「かわいかろう」を「毛深かろう」に変えたい

──この曲、上坂さんも作詞に参加してるんですよね？

サビのところはそうですね。「♡をつければかわいかろう」につながる文章をくださいって言われて、「猫も杓子もおじさんも」とか「天下三分しなくても」の部分を渡しました。

──いかがです？ 多少なりとも作詞に参加しているこの曲。

私は歌詞を直してくださいってメールしたんですけど、そのメールは闇に葬られたので……。うーん……がんばってレコーディングしました。私の精神力って意外と強いんだっていうのが伝えられればいいと思います。せっかくラジオで「かわいい」の置き換え言葉を誕生させたのにそれをさせてもらえなかったので、アルバムに収録するとしたら「かわいかろう」を「毛深かろう」に変えた修正版にしたいです。

──タイトルごと「♡をつければ毛深かかろう」に変えてやろうと（笑）。“闇のゆいかおり”のイベントのときにも発言していましたが、「かわいい」を「毛深い」に置き換えるって発想、どこから出てきたんですか？（参照：“闇のゆいかおり”上坂すみれ×三澤紗千香、テルミン＆でんでん太鼓で音楽活動開始する）

これは意外と歴史があって、確か「Lady Go!!」（※文化放送のインターネットラジオ局・超！A&G＋で配信されていた「A＆G NEXT GENERATION Lady Go!!」）をやっていたときに、生配信中にお便りをもらったのかな？ 「かわいいが嫌ならいろんな言葉に置き換えてみましょう。湿っているとか」って。

──あははは！（笑） 湿ってるはなんかしょんぼりしますね。「上坂すみれは湿ってる」って言われても。

そうですね（笑）。いろんな試行錯誤がその回に行われて、印象に残ってたんでしょうね、「毛深い」が。それからしばらく時がたち今年4月に「上坂すみれの♡をつければかわいかろう」が始まって、いつかの回で私が提案したんです。そしたら同志諸君も使ってくれるようになりました。

──それで解消できるものですか？ かわいいよって言いたいんだけど言うと怒られるから毛深いって言ってるってことは、“毛深い＝かわいい”だし、上坂さんもそれをわかっちゃってますよね？

でもやっぱり、かわいいの近似値にあるキュートとかだとよくないんですけど、「毛深い」は真反対の世界の言葉なので。かわいいの語感が嫌いなのかな？ 毛深いって言葉は私を通り過ぎていってくれるんです。言葉を置き換えることで脳内でシナプスの旅をしてくれて、その間に脳が落ち着くってことだと思います。

──「かわいい」はガーンと突き刺さってくるけど。

「毛深い」は犬の毛のように会場中に散っていくという。私は脳科学的にも新しいと思っているんですが、同志諸君は言葉を発するときに「これでいいのかな？」って迷いがあるみたいで。毛深いを褒め言葉でストレートに言うっていう命令がなかなか成立しないみたいなんです。

──あえて逆の意味の言葉を指し示すわけですからね。

でも毛深いは“醜い”みたいな主観じゃなくて、状態を表す言葉なので。

──ああ、確かにかわいいゴリラとかいますからね。

はい。毛深さはかわいいということに作用しないので。

──でも上坂さんもハロプロとか好きなアイドルにはかわいいって言いますよね？

私は人にかわいいって言いたくて仕方ないです、はい。

──わがままだなあ（笑）。

普通の人はかわいいって言われてうれしいですよね？ アイドルの方もありがとうって言ってくれますし。「かわいい」って言うことでいい作用をもたらすときとそうでないときがあって、私はあかりちゃん（Juice=Juiceの植村あかり）には「かわいい」って言っていいんです。なんの説得力もないんですけど（笑）、私の場合はそうなので、現場のルールとして覚えておいていただけると。

電波ソングは根性でできている

──この曲、すごく機能的というか、ライブでちゃんとお客さんとコミュニケートできるようになってますよね。「着信！（着信！）」のコール＆レスポンスもそうですし、上坂さんが「あなたはいつでもそうたやすく愛を言うのね」を歌ってる裏で「百戦錬磨の純情 シミュレートは机上の九龍城」を歌わせる感じとか。ライブで絶対盛り上がると思います。

そうですね、表題曲がおとなしいのでいいバランスだと思います。音源では合いの手とか私の声を収録してるんですけど、なかなか口が回らなくて。

──やっぱりレコーディングって大変でした？

やることがいっぱいあったので。主線を録ってハーモニーを録って、追っかけを録って、裏メロを録って、セリフを録って……みたいな。ホント電波ソングって根性でできているんだとわかりましたね。しかもテンションを保たなきゃいけないので、MOSAIC.WAVのみ～こさんに歌い方を学びたいと思いました。

──AKIBA-POPって文科系の子たちの音楽なんだけど、やってる側からしたら体育会系っていう。ほとんど根性論ですね。

それを実感しました。かわいい声で歌わなきゃいけないのに、長時間歌ってると地声がでてくるんですよね。ホントみ～こさんは偉大だと思います。