内田真礼×TAKE(FLOW)|ライブ映え必至!ウェーブ曲で見せる“オラオラ真礼”

スタジオに西海岸の風が吹いた

TAKE 今までの楽曲のテイストとは違うものを提示したいという思いもあって。それが2000年前後の西海岸パンクやラップメタルのテイストだったんですよね。裏テーマは“オラオラ真礼”(笑)。そこも彼女にとっては挑戦だったのかなと。

左から内田真礼、TAKE。

内田 今までの私にはまったくないテイストでしたし、新鮮でしたね。最初は「ホントに歌えるのかな?」と心配だったのですが、実際に歌ってみると「私、こういう声も出るんだ!?」という発見がありました。“内田真礼”として歌を歌うときは、あまり「どんなふうに歌おうかな」と考えないんですよ。それもあって、「波乗りキャリーオン」のレコーディングではいつもの内田真礼らしく歌ったんですけど、かなりファンキーな感じになったんじゃないかな。スタジオに西海岸の風が吹きましたから(笑)。

TAKE うん、ビーチが見えた(笑)。

内田 男性陣のコーラスが入ったら、余計にビーチっぽくなって。

TAKE ライブ会場をイメージしていたから、男性のコーラスを入れることは当初から決めていました。ありがたいことに演奏者も提案させてもらえたので、今の自分が考え得る、この曲を最大限に生かせるメンツをチョイスしたんです。ドラムはSPYAIRのKENTA、ベースがFLOWのGOT'S、ギターがTOTALFATのKuboty。“銀魂ミーツNARUTO”みたいな布陣ですね(笑)。

内田 本当に豪華ですよね。スタジオで演奏を聴いたとき、あまりにも濃ゆいので、笑ってしまったんですよ(笑)。

TAKE みんな気合い入ってましたからね。KENTAは普段とは違うスネアを用意してくれて。ただ、Kubotyが二度と弾けないソロを弾いてしまったので、山本(陽介。内田真礼のバックバンドのギタリスト)さんには申し訳ないという気持ちです(笑)。あのギターソロはLAメタルのテイストだから、全体的に独特なバランスになりました。

ライブで歌って初めて完成する曲

──「波乗りキャリーオン」は、内田さんにとっていろいろとハードルが高い曲だったんですね。

内田 そうなんですよ。レコーディングでは緊張しました。

TAKE そんなふうには見えなかったですけどね。スタジオでおにぎり食べてたし。

内田 手作りのおにぎりを持ち込みました(笑)。

TAKE レコーディングに立ち会わせてもらったんですが、いろんな表現できるんだなと感心して見てました。“オラオラ真礼”もちゃんと出てたし。

内田 途中、「そこまでいくとやりすぎ」と言われましたけどね。

TAKE 「キャリーオン」のフレーズのところも、いろんなバージョンで歌ってくれました。「テヘペロな感じで歌ってみてください」とリクエストしても、ちゃんと応えてくれるのがすごいなと。

内田 そのあたりは声優的な要素を出させてもらいました。

TAKE しっかり感情を乗せたBメロもいいんですが、ビーチの風景が見えるようなAメロもいいですね。曲の世界観を表現していて、ストーリーテラーの資質もあるなと。こちらの想定を超えまくったし、最終的に彼女の歌になっているのが素晴らしいなと思いました。

内田 うれしいです! 早くライブでやりたいですね。ライブで歌って初めて完成する曲だと思うので。どういう感じになるのかまったく未知数ですし、初披露がすごく楽しみです。

TAKE お客さんと一緒に現場で成長する曲になったらうれしいですね。“ライブ化け”してもらわないと、もともとの発注にそぐわない曲ということになってしまうので(笑)。

内田 ウェーブのコツも教えてもらいたいです!

TAKE Zeppはどこからでも行けますよ。右からでも左からでもいいし、前からでも後ろからでもいいし。後ろからウェーブをするのはちょっと難しいですけどね。お客さんがウェーブの位置を確かめるために後ろ向いちゃうから(笑)。ぜひ自分もその中の1人になりたいですね。

内田 ぜひお願いします!(笑) ギターソロもけっこう長めなので、しっかりウェーブを起こしたいですね!

もっと音楽を楽しんでみない?

──ミニアルバム「you are here」の全体像についても聞かせてください。TAKEさんのほか、曽我部恵一さん(サニーデイ・サービス)、田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)さん、堀江晶太さん、麻枝准さん、やしきんさん、山本陽介さん、y0c1eさんといった個性的なクリエイターが参加したことで、キャラの立った曲がそろいましたね。

左から内田真礼、TAKE。

内田 確かに、新しい挑戦が多かったですね。

TAKE 今まで参加してきた方も、既存の曲とは違うアプローチで書かれたと聞きました。田淵さん作詞作曲の「共鳴レゾンデートル」はどんな感じなんですか?

内田 「Smiling Spiral」「ギミー!レボリューション」のようなハッピーで明るい曲ではなくて、上目遣いの強い視線を感じるような雰囲気です。

TAKE なるほど。そのほかにも色が強い曲が多そうだし、内田さんの新しい魅力が感じられる作品になるといいですね。

──シンガーとして新しいトライが多かったですか?

内田 はい。「恥ずかしい」とか「できるかな?」と思っていると前に進めないので、そこは超えていきたいと思いました。5年間音楽活動を続けてきて「内田真礼はこういう感じ」「ここが自分のいいところ」というイメージはできあがってきたのですが、今回は「もっと音楽を楽しんでみない?」という提案をたくさんいただいて。例えば麻枝さんの「Seasons Come, Seasons Go」もそうで、過去に麻枝さん制作のキャラソンを10曲ほど歌わせていただきましたが、そのときにできなかったことに挑戦することが裏テーマでした。

TAKE 麻枝さんのメロディ、複雑ですよね。歌い切るにはかなりのスキルが必要なんじゃないかな。

内田 メロディが本当に難解で。レコーディングのときもずっと頭に「?」が浮かんでいました。「これ、どうなってるの?」って(笑)。みんなで「これが麻枝節だ」と話しながら収録をすすめました。完成した楽曲を聴いて、やっと自分の中に納得感が生まれました。