音楽ナタリー Power Push - 上杉周大

北海道の人気者、ソロでポップスに挑戦

真冬に書いた王道のサマーチューン

──続く「サマーデイズ」はタイトル通り夏をテーマにした曲です。

上杉周大

「ポップスと言えば夏の曲だろう」と思って夏の曲を書きました。みんなが思う夏ってどんなんだろうと思って、僕はあんまり海とか行かないんですけど、海に行ったらこんなことしたいよなっていうのを連想しながら書いてました。2月くらいに(笑)。

──この曲はアルバム発売の前に先行で配信されていましたね。ファンの方からはどんな反応がありましたか?

もともとTHE TON-UP MOTORSを聴いてくれていた方からは「バンドとは全然違う」っていう驚きが多かったですね。バンドを知らない方からは「すごく聴きやすい」「メロディが頭に入ってきやすい」っていう声をもらいました。

──確かにTHE TON-UP MOTORSのサウンドからは少し離れた曲調ですね。

バンドにも夏をテーマにした曲はありますけど、確かに誰が聴いても夏っぽいっていう曲はないかも。できれば夏に海とか、海へ向かう車の中とかで聴いてもらいたいなと。まあ来年になっちゃいますけど(笑)。

エンタテイナー・上杉周大のリスタート

──「銀のピストル」はジャンプブルースのような軽快な曲です。

これは最初、冒頭のアコギを爪弾いてるところだけできて。「あ、これを全国の酒場でヒゲをボーボーに生やして、ウイスキーを片手に弾き語ってたらカッコいいな」と思って書いてたんです。そこからエンタテインメント感のある曲にしようと、どんどんイメージが広がっていきました。

──聴かせていただいて、ミュージカルを観ているような気持ちになりました。

上杉周大

確かこの曲はソロになって最初に書いたんです。このソロプロジェクトっていうのは、ミュージシャンはもちろん、役者などテレビのお仕事もやっていくぞという、“上杉周大”としてのリスタートの意味もあるんですね。だからエンタテインメントっぽさを出したいなと。で、派手で元気で明るい曲をと思って書いたのがこの曲ですね。歌詞では「大丈夫大丈夫!とにかくうまくいくから明るくいこうよ!」という気持ちを込めて、とにかくハッピーな歌にしました。

──酒場のような場所でみんなで踊りながら歌う様子が目に浮かびます。

実際、酔っ払って歩きながら聴くとすごく気持ちいいんですよ。夜風が気持ちいいくらいの今の季節にぴったりだと思うんで、ぜひ。

「生きろ」をシンプルに

──「ライク・ザ・リヴァ―」はピアノ伴奏に乗せたバラードです。後半にはストリングスも入ってきて。

シンプルなソウルバラードに熱烈な憧れがあって。今、僕は33歳なので、少し大人っぽく歌えるかなと思って。メッセージ性もわりと最初から最後まで一貫してますね。

──「生きろ」というテーマですね。

はい、それをテーマにしたのには2つ理由があるんです。1つはちょうど制作期間中に、知り合いが重い病にかかってるっていうのを知って。その方は今はもう元気なんですけど、曲を書いてるときはずっとその人のことを考えていて。毎日を大切に、流れる時間を愛しながらその時間を過ごせたらいいなと思って書きました。

上杉周大

──もう1つの理由はなんなんでしょうか?

去年THE TON-UP MOTORSで北海道の全市町村を回るというツアーをやったんですけど、そこでいろんな人と出会って、生き方って本当に人それぞれだなっていうことを学んだんですよ。港町に行けば漁師さんがいらっしゃって、山のあるところに行けば林業の方がいらっしゃる。そこで生まれ育って、そこで亡くなっていく方もいれば、途中で別の地方へ出て行く、あるいは別の地方から来る方もいる。そういういろんな人生を見ていく中で、ろうそくの炎のように人生があるとしたら、燃え盛っていかないともったいないなと思ったんです。その思いを曲にしました。

──川を舞台にしたのは?

例えば生まれた場所のそばに川があったとして、その川は人が一生を終えても絶えることなく流れているわけじゃないですか。また、川を見ながら物思いにふけるという話もよく聞きますよね。つまり川って感情を投影しやすいんじゃないかなって思ったんです。「川の流れのように」としてもすでにたくさん歌われていますけど。この曲はレコーディングで「もっと力を抜いて歌いましょう」って湯浅さんに何度も言われましたね。どうしても気持ちが入っちゃうんですよね。でも力が入ると、自分の曲になっちゃうから誰かの思いを反映させられるよう、力を入れすぎないように気を付けました。それも湯浅さんと一緒にやって教わったことも1つですね。

ソロアルバム「You Are The MAN!!」2015年11月11日発売 / VAP
初回限定盤[CD+DVD]2700円 / VPCC-80676
通常盤[CD]2160円 / VPCC-81853
CD収録曲
  1. イエス!ソウルミュージック
  2. ハートビート
  3. サマーデイズ
  4. 銀のピストル
  5. ライク・ザ・リヴァ―
  6. ファイターズ讃歌
  7. 虹と雪のバラード
  8. 優しさも捨てているんだぜ
DVD収録内容
  • 「イエス!ソウルミュージック」MV
  • 「ファイターズ讃歌」MV
  • 特典映像
THE TON-UP MOTORS 15th ANNIVERSARY ワンマンショウ 俺とあんたのソウル物語
  • 2015年11月22日(日)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
    OPEN 16:00 / START 17:00
  • 2015年12月6日(日)北海道 札幌市教育文化会館 大ホール
    OPEN 16:00 / START 17:00
上杉周大(ウエスギシュウタ)
上杉周大

1982年2月11日生まれ、北海道出身。2000年に北海道札幌市で結成されたソウルロックバンド・THE TON-UP MOTORSのボーカル。バラエティ番組「ブギウギ専務」(STV)で主役を務めて人気を博し、ラジオのパーソナリティやテレビCM出演など、幅広く活躍している。バンドとしても全国各地のライブハウスでの公演のほか、野外音楽イベントや学園祭などに多数出演。2013年12月発売のニューアルバム「THE TON-UP MOTORS」でバップよりメジャーデビューを果たした。さらに2014年には北海道日本ハムファイターズの応援歌「ファイターズ讃歌」の3代目ボーカリストに起用される。そして 2015年11月に初のソロアルバム「You Are The MAN!!」をリリースした。