自分を支えてくれる人たちが増えていくのはうれしい
──そして今回、アルバム「新緑」でメジャーデビューを果たしました。率直なお気持ちはいかがですか?
僕が音楽を始めた頃のメジャーデビューと令和になってからのメジャーデビューでは、その意味合いがまた違うものになっているような気がするので、ひと言で言い表すのは難しいんですけど……自分を支えてくれる、自分の人生に関わってくれる人たちが増えていく感覚はすごいうれしいものですよね。その人たちのためにがんばるぞっていう気持ちも強まっていますし。たくさんの人と一緒に大きな船に乗って走っていくことを純粋に楽しんでいければなと思っています。
──アルバムは新曲をまとめたDISC 1と、インディーズ時代の楽曲で構成されたDISC 2の2枚組です。上野さんのこれまでと今を感じるに最適な内容ですね。
DISC 1に関しては「出会いと別れ」をテーマに作っていったんですよ。これまではテーマを決めて曲を作ることがほぼなかったので、すごく新鮮さがありましたね。春にリリースされることも決まっていたので、自分自身の「これから行くぞ!」という気持ちも込めて、それぞれの曲に向き合っていきました。
──上野さんの根幹には弾き語りがあると思いますけど、DISC 1には多彩なアレンジが施された楽曲も多いですよね。
そうですね。インディーズ時代の楽曲はすごくシンプルで、そういった曲たちの魅力は今回、DISC 2でしっかり見せることができているんです。なので、DISC 1ではいろいろな新しいことに挑戦したい気持ちが強かった。どうやったらより多くの人に広がるのかっていうことは常に考えているので、いろいろな角度から攻めていった結果、バラエティに富んだ作品になったと思います。
──アレンジが施されているとは言え、吸引力のあるグッドメロディと琴線を震わせるボーカルが上野さんの音楽の軸であることは明確ですしね。
どの曲もデモは弾き語りの状態ですからね。僕の中で、弾き語りしていい曲に聞こえないとダメ、という気持ちが強いんです。ライブではアレンジされた曲も弾き語りスタイルで披露することになると思うので、そこで「弾き語りもすごくいい!」と思ってもらえたらうれしいです。
メジャーデビューはやっぱり大きなことだった
──リード曲となる「新緑」は、DISC 1の中では比較的シンプルな音像で。上野さんの音楽性を象徴する雰囲気があります。
僕の場合、いいフレーズが1つ生まれると、その前後もどんどん固まっていくんですよ。この曲で言うと、「街は7日で着替わって」というBメロの部分をきっかけに世界観を広げていった感じでしたね。珍しく15回くらい歌詞を書き直したんですけど、そのことによって楽曲がより洗練されていった気がします。聴いてくださる皆さんの中にある3月と4月、出会いと別れの記憶を投影できる曲が書けたと思います。
──「ランタナ」はかなりおしゃれなアレンジになっていますね。途中、ラップっぽいフロウで歌われるパートもありますし。
かなり挑戦でしたね(笑)。これはスカートの澤部渡さんとPUNPEEさんがコラボしていたアニメ「オッドタクシー」の主題歌に触発されて書いたものなんですよ。ああいったグッドミュージックが僕は大好きなので、そこを自分なりに掘りながら作っていきましたね。
──続く「予感」は疾走感のあるロックナンバーになっています。
この「予感」と、アルバムの1曲目に入っている「夏風を待って」は自分の今までの軌跡をたどった内容になっていると、マスタリングのときに気付いたんですよ。なんでそういう歌詞を書けたのか考えると、そこにはやっぱりメジャーデビューという大きなきっかけがあったように思うんです。
──なるほど。1つの大きな節目を迎えるにあたって、これまでの思いを無意識に曲へと刻んでいたのかもしれないですね。
はい。あまり意識してはいなかったけど、自分にとってメジャーデビューはやっぱり大きなことだったんだなと自分の曲を聴いて思いました(笑)。ある種、備忘録みたいな意味合いの2曲でもありますね。
──アルバムはラストの「ざわめき」で感動的なエンディングを迎えます。
弾き語りをメインにしつつ、そこにチェロを多重録音して形にしていきました。タイトルが示すように、この曲を聴いていると心がざわざわしてくる感覚があって。いろいろなサウンドを持った曲が並んで、最後に弾き語りの「ざわめき」が来ることで、「あ、やっぱりこれが自分なんだな」って気付かされるところもありました。自分にとっては、これからもずっと大切にしていきたい1曲ですね。
何年、何十年経っても愛され続ける曲を書く
──一方、インディーズ時代の曲をまとめたDISC 2に収められた8曲を聴いて、どんなことを感じますか?
