ライブ序盤からマネキンに扮していた全身タイツ姿のダンサーと、ステージ後方の巨大ディスプレイに映し出されたアニメーションと見事なシンクロダンスを披露した「テトリアシトリ」や、アーバンギャルドの面々が制作した「すみれコード」をパフォーマンスすると、上坂はいったんステージをあとにする。

──ダンサーが決起集会のステージに上がること自体、去年の4月の東京キネマ倶楽部での決起集会（参照：上坂すみれ、GWの決起集会で熱唱＆腹話術！社交ダンスも）以来ですよね。

あの伝説の（笑）。

──上坂さんが舞台袖に引っ込んだあと、なぜか社交ダンスペアが現れてガチの競技ダンスを披露するという（笑）。なぜ今回は“きちんと”ダンサーと一緒に踊ろうと？

単純にサンプラザのステージがこれまでの決起集会の会場よりも広かったっていうのと、あとセットリストと同じ話になってしまうんですけど、やっぱり「総決起集会だったから」ですね。何か新しいこと、特別なことをやろうっていう話になって、振り付けのYumiko先生がダンサーチームの方を連れてきてくださったんです。ただ実はあのダンサーの皆さんってすごい美女揃いだったんですけど……。

──最終的にはレオタードやスーツに着替えてましたけど、最初は黒の全身タイツ姿でしたね（笑）。

それが本当に申し訳なくて……。「絶対憎まれてるぞ」って思ってます（笑）。

──ただそのダンスはキマっていた。シンクロさせるところはビシッとシンクロさせて、でも「キャラメル桃ジャム120％」ではアニメ「鬼灯の冷徹」のピーチ・マキの設定になぞらえて、ダンサーは満面の笑みで全力で踊ってるのに当の上坂さんだけやる気ゼロっていうコンビネーションを見せたりもしていて。

ありがとうございます（笑）。サンプラザを想定した大きなスタジオでリハーサルをしたのは2回だけだったんですけど、レッスン自体はそれこそ革ブロが立ち上がってから1年間ずっと続けていたので。だからちゃんとできたのかもしれないですね。

ピンクのギンガムチェックのブラウスと、「メンコ」「手りゅう弾」「無版権のお面」「しっぽ」などがあしらわれた「中野的スカート」にお色直しし、ステージに再登場した上坂は、自身曰く「荒唐無稽」なコーナー「上坂すみれの遠くてごめんなさい」をスタート。「あなたの顔をしかと記憶して帰りたい」と語った彼女は、再びステージを離脱。カメラを伴ってホール外の廊下から客席を目指す。

途中ナポリタンスパゲティのパックを拾うなどの珍道中を繰り広げつつ、2階席の最奥と1階席最奥に辿り着いた彼女は、自らセレクトしたアイテムの数々を同志諸君にプレゼント。マンガ「キン肉マン」20巻や「ドン・ドラキュラ」2巻などを同志に手渡し、ガチャガチャのカプセルを客席へと投げ込む。さらに上坂のブロマイドをまとめたアルバムを掲げる同志を発見すると、その空きスペースに江頭2:50のポストカードを挿し「コンプリート、おめでとう！」とページが埋まったことを祝福した。

私、何やってるんですかね？

──上坂さんにわからないなら、我々にはわかりません（笑）。ただキネマ倶楽部での社交ダンスしかり、決起集会では常に音楽以外の企画も展開しているし、それが大きな魅力になっています。なんでこういう構成に？

デビューしたばかりの頃は持ち曲が少なすぎたので、音楽だけだと時間がもたなかったんです（笑）。それで、曲の代わりに何か企画コーナーをやっていたんですが、同志諸君の好評をいただけているようだし、私自身もすごく楽しかったので、そのまま継続することになって。「サンプラザで総決起集会をやります」っていうお話をいただいたときにも、私もスタッフの皆さんも「企画コーナーは当然やるよね」っていう雰囲気になってました。

──じゃあサンプラザの客席を練り歩こうというアイデアはどこから？

サンプラザって大きい会場ですし、お客さんとしてライブを観に行くといっつも「やっぱり2階席は遠いなあ」って思っていたので。本当にMCの通り、遠くの席の同志諸君の顔も「しかと記憶して帰り」たかったので「2階席に行ってみたいです」ってスタッフさんにお願いしました。

──そして最大の疑問なんですけど、なんで「キン肉マン」20巻を？

TwitterでもナタリーさんのレポートのURLと一緒につぶやいたんですけど、背表紙にアシュラマンが描いてあったので……。

──そのツイートを読んだとき「いや理由になってないじゃん。オススメのマンガなら第1巻を渡そうよ」って思ったんですけど……。

でも「キン肉マン」は超メジャー作品ですし、同志諸君も持ってると思うんですよね。

──だったらその同志は20巻も持ってると思うんですけど……。

あっ！ じゃあ同志諸君に「私が好きなのはこの巻！」っていうことを理解してもらいたかったっていうことで……。

──了解です（笑）。