音楽ナタリー Power Push - ウルフルズ
絶好調の4人に聞く、活動休止から現在まで
ウルフルズを観たい人がたくさんいるのを感じて
──活動休止後は、皆さんそれぞれの形で音楽を続けていましたよね。特にジョンBさんはジョンB&ザ・ドーナッツ!でボーカルに挑戦したりと、新しい活動を楽しんでいるように見えましたが、ウルフルズのことは意識していましたか?
ジョンB そうですね。やっぱりソロでツアーとか回ってお客さんと接してると、みんなウルフルズを観たいんだっていうのがわかるんです。ウルフルズを聴きたい人、観たい人がたくさんいるっていうのを感じて、それはすごいことやなって。もう1回やろうって思えたのはやっぱりそれが一番大きかったかな。
──活動再開を決めてからはスムーズでしたか?
トータス それが最初はリハビリみたいな期間もあってね、演奏がまだイマイチひとつにならへんな、みたいな。
サンコン 今みたいなムードになったのは、やっぱり集まって曲作ったりライブやったりっていうのが大きいですね。そのおかげでここまで戻ってこれた。最初の何カ月かはお互い探ってたとこもあったんで。
トータス でもまあ、やってるうちになんとかなるやろみたいな気持ちもあって。その頃はまだ活動再開を世間に発表してなかったから、もしなんともならへんかったらこのままフェードアウトやな、とかね。肩に力入れて「絶対やろう」とか言っても、動かへんもんは動かへん。4人でやってることやからね。
ウルフルズは1人では背負いきれない
──活動再開からこの1年半を振り返ってみてどうですか?
トータス とりあえずすごい楽しいよね。なんか変な言い方かもしれないけど、やっぱラクなんよ。自然にやれてる。もちろんがんばってるんやけど。そんながんばらんでええというか。1人やとめっちゃがんばらなあかんけど、ウルフルズは4人おるから(笑)。
──トータスさんはソロのライブでウルフルズの曲を歌ったりもしていましたよね。
トータス 最初の頃はソロでウルフルズの曲はやらないって決めてたのよ。1人でウルフルズやるのはメンバーに申し訳ないっていう気持ちがあったんやろね。お客さんからも、1人になったんなら1人で勝負してみろって言われてるような気がしてたし。でも、やっぱり周りの人らが「やらないともったいないよ」とか「曲に罪はない」とかね、いろんなこと言ってくるわけ。
──なるほど。
トータス それで、徐々にやり始めてみたら、実際盛り上がったりもして。「えーっ!」って言われて盛り上がらんときもあんねんけど、でもどちらかと言うと盛り上がる(笑)。そうすると、だんだんウルフルズ化してくるのよ、自分が。
──どういうことですか?
トータス ソロでアルバム3枚作ったんやけど、3枚目とかウルフルズ化してんねん、完全に。自分でもなんなのかわからへんのやけど、確実にウルフルズに向かっていってるわけ。だから血っていうか、俺のやりたいことは結局のところウルフルズなんやって。
──でもせっかくソロ活動を始めたわけだし、ウルフルズ的な音楽をそのまま1人でやっていく選択肢もあったのでは?
トータス そうなんやけどね(笑)。でもなんかウルフルズは、1人では背負いきれへん感じがあるのよね。
──というと?
トータス こないだ倉本聰さんが言ってたけど、陽のエネルギーを持った人と陰のエネルギーを持った人っていうのがいて、陽と陰をうまく組み合わせてキャスティングしたときにドラマはうまくいくんやって。ウルフルズも同じで、陽と陰がいてるわけですよ。
一同 あははは(笑)。
ジョンB 陰て!(笑)
トータス いやだから、お互いが引き立て合ってるわけよ。俺もドーナッツ!のライブ観たけど、ジョンBは陽なこともやろうとしてたやんか、陰やのに(笑)。
──フロントマンですからね。
トータス それってオモロイはオモロイけど、陰のくせに陽をやろうとしてるから、やっぱり無理があるのよ(笑)。
どん底も成功も全部4人で共有してる
──その陽と陰の話で言うと、サンコンさんはどちらなんでしょうか?
トータス サンコンはどっちかわからへんねん。
ケイスケ サンコンはこっち(陽)やと思うな。
サンコン 僕は陰ではないと思う(笑)。
トータス 陰じゃないけど、陽かって言うと……。うーん。
ジョンB あははは(笑)。
──でも逆に言えば、陽の側にいるトータスさんやケイスケさんだけでもダメってことですよね?
トータス 陽だけやと明るすぎて、陰の人がついてこられへんからね。
──確かにそうかも(笑)。
トータス だから俺はその倉本聰の話を聞いてものすごく納得したのよ。自分がソロで1人で背負いきられへんかったのはなんでかがわかった。ウルフルズは表向きは陽のバンドみたいに思われてるけど、陰がいてるから成り立ってるわけ(笑)。
──4人そろったときの絶妙なバランス感はそこなんですね。
トータス しかもこの4人はやっぱりものすごい濃いものを共有してる。酸いも甘いも一緒に味わって、どん底みたいな時期も、ものすごい成功した時期も全部4人で共有してるからね。
──じゃあこれからもウルフルズは、いい感じで活動していけそうですね。
トータス うん、この4人でとにかくやっていけばいいんちゃうかな。あと20年くらいは休まんでも大丈夫やろうし(笑)。ここからまた20年やったらみんな70歳くらいになって、もうストーンズみたいになってまうわけやからね。そこまでいく自分らが想像できひんし、もうただやっていくしかない。そこは動かへんところやね。
- ニューアルバム「ボンツビワイワイ」 / 2015年9月9日発売 / 2916円 / Warner Music Japan / WPCL-12233
- 「ボンツビワイワイ」
- Amazon.co.jp限定盤 [CD+ステッカー]
- 通常盤 [CD]
収録曲
- ボンツビワイワイ
- ロッキン50肩ブギウギックリ腰
- チャリダー
- クラッター
- チークタイム
- スポーティパーティ
- テクテク
- ステキだね
- 愛すれば
- ウルフルシャッフル
ウルフルズ
トータス松本(Vo)、ウルフルケイスケ(G)、ジョンB(B)、サンコンJr.(Dr)からなる4人組ロックバンド。1988年に大阪で結成。1992年5月にシングル「やぶれかぶれ」でメジャーデビュー。1995年発売のシングル「ガッツだぜ!!」が注目を集め、翌1996年にリリースした3rdアルバム「バンザイ」が100万枚を超える大ヒットを記録する。その後も「明日があるさ」「ええねん」など数多くのヒット曲を発表するが、2009年8月のライブを最後に活動休止。2014年2月に約4年半の沈黙を破り再始動を果たす。2015年9月に13thアルバム「ボンツビワイワイ」をリリース。