ナタリー PowerPush - 宇宙人
脱・不思議バンド? あさこはただいま急成長中
いたずらはクリエイティブの最高峰です
──先程、曲作りのためにキングレコードに入り浸ってたと言ってましたが、そこで何をしていたんですか?
すごく狭い部屋に1日中いました。窓のない部屋でした。
──そう聞くと、すごくかわいそうですね(笑)。
違います。自ら進んで通いました。キングレコードのいろんな人がおやつとか持ってきてくれて、すごくうれしかったです。ラジオの電波がすごく悪かったです。
──自宅では作業がはかどらないから缶詰になったということですか?
やる気があんまりなくて、また今までどおり流れでなんとなく曲を作ることになりそうだったから。そしたら宮本ボーイが「会社で作ったら?」って言ってくれて、行ってみたら楽しくなりました。やる気も上がりました。
──部屋の中ではどんな1日を過ごしたんですか?
朝10時に来る日と11時に来る日があって、帰りは夜の7時です。曲を作って、歌って、録音して、渡して帰ります。後で宮本ボーイから「○○がやべえ!」みたいなメールが届きます。
──キングレコードの社員みたいな生活ですね。
いたずらはやりつくしました。
──いたずらとは?
部屋の電話でいろんな番号に内線をかけました。「松井です」って、人の名前を勝手に使って社内のいろんなところに。
──わはは(笑)。
宮本ボーイが困ってました。「マジやべえ」とか言って。
スタッフ 一時期「変な電話がかかってくる」って話題になってたんですよ(笑)。
あとゴキブリ人形とかやりました。
──ゴキブリ人形ってなんですか?
スライド式のガムのケースの中にゴキブリのおもちゃを入れておいて、人がそれを食べようとしたら「うわあ!」みたいな。これはレコーディング中にもやりました。
──いたずらが好きなんですね。
いたずらはクリエイティブの最高峰です。ほかにもいっぱい思いつきました。でもやる前に止められたのが多いので、まだできてないのが結構あります。
──缶詰生活だったわりに楽しそうですね。
楽しかったです。また通おう。あの部屋で暮らしたいな。ふふふ(笑)。
「端っこと端っこの両極端」みたいな意味です
──「楽日」は「若大将のゆうゆう散歩」のエンディングテーマになりましたが、テレビ番組のタイアップが決まってどうでしたか?
若大将と宇宙人が並ぶのが面白かった。
──自分の曲がテレビで流れてるのを観て、どう思いました?
散歩の時間よりコマーシャルのほうが長かった。
──いや、番組の感想じゃなくて自分の曲が流れた感想です。
画面に「エンディングテーマ:宇宙人」って出て、うわあって思いました。記念写真撮ろうとしたら一瞬で場面が変わりました。良い曲でした。
──もし両親が番組を観ていたら、自分の仕事ぶりをアピールできそうですね。
観たって言ってました。実家では2週間遅れで放送されてます。「観た観た。散歩の時間よりコマーシャルのほうが長かった」って言われました。
──親子で同じ感想なんですね(笑)。ちなみに「楽日」は何を表現した歌なんですか?
これは「死後の世界」と「死後の世界じゃない世界」の間の世界を歌いました。今回の作品はどの曲も「端っこと端っこの両極端」みたいな意味を込めてます。
──なるほど、このちょっと不思議で幻想的な雰囲気は「天国っぽい」ってことなんですね。
「全米が泣いた」ってナタリーに書いてください。
──そんな嘘は書けませんが、でも以前のトリッキーな雰囲気が少し薄れて、ストレートに「いい曲」だなとは思いました。
意味を匂わせる感じにできましたか?
──できたと思います。
良かった! うふふ(笑)。
収録曲
- ものすごい関係
- 孔雀草
- はーとトリップ
- 楽日
- ヤノコージ
- 脳内ふりかけ
- アウトレイジ
- エイのうらみたいないきもの
宇宙人 (うちゅうじん)
しのさきあさこ(Vo)、こまつけんた(G)、にいやひでひろ(B)、わだまこと(Dr)の4人のメンバーによるポップバンド。2008年頃に結成され、地元でのライブ活動やデモ音源の配布、販売などを全く行わないまま、2010年に「FUJI ROCK FESTIVAL '10」のROOKIE A GO-GOステージに出演した。2011年7月に初の音源となるシングル「アメーバダンス / あこがれのネクタイ」をパーフェクトミュージックから、同年8月に1stアルバム「お部屋でミステリーサークル」をGYUNNE CASETTEからそれぞれリリース。「お部屋でミステリーサークル」は「第4回CDショップ大賞」で中国四国ブロック賞を受賞した。2012年にはスターチャイルドからメジャーデビューを果たし、短期間に「慟哭」「珊瑚」という2枚のミニアルバムを発表する。不思議な世界観と中毒性の高いポップセンスで、じわじわと人気を拡大している。