今の時代には珍しく、オーガニックな雰囲気を持った曲が多い印象ですね。僕自身はもちろん、チームの人たちも含め、上野大樹はそういうものだというイメージがあったんだと思います。活動の中でいろいろな知識が増えていくことで、サウンド的には肉付けしていきたくなる感情もあるんですよ。DISC 1がそうだったように、サウンドを肉付けすることで生まれる新鮮な表情もあるし、それも大事だったりはする。ただ、改めてこのDISC 2を聴くと、そういった気持ちをちょっとリセットできたところがあったんですよね。自分に求められているものはなんだろうという、その答えに気付かせてくれたような気がします。そのうえで、これからどんな曲が生まれてくるのかが自分でもすごく楽しみです。
──5月5日にはアルバムを引っ提げた全国ツアーもスタートします。ご自身の中ではメジャーシーンでの活動にどんな展望を抱いていますか?
まずツアーに関しては、今までで一番規模が大きくなっているので、まだ出会えていない人たちに会えるのが楽しみですね。ライブという空間で僕の曲の深いところに触れてもらうことで、1人ひとりの世界を広げてあげることができたらいいなと思っています。曲がまとっていた装飾をすべてはがした状態での弾き語りライブで、みんなの心の鎧もはがしていきたいです。で、今後の展望に関しては、ずっと残り続ける曲を作ること。何年、何十年経っても愛され続ける曲を書くことが一番大事にしたいことではあって。ただ、それは人生を通しての目標だと思うので、日本武道館でのライブだったり、「紅白」(「NHK紅白歌合戦」)出演だったり、そういった近いところの目標もしっかり立てつつ、そこ目がけて進んでいけたらいいですね。いい曲を書いてるからそれでいいっていうわけではなく、挑むべき場所ではしっかり勝負を仕かけていきたいと思います。
ツアー情報
上野大樹 新緑-shinryoku-
- 2023年5月5日(金・祝)熊本県 熊本B.9 V2
- 2023年5月6日(土)福岡県 ROOMS
- 2023年5月20日(土)大阪府 BIGCAT
- 2023年5月28日(日)愛知県 SPADE BOX
- 2023年6月11日(日)新潟県 CLUB RIVERST
- 2023年6月17日(土)静岡県 LIFE TIME
- 2023年6月24日(土)宮城県 enn 2nd
- 2023年7月1日(土)兵庫県 神戸VARIT.
- 2023年7月2日(日)京都府 磔磔
- 2023年7月22日(土)岡山県 CRAZYMAMA 2nd Room
- 2023年7月23日(日)高知県 X-pt.
- 2023年8月4日(金)北海道 cube garden
- 2023年8月11日(金・祝)群馬県 前橋DYVER
- 2023年8月26日(土)東京都 I'M A SHOW
プロフィール
上野大樹(ウエノダイキ)
1996年9月21日生まれ、山口県宇部市出身のシンガーソングライター。学生時代に参加したヤマハ主催の音楽オーディションでグランプリを獲得。2020年に自宅でレコーディングした楽曲「ラブソング」をYouTubeで公開した。2021年10月にシングル「NAVY」を配信リリース。2022年に「面影」がBSテレ東のドラマ「今夜はコの字で Season2」の主題歌として、「きみと雨」がBS松竹東急のドラマ「シネコンへ行こう!」の主題歌として使用された。2023年4月にavex内のレーベルcutting edgeよりメジャー1stアルバム「新緑」をリリース。同年5月から8月にかけて全国ツアー「上野大樹 新緑-shinryoku-」を行う。
上野大樹 (@uenodaiki_) | Instagram
着用衣装
デニムジャケット 42900円、デニムパンツ 33000円(JUHA/JUHA)、シャツ 37400円(KIMMY/ Sakas PR)、スニーカー 39600円(YOAK/ HEMT PR)、
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