけなくなったから勢いと言うか、物の弾みと言うか……そのときの準備が足りなかったのかもしんない。

ごっきん もっとちゃんと準備してたら今も一緒に住んでたかもしれない、と。

田口 うん。なんかそういうことが多い人生なんだよなあ……。

ごっきん 彼、メンヘラ……思慮深いんで、すみません(笑)。

周りの人の温かさを改めて感じた1年

──ということはシングル「西中島南方」では彼女との恋愛や同棲していた時期のことを歌っていて、「京阪萱島駅」では別れて萱島に帰ってきてから考えたことを歌ってるんでしょうか?

田口 「西中島南方」では一緒に住んでたときを踏まえてって感じですかね。ああ、でも確かにその時期について固執する気持ちはシングルで完結してます。アルバムではもうちょっと視野が広がったと言うか。いろんなものを作れたと思います。

ごっきん なるほど。

田口 シングルのタイトルを考えてる時点で、萱島に帰ってたんで、本当は「京阪萱島駅」でもよかったんですけど、「西中島南方」の字面のほうがインパクトがあるなと思って「西中島南方」にしたんです。でもそのあとも俺の中に「京阪萱島駅」っていうワードがあって。で、とりあえず萱島駅をテーマに曲を作ってみようと思ったんです。

──今作の1曲目「萱島駅」ですね。この曲はまさに地元やご家族の温かさが描かれています。

田口 はい。もろにお母ちゃんのことです。西中島の家を出ていくタイミングが急やって、1週間、機材車と実家を往復する生活とかをしてたんですよ。バイト先の人とか、もちろんごっきんとか先輩とか後輩とかもみんな心配してくれて、話を聞いてくれた。常々思ってはいるんですけど、マジで人に支えられて生きてるんやなって思った1年間やって。そういう「みんなありがとう」っていう気持ちをこの曲に込めました。

──感謝の気持ちをわかりやすく表現するためにお母さんを題材にしたと。

田口 帰ってきたときに「やっぱおかんに勝てへんわ」と思ったんですよ。どんだけだらしなくしてても、どんだけ気が滅入ってる俺でも、優しく見守ってくれて。本当にいつでも味方でいてくれる人おるんやなって。お母ちゃんにいい夢を見せてあげたないなって思いました。

──お母さんはバンドをやってる田口さんのことをどう見てるんですか?

田口 俺、高校卒業後、4年制の福祉系の専門学校通って、資格も取って卒業してるんです。けど、そこからフリーターやりながらバンドマンやるって決めて。そのときから否定することもなく「人生1回しかないからやってみやってみ」って。ずっと心配はされてますけどね……お母ちゃんはすごいねえ。

ごっきん うちも否定も何も言われてないですね。なんならうちのお母さん、すごいアクティブな人で。yonigeのライブに来て、牛丸(ありさ / Vo, G)のお母さんと仲良くなったらしくて夜中に「牛丸のお母さんと飲みすぎて、終電逃してタクシーで帰ってきちゃった」ってLINEが来たりするんですよ。だから心配とかも特にしてないですね(笑)。

──ごっきんさんのお母さんらしいですね(笑)。田口さんが同棲を解消して萱島に戻ることを報告したとき、お母さんはなんて言ってたんですか?

田口卓磨(Unblock)

田口 「彼女のためにもいいことやわ」「そのほうがあの子も幸せや」って。

ごっきん ははは(笑)。それ言われたとき、どういう気持ちやったんですか?

田口 「そうだよね」って。基本的に自分への罪悪感はすごかったから。

──その時期の田口さんのことを、ごっきんさんはどう見てました?

ごっきん 真っ只中のことは知らないんですけど、そのあとくらいに話を聞いて。

田口 それこそ萱島で飲んだよね。「メンヘラでもいいじゃん! かまへんかまへん」って言ってくれた。

ごっきん 下がりっぱなしの田口くんにどうにか陽の気を流し込みたくて。

田口 本当にご迷惑をおかけしました。気が楽になりましたよ。

ごっきん 光栄です。

Unblock「京阪萱島駅」
2018年5月30日発売 / THE NINTH APOLLO
Unblock「京阪萱島駅」

[CD] 1944円
TNAD-0104

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収録曲
  1. 萱島駅
  2. エピローグ
  3. 明日に向かう
  4. 産声
  5. morrow
  6. ブレークアウト
  7. サイレン
  8. 午前二時

公演情報

Unblock「京阪萱島駅」リリース
“誰かの隣で生きている”ツアー
  • 2018年6月16日(土)
    大阪府 LIVEHOUSE VINTAGE(※ワンマンライブ)
  • 2018年6月17日(日)
    東京都 下北沢SHELTER
  • 2018年6月19日(火)
    愛知県 APOLLO BASE
  • 2018年6月21日(木)
    大阪府 LIVE HOUSE OSAKA BRONZE
yonige presents「売上総取 vol.5」
  • 2018年6月1日(金)
    福井県 福井CHOP
Unblock(アンブロック)
Unblock
田口卓磨(Vo, B)、中健人(Dr)、中村大(G, Vo)からなるロックバンド。2010年10月に結成された、大阪府寝屋川市を中心に活動を始める。2014年よりTHE NINTH APOLLOに所属。精力的にライブ活動を重ねる一方で、2014年10月に1stミニアルバム「いつかのいいわけ」、2015年8月に1stシングル「生活のこと」、2016年10月に1stフルアルバム「明日の産声」、2017年12月に2ndシングル「西中島南方」と定期的に作品も発表している。2018年5月に2ndミニアルバム「京阪萱島駅」をリリース。
yonige(ヨニゲ)
yonige
牛丸ありさ(Vo, G)とごっきん(B, Cho)からなる大阪府寝屋川市出身の2人組バンド。small indies tableの第1弾アーティストとして、2015年8月に初の全国流通盤「Coming Spring」をリリース。2016年7月に2ndミニアルバム「かたつむりになりたい」を発表し、2017年2月から3月にかけて行われたスペースシャワーTV主催のライブツアー「スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2017 ~10th ANNIVERSARY~」に参加した。同年9月に1stフルアルバム「girls like girls」をワーナーミュージック・ジャパン内のレーベルunBORDEよりリリースし、メジャーデビューを果たした。