音楽ナタリー Power Push - 上坂すみれ
「20世紀の逆襲」から読み解く 21世紀を生きる表現者・すみぺの正体
やった! お仕事の話が来た!
──「私の歌を聴いてください!」という欲求が薄いとなると、なぜCDをリリースし、ステージに上がるんでしょう?
同志諸君(※上坂ファンの総称)をイジりたい……じゃないですね(笑)。同志諸君とコミュニケーションしたいからなんだと思います。花やしきのイベントがまさにそうなんですけど、私のライブやイベントは町内の子供会スタイルというか。よい子のみんなとMCという名のおしゃべりを楽しみつつ、お歌の時間になったら、そのみんなと一緒に歌う(笑)。それができることが音楽活動をするモチベーションになっているんだと思います。
──でもその理由って後付けですよね。ライブを開催するより先にデビューシングル「七つの海よりキミの海」を発売しているわけですから。2012~3年当時、スターチャイルドから「CDデビューしませんか?」という打診があったとき、なぜ引き受けたんでしょう?
実は「歌いたい」っていう欲求が発端になっていたわけではないような気がしていて。今冷静になって振り返ってみると「やった! お仕事の話が来た!」っていう気持ちが一番大きかった気がします(笑)。
──あはははは(笑)。声優としてのキャリア間もなくあった打診だから。
そんなにアフレコのお仕事もなかったので。……って、私、スタチャさんに失礼極まりないことを言ってますね(笑)。
「お仕事」から「すごく楽しいこと」へ
──いや、むしろダイナミックないい話だと思います。「お仕事」として音楽活動を始めた人が、3年後にはボーカルスタイルを確立しつつあり、そのスタイルで歌うライブに喜びを見出している。しかも2月にはそのライブ観たさに中野サンプラザホール2日分、つまり6000もの人が集まるわけですから。
確かに声優のお仕事も忙しくさせていただいている今は、お芝居と音楽が並列、両輪みたいになっているから、もはや音楽活動は単なる「お仕事」じゃなくて「すごく楽しいこと」になってます。その理由には同志諸君をイジれるからっていうのもありますし(笑)、あと音楽活動をしている声優さんならきっと皆さんおっしゃっていると思うんですけど、声優のお仕事って自宅で台本を読み込んだり、スタジオで画面を観ながらアフレコしたり、静かな作業が多いんです。
──アニメ作品のステージイベントやアニメ誌・声優誌の取材もあるけど、裏方的な側面が強いですよね。
でも音楽活動は声優とは違う魅力があって。曲のレコーディングはスタジオでの作業になりますけど、その後、その曲を皆さんの前で歌って踊ってみせるステージイベントがお仕事の中でも大きなウェイトを占めているから。その切り替えが楽しいんですよね。しかもお芝居と音楽ってまったく別世界のことではないとも思っていて。たくさんの人に会えるライブには声優・上坂すみれにもなんらかのフィードバックがあるはずですし。特に私のライブはセーラー服を着ている女の子もいるし、ロリータファッションの人もいるし、飛行士の制服にガスマスク姿の人もいるし、全然違うアイドルさんのTシャツやプロレスTシャツを着ている人もいるし、オタクの博覧会みたいなところがあるんです。その一見てんでバラバラの人たちはどういう人たちなんだろう? なぜ今ここに集まってきているんだろう?という感じで思いを巡らせることが、もしかしたらお芝居に何か影響を与えるんじゃないかっていう期待もあるし、「私が何をすればみんなは盛り上がってくれるんだろう?」って思案することもきっとお芝居に生きてくるはずですし。
──ただ先ほど「リア充的には生きられない」と言っていた。実は積極的に人前に出て行ったり、身体を使って人に何かを表現したりするタイプでは……。
ないですね。これはまだ20世紀だった頃の話ですけど、子役時代のお仕事の思い出の中には年表の見出しにカッコ書きを加えたくなるもの、検閲・削除したくなるものが少なくないですし(笑)、もし子供の頃バレエ教室に通ったりしていたとしても、絶対に発表会には出たがらなかった気がします。
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- ニューアルバム「20世紀の逆襲」2016年1月6日発売 / STARCHILD
- 初回限定盤A[CD+Blu-ray]3888円 / KICS-93336
- 初回限定盤B[CD+DVD]3888円 / KICS-93337
- 初回限定盤C[CD+写真集]3888円 / KICS-93338
- 通常盤[CD]3240円 / KICS-3336
CD収録曲
- 予感02
[作曲・編曲:R・O・N] - 20世紀の逆襲 第一章~紅蓮の道~
[作詞・作曲・編曲:絶望ノ果てのクリシェ] - パララックス・ビュー
[作詞:大槻ケンヂ / 作曲:NARASAKI / 編曲:Sadesper Record] - 冥界通信~慕情編~
[作詞・作曲・編曲:和嶋慎治(人間椅子)] - 繋がれ人、酔い痴れ人。
[作詞・作曲・編曲:吟(BUSTED ROSE)] - すみれコード
[作詞・作曲:松永天馬(アーバンギャルド) / 編曲:アーバンギャルド] - TRAUMAよ未来を開け!!
