ナタリー PowerPush - 宇宙人
ついに接触に成功!初めて明かされる謎の数々
最近は「箱」について調査しています
──意味といえば、「アメーバダンス」の歌詞の「ザーク ドッホ ヴァス ヴェア ヴァイス」っていうのは何ですか?
あ、それドイツ語です。でも、意味は忘れました。ドイツが好きで、ドイツ語の本で文章の状態になってたものをそのまま引用しました。いい曲や。
──何かの擬音なのかと思いました。「ふりかえる、フレネミー」でも「タン トン タン」みたいに擬音を使っていたから、そういうのが好きなのかなって。
お、確かにそうかも。デモを聴かせるときはギターかピアノなんですけど、ほとんど「ジャーン!」くらいのざっくりした音でしか弾かないですね。そのくらいの状態から肉付けしていったほうが面白くなるので。
──「ある日のできごと」は歌メロと演奏をあえてズラした、スレスレのところでつながっている感覚がいいですね。
そう、合わせないようにしました。あの曲は時間で区切ってます。20秒ごとに歌や違う展開が入るように録りました、ストップウォッチで計って(笑)。けっこう緻密に考えたほうかもですね。
──今回のアルバムって、特にプロデューサーがいらっしゃるわけではないんですよね?
いませんね。須原さんもずっと「いいね!」しか言ってないし(笑)。(モノマネで)「おっ、いいよ! いいよ!」って。
──あははは! しかし、話を聞いていると本当にあざとさがなくていいですね。1stアルバムで自分たちのやりたいことを表現できた感触はありますか?
全然ないです。「お部屋でミステリーサークル」は持ち曲をとりあえず詰め込んだようなアルバムですからね。今はまたどんどん曲を作ってて、次のアルバムのことを考えてます。次は箱の話です(笑)。自分が詰められて嫌な箱と詰められても大丈夫な箱はどんな箱かをいろんな人に訊いて調査してます。みんな返事が違うんですよ。「ぴったりフィットする箱でネットがつながったら最高」とか、「広すぎて移動中に落ち着かないのは嫌だ」とか。
──言葉からは音の想像が全くつかないです。言葉のチョイスも独特だと感じました。「フレンド」と「エネミー」を合わせた造語の「フレネミー」を使うところとか。
「フレネミー」という言葉は「ホンマでっか!? TV」で知りました(笑)。植木(理恵)先生が使ってました。
──現実のネガティブな実体験とかが曲になってるのかと思いきや、全く違うんですね。「ふりかえる、フレネミー」に続く「自分勝手にタイムコントロール」は若者の虚無的なタイム感や生活の惰性を絶妙に表しているし、そのあとに「生活ガイド」って曲があって、このへんの一連の流れがアルバムの中で一番ディープでありながら、とても心地いいですよ。
おおお! そうですかあ。曲順は私と須原さんで何も考えずに決めたんです。よく聞こえるようになってたらうれしいですねえ。
──ところで、歌詞で気にしていることはありますか?
春、夏、秋、冬みたいな季語は使わないようにしてます。限定したくないんですよね。ラブソングも押し付けがましいから歌わないです(笑)。
──「キンバリー先生と朝食」の「お時間の都合どうですか?」っていうフレーズは1回聴いただけでとても頭に残りますね。
お! それ須原さんといっしょや。使いたい言葉を並べて、選んでる感じなんですよ。歌詞を書くときはその場で思い付く言葉を、バーッてまず書き出します。
──単語の羅列感が強い「ある日のできごと」のあとに、めちゃくちゃ歌ものな「あこがれのネクタイ」があるのも面白いですよね。
「ある日のできごと」は治安が悪い感じにしたかったんです(笑)。うまいこといった気がします。
タモリの家でカレーを食べるのが目標です
──バンドをやる上で、J-POPシーンへの憧れはありますか?
EXILEとか? 売れたいとかはどっちでもいいです。タモリは会いたいです! タモリの家に行って、チキンカレー食べたい。
──「タモリ倶楽部」は好きですか?
「タモリ倶楽部」、高知でやってないんです……。「ブラタモリ」はやってます。
──そうなんですね(笑)。話は広がるばかりですが、そろそろ時間なので、最後に今後のビジョンがあれば聞かせてください。
スズナリでワンマンライブがしたいです。
──えっ!? あそこって音楽のライブもやれるんですか? この間、(俳優によるコントユニット)O.N.アベックホームランがやっていましたよね。
メンバーのフォークシンガー小象(大堀こういち)さんとはちょっと知り合いです。へへへ、自慢! メールもできます。ライブを観に行って、名刺もらいました。あ! あと「ホンマでっか!? TV」にも出たい!
──10月2日に下北沢Queで行なわれるPOLYSICSとの対バン“A Touch and Go!!! Vol.3”も楽しみですね。
Queって、お客さんとステージは近いんですか? 恥ずかしいな。BEARSでやったときはお客さん多かったんですけど、それでも30人とかでしたから。がんばります!
CD収録曲
- アメーバダンス
- 点
- キンバリー先生と朝食
- ある日のできごと
- あこがれのネクタイ
- ヤノコーイチ
- ふりかえる、フレネミー
- 自分勝手にタイムコントロール
- 生活ガイド
- サイとんで、サイレン、ナイ
- ワ--
- フリーマン先生と夕食
- おばけ
宇宙人(うちゅうじん)
しのさきあさこ(Vo)、こまつけんた(G)、にいやひでひろ(B)、わだまこと(Dr)の高知県在住メンバーによるポップバンド。2008年頃に結成され、地元での活動やデモ音源の配布、販売などを全く行わないまま、2010年に「FUJI ROCK FESTIVAL '10」のROOKIE A GO-GOステージに出演した。2011年7月に初の音源となるシングル「アメーバダンス / あこがれのネクタイ」をパーフェクトミュージックから、同年8月に1stアルバム「お部屋でミステリーサークル」をGYUNNE CASETTEからそれぞれリリース。不思議な世界観と中毒性の高いポップセンスで、じわじわと人気を拡大している。