音楽ナタリー Power Push - UMI☆KUUN

メジャーシーンに現れた愛すべき“ウザやか”男

ニコ動初投稿は「Let It Go」

──UMI☆KUUNが初めて作品を世に出したのはニコニコ動画がきっかけですよね。初投稿は2014年4月の「Let It Go ~ありのままで~」のカバーですが、そもそも投稿した理由は?

小学生のときからハンディカメラで映像を撮るのが好きだったんですよ。大人になってもよく友達にドッキリを仕掛けて、その一部始終を撮って編集して楽しむってことを繰り返してて(笑)、映像撮影のクオリティがどんどん上がっていったんですね。で、それを見た友人から「人を不幸にするんじゃなく、最近流行ってる動画サイトとかで世界に向けて発信してみたら?」と言われて、そっか!って単純に思ったのがきっかけです。

──普段からニコニコ動画はよく観ていたんですか?

「○○してみた」の人たちより、クリエイターとして活躍されてるプロの人の作品を見て楽しんでましたね。

──「Let It Go」は映像の凝った編集もさることながら、声楽で鍛えたダイナミックなボーカルも圧巻でした。なぜこの曲を初投稿に選んだのですか?

「アナと雪の女王」は、日本でひさしぶりに音楽が中心となって起こったムーブメントだったじゃないですか? 僕も純粋に映画を観て感動したし、大学でもオペラやミュージカルを多少学んでいたので、自分の歌い方に合いそうだなって思って選びました。

──それがいきなりカテゴリーランキング2位に。

ビックリしました! 「これで有名人になってやる」みたいな気持ちは全然なくて、いいのができたから早く上げよーっていう趣味程度の気持ちだったので、意外に観てもらえるものなんだなって。「Let It Go」の流行も当然あったとは思うんですが、顔出しをする人が少ないニコ動において、バッチリ顔を見せてノリノリで投稿してます感がいい感じに興味を引けたのかなって(笑)。

──甘いマスクに自信があった、みたいな気持ちは?(笑)

いやいやいや! ただ僕は、昔から何かの曲を好きになったら、その人の容姿も見てみたいという気持ちがすぐ湧いてくるタイプなんです。顔で判断するわけじゃないですけど。だから自分も何か発信するのであれば、自分のビジュアルもちゃんと見せておきたいなって思って。もしそこに注目してくれた人がいるのであれば光栄ですけどね(笑)。

動画投稿は生きた履歴書になる

──そんな軽いノリで投稿したとはいえ、ニコ動ではいきなり人気者になり、同時期にアップを始めたYouTubeでの公式チャンネル登録者数も現在は1万人を突破しています(参照:Umi Kun - YouTube)。注目を浴びたことでどんな変化がありましたか?

まず、ネット配信は価値があるなって思いました。実は引きこもりを終えるくらいからいろんな音楽系のオーディションを受けて、デビューをつかみかけたこともあるんですよ。でもなぜか僕が15万円要求される流れになって、ちょっとそれおかしくない?と。怪しんでいたら、次の日のニュースでその事務所が摘発されて、それからこの業界を超警戒するようになりました。僕はビタ一文払わない! そのスタンスで協力してくれる会社しか信じない!って(笑)。

──ちょっとした人間不信になってしまったと。

UMI☆KUUN

はい。もちろんちゃんとしてる会社のほうが多いと思うんですけど、そんな苦い経験もあって、改めてネットはいいなーと。家から気軽に発信できるし、蓄積したことが生きた履歴書みたいになるじゃないですか? どういう見た目で、どういう歌を歌ってきて……っていうのがすぐに調べられるし、不特定多数の人にそれを宣伝できるのがSNSの強みだなって。

──ああ。しかも宣伝しようと思ってるわけじゃなくても勝手にそうなるっていう。

そうなんですよ。宣伝をがんばらなくても、自分がただ楽しんで発信してるだけでいろんな人に見てもらえる可能性があるって考えると、ものすごい合理的だなと。実際、雑誌取材のオファーやレコード会社からのスカウトが公開してるアドレスに直接届くこともあって、これは1個1個オーディションを受けに行くより効率的だなって。即時性が今の時代にフィットしてるなって思いましたね。

──そんな中で現在の所属レコード会社・ビーイングからも連絡が来て、デビューすることになったと。

はい。さっき言った僕の超警戒モードのスタンスも受け入れてくださったのがビーイングの皆さんだったので(笑)。ずっと「1円も払いません!」「自分のやりたいことしかやりません!」って言ってたんですけど、そんな僕に社長が「お前の信じた道を好きなように進めばいい」という言葉をくださって。安心して契約書にサインをしました。

──ここならお任せしても大丈夫だと思ったんですね。

というかむしろ、レコード会社のことをググりまくったらほかの所属アーティストを見てビックリしたんですよ。もちろん入ったら全力でがんばるんですけど、僕みたいな者がいるって会社の色やイメージ的にどうなんだろう?と。心配になって「逆に一度熟考されたほうがよろしいんじゃないですか?」みたいなお話も丁重にさせていただきました(笑)。

メジャーデビューシングル「I am Just Feeling Alive」 / 2015年10月28日発売 / Being
初回限定盤 [CD+DVD] / 1500円 / JBCZ-6031
通常盤 [CD] / 1000円 / JBCZ-6032
CD収録曲
  1. I am Just Feeling Alive
  2. HELLO BABY
初回限定盤DVD収録内容
  • 「I am Just Feeling Alive」MUSIC VIDEO
UMI☆KUUN(ウミクゥン)

UMI☆KUUN

愛媛県出身の男性シンガーソングライター。2014年4月、ニコニコ動画に初投稿した動画がカテゴリーランキング2位を獲得する。同時期にYouTubeにも自作動画のアップを始め、YouTuberとしても認知度が急上昇した。2015年7月にフランスで行われた文化イベント「JAPAN EXPO 2015」でオフィシャルレポーターを務め、8月にタイで行われたイベント「Tokyo Crazy kawaii」の広報宣伝部長に就任するなど海外からの注目度も高い。同年10月、アニメ「ヤング ブラック・ジャック」のオープニングテーマ「I am Just Feeling Alive」をシングルとしてリリースしCDデビューを飾った。