ナタリー PowerPush - 植村花菜
デビュー10周年を前に考える「大人の女性の生き方」
Wikipediaで地方の出身歌手を検索
──2月22日からは「あなたの街におジャマしますTour 2014~ギターと私~」がスタート。このタイトルを掲げてのライブは約2年ぶりですが、わりと細かく全国を回るツアーになるんですね。
はい。年明けから攻めます! 東名阪以外の場所って、普段のツアーでもなかなか行けないことが多くて。例えば九州とかからわざわざ東京や大阪に来てくれるファンの人には、ありがたいけど申し訳ないっていう気持ちもあったし、普通に遠すぎて行けないって人もきっといてくださると思うので。だからこの「あなたの街におジャマしますTour」は、普段のツアーでは行かないところに行って、小規模かつアットホームな感じで歌を聴いてもらう……というのがコンセプト。本当に「皆さんの地元におじゃまします!」って感じなんです。今回も半分以上、ワンマンでは初めて行く土地ですし。2年前、1人でアメリカ武者修行をしたんですけど(参照:植村花菜「Steps」インタビュー )、今度は日本で武者修行しようかなって。
──初めての場所で初めてのお客さんに歌を届けるとき、意識することや「こういうことを伝えたい」というものはありますか?
私の音楽を聴いてちょっとでも前向きになったり、楽しく明るい気持ちになってもらえたらいいなって思いながらいつも歌ってます。あと「あなたの街におジャマします」においては、私が皆さんと仲よくなる方法としてやってることがあって。人って無条件に同郷の人を応援しちゃう傾向があるじゃないですか? 歌手も同じだと思ってて、各地方のご当地ソングというか、その地方出身のアーティストの曲を歌ったりしてるんです。
──植村さんがそれを歌った瞬間、みんなの心の扉がキーっと開く、みたいな?
そう、ホントそんな感じです! だからいつも「この県からは誰が出てるんだろう?」って、Wikipediaで探してるんですよ(笑)。
──なかなかめぼしい人がいない場合は?
誰もおらんやないか!っていう県、たまにありますね。誰もが知ってる人じゃないとみんなポカーンとしてしまうので、そういうときは悩みます。岐阜に行ったときは、いわゆるJ-POPのアーティストが見当たらなくて、野口五郎さんの「私鉄沿線」を歌わせていただきました(笑)。今度のツアーも今からWikipediaで候補を探してます。新潟はもしかしたら、小林幸子さんの歌をギターでカバーするかも……まあ、そこでしか見られない面白さだと思って楽しんでもらえたらいいですね。
──そこにだいぶ力が入ってるんですね。
はい。むしろそこが一番です!(笑) 「あなたの街におジャマします」は、みんなとの距離をいかに縮められるかっていうのが大きなテーマなので。
子供も欲しいけど、まだやりたいことがいっぱいある
──言わずと知れた大ヒット曲「トイレの神様」を持ち、これまでホール規模でのライブも経験されている植村さんですが、オールスタンディングのライブハウスを細かく回る「武者修行」というスタイルのほうが肌に合ってるんでしょうか?
そうですね。なんせ近いのがいいんですよ。私はもともとストリート出身で、1日に1人でも止まってくれたら「ああ、今日やってよかった」っていうところからスタートしてるので。究極を言えば、お客さんが1人でもいいんです。大きなところでやらせてもらえるのももちろんありがたいし、それはそれでちゃんと演出を組んでやるんですけど……自分に合ってると思うのはやっぱり小さめのハコで、みんなが肉眼で見られる距離感。できるなら両方やらせていただきたいですが、原点は忘れずっていうところですね。
──最後に、1月4日で31歳の誕生日を迎えられましたが、30代の女性像として描く理想はありますか? こういう大人の女性になっていきたいとか。
私、子供のときから全然変わってないんですよ。だから30代も何も変わらへんのとちゃうかな(笑)。でも30代になって思うのは、やっぱり子供は欲しいなってこと。自分が4人兄弟だったので、できるだけたくさん欲しいんですよ。現実的にうまくいくかはわからんけど、30代のうちに2人は産みたいですね。
──でも出産~育児となると、仕事とのバランスが大変そう。
うん、それは考えますね。実際産んで育ててみないと、どれくらい両立できるのかわからないし。でも、どんな形であれ歌は死ぬまで続けていくので。今年はニューシングルのリリースと弾き語りツアーから幕が明けて、その後も今までやってないような面白いことを考え中なんです。子供を産みたいと言いつつ、来年はデビュー10周年ですし、まだまだやりたいことがいっぱいあるんですよ。
──植村さんならどっちもバリバリやれそうな気もしますけどね。
確かにそうかも(笑)。今やらせてもらってる活動を、自分のペースでコツコツ大事に積み重ねていけるような30代を過ごせたらいいなって思います。
収録曲
- 輝く時間(とき)の中で
- 気にThrough, 気にしNight
- Wonder Of Wonders
植村花菜(うえむらかな)
兵庫県川西市出身。1983年1月4日生まれのシンガーソングライター。8歳のとき、ミュージカル映画「サウンド・オブ・ミュージック」を観て歌手になることを決意し、その日から毎日歌の練習を始める。19歳で曲作りを始め、地元を中心とした関西各地のストリートやライブハウスで活動を行う。その後「ストリートミュージシャンオーディション」で1200組の中からグランプリに選ばれ、2005年にシングル「大切な人」でメジャーデビュー。2010年3月にリリースしたミニアルバム「わたしのかけらたち」に収録の「トイレの神様」は口コミで話題になりドラマ化、小説・絵本化も実現し、同年末の「NHK紅白歌合戦」に初出場を果たした。その後コンスタントに作品を発表し続け、2013年3月にミニアルバム「Steps」を発売。翌2014年1月には2年ぶりのシングル「輝く時間の中で」をリリースする。