音楽ナタリー Power Push - 上坂すみれ
“三曲三様”の歌声で魅せる すみぺワールド
目指すは“本格派イロモノ”
──それにしても、上坂さんのシングル7枚並べたときに、この「恋する図形(cubic futurismo)」が1枚ポンッと入ってる面白さってありますよね。つまり、上坂さんの一連の作品ってジャンルではくくれないのに、違和感はない。上坂すみれのハンコが押してあるとちゃんと成立するっていう。上坂さん自身は「私はこうなりたい」とか「ここを目指している」っていうのはあるんですか?
私、目標を決めても全然達成できないので、目標を定めないほうがいいって小学生くらいのときに思ったんですよね。そろそろ25歳なので、なんか目標を作ったほうがいいのかなとも思うんですけど……。
──それって逆にすごいですよね。明確な目標がないにも関わらずメジャーレーベルからフルアルバムを2枚、シングルを7枚出し、声優さんとしても明らかにキャリアアップし、いろんな雑誌にも出てる。なのにご自身にはさしたる目標はない(笑)。
それまずいですね(笑)。どうしたらいいんですかね。確かに「Zipper」に連載を持ち、「Number」(Sports Graphic Number PLUS)のプロレス特集号にまで出るとは思わなかったんですけど。
──では今年下半期の目標は「目標を持つこと」?(笑)
でも世の中にはさしたる目標がないチームもあっていいと思うんですよ。目標があるのはもちろんとても素晴らしいですけど、私は目標があるとそれ以外のことは全部手がつかなくなっちゃうので。ただ、あえて目標を作るなら、“本格派イロモノ”みたいな感じですかね。イロモノなんですけど、わりと豪華っていう。
──なるほど、本来の意味通りの色物っていうんですかね。落語家さんばっかりが出る寄席の中に漫才師さんや紙切りの人が出る。要するに本筋じゃないんだけど、その漫才や紙切りのクオリティはピカイチっていう。
そうなったらいいですね。じゃあそこを目指したいと思います。
怒るけど犯人に出てきてほしい!
──2曲目の「♡をつければかわいかろう」ですが、びっくりしました。MOSAIC.WAVさんが作ってるから電波ソングに寄せるっていうのは想像できたんですけど、それにしても情報量半端ないですね。
MOSAIC.WAVさんの曲でもこんなにぎっしりな曲は聴いたことないですよね。
──音数もそうだし、曲の展開っていう意味での情報量もすごくて。そもそもMOSAIC.WAVさんの楽曲との出会いはいつ頃ですか?
私が秋葉原に行き始めて間もない頃、CDショップで「これがAKIBA-POPだ!」ってPOPが付いてて、「AKIBA-POPっていうのがあるんだ、アニソンとは違うのかな」と思ってアルバムを買って。「ガチャガチャきゅ~と・ふぃぎゅ@メイト」とか「ギリギリ科学少女ふぉるしぃ」とかが入ってるやつだったんですけど、それをお父さんのカーステレオで再生したらとんでもなく速くて2人でびっくりするっていう出会いでした。
──じゃあかれこれ10数年来のファン?
はい、ずっと聴き続けてきましたね。
──上坂さんってPOPに書いてあることまるっと信じますよね。ヘヴィメタルとの出会いもそうでしたし(参照:上坂すみれ「閻魔大王に訊いてごらん」&「80年代アイドル歌謡決定盤」インタビュー)。
押しの強いPOPを見ると「これは聴かねば!」みたいな(笑)。
──で、そうするとメタルなりAKIBA-POPなり、素敵な出会いが待ってるという。ところがとんでもない裏切りに遭いましたね、愛するMOSAIC.WAVさんから。歌詞でいきなり「上坂すみれはかわいかろう」ですよ。
私もてっきりMOSAIC.WAVさんの陰謀だと思ったら、実はMOSAIC.WAVさんが作る段階ですでにこのフレーズは入っていたらしくて。ホント犯人誰なのかわからなくて、怒らないから……いや怒るけど出てきてほしい!
──「上坂すみれはかわいかろう」「さぁわたしを召し上がれ」ですもんね。
「わたしを召し上がれ」はまあ、よくMOSAIC.WAVさんの曲に登場する雰囲気なのでまだいいんですけど、実名を登場させるっていうのは……。しかもこの曲、ラジオ(文化放送「上坂すみれの♡をつければかわいかろう」)のテーマソングになったので毎回流れるんですよ!
──頭サビだからタイトルコールしたら、「♡をつければかわいかろう 上坂すみれはかわいかろう」って。
今は処理しきれてないですけど、いつか「こんな歌ってたな」って思える日が来るかもしれません。まだ生で歌ってないのでどうなるのかわからなくて。
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- ニューシングル「恋する図形(cubic futurismo)」2016年8月3日発売 / KING RECORDS
- 期間限定盤 [CD+DVD] 1944円 / KICM-91705
- 通常盤 [CD] 1404円 / KICM-1705
CD収録曲
- 恋する図形(cubic futurismo)
- ♡をつければかわいかろう
- 文豪でGO!
- 恋する図形(cubic futurismo)-off vocal-
- ♡をつければかわいかろう-off vocal-
- 文豪でGO!-off vocal-
期間限定盤DVD収録内容
- 恋する図形(cubic futurismo)MUSIC VIDEO
ライブ情報
Animelo Summer Live 2016 刻-TOKI-
- 2016年8月26日(金)埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
- 2016年8月27日(土)埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
- 2016年8月28日(日)埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
- ※上坂すみれは8月27日にプラズマジカとして出演
THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 4thLIVE TriCastle Story
- 2016年9月3日(土)兵庫県 神戸ワールド記念ホール
- 2016年9月4日(日)兵庫県 神戸ワールド記念ホール
- 2016年10月15日(土)埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
- 2016年10月16日(日)埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
- ※上坂すみれは10月16日に出演
上坂すみれのひとり相撲2016 ~サイケデリック巡業~
- 2016年12月23日(金・祝)東京都 両国国技館
上坂すみれ(ウエサカスミレ)
ソビエト社会主義共和国連邦が崩壊した1991年生まれの声優、アーティスト。小学生時代よりジュニアモデルとして活動し、2012年テレビアニメ「パパのいうことを聞きなさい!」の小鳥遊空役で本格的に声優デビューを果たす。以来、注目作に出演する一方でメディアやイベントなどを通じて、無類のロリータファッションマニア、ソ連・ロシアマニア、ミリタリーマニア、音楽マニアであることがファンの知るところに。そして2013年4月、その趣味の世界をダイレクトに反映したシングル「七つの海よりキミの海」でアーティストデビュー。その後も桃井はるこ作詞作曲の「げんし、女子は、たいようだった。」や、大槻ケンヂ作詞、NARASAKI作曲の「パララックス・ビュー」など話題作を立て続けにリリースし、2014年1月には1stアルバム「革命的ブロードウェイ主義者同盟」を発表する。同年7月、及川眠子、サエキけんぞう、窪田晴男、谷山浩子らを作家陣に招いた4thシングル「来たれ!暁の同志」を、12月には5thシングル「閻魔大王に訊いてごらん」と自薦の80年代アイドルナンバーをコンパイルした「上坂すみれ presents 80年代アイドル歌謡決定盤」を発売した。2016年1月には丸2年ぶりとなる2ndフルアルバム「20世紀の逆襲」を、同年8月に7thシングル「恋する図形(cubic futurismo)」をリリース。12月には東京・両国国技館でワンマンライブを実施する。