uchuu;|50年前の音楽と 50年後の音楽を つなげる音楽

当時の人たちがどんな気持ちでウッドストックに参加したか

──ではニューアルバム「2069」について聞かせてください。“1969年”と“2018年現在”と“2069年”、つまり50年前と50年後をつなぐというコンセプトがあったとか。

K(Vo, G, Piano, Programming)

つなげたらいいな、というところですね。さっき「音楽の歴史を振り返った」という話をしましたけど、昔のアーティストたちが素晴らしい音楽を発信して、それが現在までしっかり残っているからこそ、今があると思っていて。自分たちもそういう役割を担いたいし、uchuu;の作品が2069年まで残ってくれるといいなと。

──1969年は「Abby Road」(The Beatles)、「クリムゾン・キングの宮殿」(King Crimson)など数多くの名盤が発表された年です。Kさんにとっても思い入れの強い年なんでしょうか?

最初のロックとの出会いは父親が聴いていたLed Zeppelinなんですが、1969年はツェッペリンが1stアルバムをリリースした年なんですよ。当時The Beatlesも活動していたし、ジミヘン(ジミ・ヘンドリックス)も登場していて。あとは「ウッドストック・フェスティバル」ですよね。ウッドストックは音楽史に残るイベントというよりも、社会的な出来事だったと思うんです。人と音楽とカルチャーが初めて結びついたのが、あのフェスだったんじゃないかなと。当時の人たちがどんな気持ちでウッドストックに参加したかを調べてみると、めちゃくちゃ感じるものがあると言うか。だから、今回のアルバムのテーマの1つにしたかったんですよ。ただ、1969年を紐解いてみると情報量があまりにも多くて。全部をすくい取るのは絶対にムリですね(笑)。

──1曲目の「19692069」は、アルバムのコンセプトと直結している楽曲ですね。

そうですね。「19692069」は音数も少ないし、構成、アレンジ、使ってる楽器を含めて、1969年当時の音楽を下敷きにしているんです。レコーディング機材も、当時のものを使っていて。大阪のSTUDIO YOUで録ったんですが、そのスタジオにはアナログのコンソールがあるんですよ。あと、リンゴ・スターがThe Beatles時代に使ってたマイクがあったり。

──すごいですね!

K(Vo, G, Piano, Programming)

大阪のミュージシャンはみんな知ってるスタジオですけどね。この曲で弾いているピアノは古いスタインウェイなんですが、もともとは髙橋幸宏さんが個人のスタジオで所有していたものなんです。この曲だけではなく、「After Goodbye...」「Regain」「CIRCUS」「Magic」も同じスタジオで録らせてもらって。まさに思い描いていた通りの音だったし、「そう、これこれ!」という感じでしたね。

──当時の機材を使っているとはいえ、このアルバムのサウンドは決してレイドバックしてないですよね。確かに生楽器の音は生かされているんだけど、全体としてはむしろ未来感のある音質になっていて。

そこはマスタリングで上手に仕上げてもらいました(笑)。こういう音が1周回って新しく聞こえるということもあるでしょうね。1970~80年代の名盤と言われるアルバムは今聴いてもすごく音がいいので。山下達郎さんの80年代のレコードなんて、本当に素晴らしいですよ。

“古きよきもの”と“最先端”の両方に魅力を感じているんです

──「BOY」はアニメ「遊☆戯☆王VRAINS」のエンディングテーマです。タイアップに対しては、どんなスタンスを取っているんですか?

まず、タイアップ先のクリエイターに対するリスペクトを忘れないということですね。「BOY」を制作するときも、「遊☆戯☆王」という作品の世界観をしっかりかみ砕いて、あくまでもその領域の中で表現しようと思っていたんです。それがタイアップ楽曲を作らせてもらうときのマナーかなと。決められたキャンパスの中でどれだけ暴れられるか?ということですね。

──サウンドメイクに関しても、アニメの世界観を意識した?

そうですね。アニメの舞台が近未来なので、それをイメージしながらサウンドを作って。VRやAIなどのテクノロジーも物語の背景にあるので、そこもかなり意識していました。もともと興味のある分野だし、自分たちの得意なところでもあるんですよ。

──uchuu;は昨年6月、DMR VR THEATER(3Dホログラフィックによるステージ演出を専門とした世界初の常設劇場)でワンマンライブを開催しましたしね。普段のライブでもchaosgrooveが手がける映像を使っていたり、最先端のテクノロジーを積極的に取り入れていて。

はい。“古きよきもの”は時間を超えて残っているからこそ、みんなが「これはいい」と思っているわけじゃないですか。最先端の機材や表現は今後残っていくかどうかわからないけど、現時点では唯一無二だし、期待感、ワクワク感がすごくある。そう考えると、新しいものというのは未来に対する希望なんですよね。僕らは“古きよきもの”と“最先端”の両方に魅力を感じているんです。

uchuu;「2069」
2018年4月25日発売 / SPACE SHOWER MUSIC
uchuu;「2069」

[CD]
2500円 / PECF-3203

Amazon.co.jp

収録曲
  1. 19692069
  2. 東京エソラ
  3. BOY
  4. After Goodbye...
  5. over myself
  6. Regain
  7. CIRCUS
  8. Magic
  9. Keep on living in my music,
  10. FLY
  11. L

公演情報

LIVE IN 2069
  • 2018年6月2日(土)宮城県 enn 2nd※対バンあり
  • 2018年6月9日(土)福島県 BACK BEAT※対バンあり
  • 2018年6月17日(日)福岡県 INSA※対バンあり
  • 2018年6月23日(土)愛知県 APOLLO BASE※対バンあり
  • 2018年7月1日(日)東京都 TSUTAYA O-WEST※ワンマン
  • 2018年7月8日(日)大阪府 Music Club JANUS※ワンマン
uchuu;(ウチュウ)
uchuu;
2009年に大阪で結成されたロックバンド。現在はK(Vo, G, Piano, Programming)、SUJIN(B, Syn B)、AILI(Dr)、Hiroshi(Sequence, Percussion)の4人のメンバーからなる。2013年に初の全国流通盤「Weltraum;Gate」を発表し、2016年に1stフルアルバム「+1」をリリース。“Crossover Music Creators”をテーマに掲げてさまざまな機材を駆使して奏でられる、ダイナミックで洗練されたダンサブルなバンドサウンドが評判を集める。2017年6月には、3Dホログラフィックによるステージ演出を専門とした世界初の常設劇場、神奈川・DMM VR THEATERでワンマンライブを実施。2018年4月にスタートしたテレビアニメ「遊☆戯☆王VRAINS」にエンディングテーマ「BOY」を提供し、同曲を収めた2ndアルバム「2069」を同月にリリースした。