すごく右脳を使いました

──前回のインタビューで（参照：上坂すみれ「踊れ！きゅーきょく哲学」&「上坂すみれのひとり相撲2016～サイケデリック巡業～&超中野大陸の逆襲 群星の巻」インタビュー）「年越しライブがやりたい」とおっしゃってましたけど、昨年末は叶いませんでしたね。

はい。でも年越しが近付くにつれ「大変そうだな……」という気持ちになってきたので、やっぱりやらなくてよかったです。貴重な正月休みを費やすなんて。あの発言はなかったことにしたいので、ページは消しておいてください。

──2017年の活動を経て今やってみたいことなど、新しい目標はありますか？

2017年を振り返ると、この資料の1行に集約されていますけど、「なんで冠番組なんてやってしまったんだろう……」という気持ちが大きくて。すごく謎でしたけど、おかげでガッツが身に付いたと言いますか。去年は声優のお仕事もたくさんありましたが、声優以外のお仕事もたくさんあって。「ミュージックステーション」のナレーションをやらせていただいたり、「タモリ倶楽部」に出させていただいたり（参照：上坂すみれ＆トリプルファイヤー吉田、タモリと一緒に世界の早口言葉を学ぶ）、急に浮世絵のモデルに抜擢されたり、いろんなジャンルの出会いが多かったので、すごく右脳を使いました。声優の仕事も反射神経が必要ですが、用意していけるものなので。でも“中の人”活動はあまり筋書きがないから、一瞬で対応するのは体力がいるんだなとわかりましたし、そんなにたくさんはできないですね。いろんな経験をしたからこそ、声優としてのモチベーションが上がりました。

半地下から目を慣らせ

──声優や音楽の仕事以外のことに挑戦してみての一番の収穫は？

収穫と言うか、大きな変化はありました。11月からおもむろに運動を始めたんです。私は紅茶愛好会、料理部、写真部などずっと運動を忌避してきたんですけど、最近「声優は肉体労働なのだな」とわかってきて。吉田豪さんが「サブカルチャーの人は運動しないと鬱になる」と書いていたので、アラサーを迎えるにあたって運動を始めてみたら、意外と続いています。

──どんな運動を始めたんですか？

ボクササイズって言うんですかね。サンドバッグに向かって運動するみたいな。音楽に合わせてキックしたりパンチしたり。

──それはかなり劇的な変化ですね。その話を聞いたら、周りの体育会系タイプの人からいろんなアドバイスや勧誘がありそうですけど。

それは困りますね。水樹奈々さんレベルのトレーニングは私には一生できないので。私が運動を始めたという情報は、水樹さんの耳にだけは届けてほしくないです（笑）。「もっといいエクササイズがあるよ」と教えていただけそうですけど、私は精神衛生のためにやっているだけなので……。

──サブカル鬱を回避するために。

サブカル鬱になりたくないがためにやっているだけで、ステージパフォーマンスをよくしようなんて気持ちはさらさ……あっ。

──「さらさらない」と言いかけましたね。

いや、水樹さんに比べたら微々たるものなので。

──ちなみに水樹さんは上坂さんがボクササイズを始めたのと同時期に、「自分の体の内側をもっと知りたい」という理由でクラシックバレエを始めたそうです（参照：水樹奈々 ベストアルバム「THE MUSEUM III」インタビュー）。まだ極めるか！ と驚きましたけど。

本当ですか！ すべての習い事をマスターしてしまうのでしょうか……。

──でもライブにおける身体能力向上の目的もなくはない？

そのほうが打ち上げで寝たりしないですからね。ライブで全力を使い果たすと飲み会で寝ちゃうから、体力があるに越したことはないと思います。ライブがしんどくなくなれば、もっと楽しむことにつながるのかなとは思うのですが、とりあえず鬱は回避できそうなのでよかったです。

──そういった変化を踏まえて、2018年の目標を挙げるとしたら？

今までずっと、どこか素人のような気持ちでいたんですけど、去年いろんなことを経験して、アンダーグラウンドから半地下くらいまで引っ張り上げられつつある感じがするので、今年は半地下に目を慣らすと言うか……。

──暗闇から目を慣らす作業（笑）。

退化した目をどうにか復活させる作業が2018年の課題なのではないかと思っております。私はずっと地下の人間のままだとは思うのですが、地下の者が地上の人間に敗北するのは悲しいなと思っていたので、地下から地上を攻撃する方法は知っておくべきかなと。具体的には……アンダーグラウンドと大きいハコって相反するものだと思うのですが、地上の人にも興味を持ってきてもらえるような、生き物で言うとウーパールーパーみたいな……全然具体的じゃないですね（笑）。ウーパールーパーを目指すってどうしたらいいんですかね（笑）。