[作詞:サエキけんぞう / 作曲・編曲:窪田晴男] - Inner Urge
[作詞・作曲:松浦勇気 / 編曲:橋本由香利] - 無限マトリョーシカ
[作詞:谷山浩子 / 作曲・編曲:Леснойпутешественник] - 無窮なり趣味者集団
[作詞 上坂すみれ / 作曲・編曲:エンドウ.(GEEKS)] - 来たれ!暁の同志
[作詞:及川眠子 / 作曲・編曲:岡部啓一] - 20世紀の逆襲 第二章~蠱惑の牙~
[作詞・作曲・編曲:絶望ノ果てのクリシェ] - 閻魔大王に訊いてごらん
[作詞:RUCCA / 作曲・編曲:岩橋星実(Elements Garden)] - 罪と罰 -Sweet Inferno-
[作詞:RUCCA / 作曲・編曲:岩橋星実(Elements Garden)] - 全円スペクトル
[作詞・作曲・編曲:吟(BUSTED ROSE)] - 革命的ブロードウェイ主義者同盟(INST piano solo ver.)
[作曲・編曲:遠山明孝] - ツワモノドモガ ユメノアト
[作詞:椎名可憐 / 作曲・編曲:牧元芳朗(strip)] - 20世紀の逆襲 第三章~絶境の蝶~
[作詞・作曲・編曲:絶望ノ果てのクリシェ]
初回限定盤A、B Blu-ray&DVD 特典映像
- 「七つの海よりキミの海」Music Video
- 「げんし、女子は、たいようだった。」Music Video
- 「革命的ブロードウェイ主義者同盟」Music Video
- 「パララックス・ビュー」Music Video
- 「来たれ!暁の同志」Music Video
- 「閻魔大王に訊いてごらん」Music Video
- 「Inner Urge」Music Video
- 「テトリアシトリ(PARKGOLF REMIX)」Music Video
ライブ情報
超中野大陸の逆襲 群星の巻
2016年2月11日(木・祝)東京都 中野サンプラザホール
超中野大陸の逆襲 草莽の巻
2016年2月12日(金)東京都 中野サンプラザホール
上坂すみれ(ウエサカスミレ)
ソビエト社会主義共和国連邦が崩壊した1991年生まれの声優、アーティスト。小学生時代よりジュニアモデルとして活動し、2012年テレビアニメ「パパのいうことを聞きなさい!」の小鳥遊空役で本格的に声優デビューを果たす。以来、注目作に出演する一方でメディアやイベントなどを通じて、無類のロリータファッションマニア、ソ連・ロシアマニア、ミリタリーマニア、音楽マニアであることがファンの知るところに。そして2013年4月、その趣味の世界をダイレクトに反映したシングル「七つの海よりキミの海」でアーティストデビュー。その後も桃井はるこ作詞作曲の「げんし、女子は、たいようだった。」や、大槻ケンヂ作詞、NARASAKI作曲の「パララックス・ビュー」など話題作を立て続けにリリースし、2014年1月には1stアルバム「革命的ブロードウェイ主義者同盟」を発表する。また同年7月、及川眠子、サエキけんぞう、窪田晴男、谷山浩子らを作家陣に招いた4thシングル「来たれ!暁の同志」を、12月には5thシングル「閻魔大王に訊いてごらん」と自薦の80年代アイドルナンバーをコンパイルした「上坂すみれ presents 80年代アイドル歌謡決定盤」を発売。そして2016年には丸2年ぶりとなる2ndフルアルバム「20世紀の逆襲」をリリースした。