感情の流れで曲順を決めている
──「セツナ Ring a Bell」はアルバムの中のポジションも絶妙ですよね。勢いよく始まって、中盤にあるこの曲で一旦終わる感じがあると言うか。
内田 曲順にもすごくこだわったんですよ。
田淵 それ、俺も聞きたかったんだよね。制作サイドの人から少し話を聞いたら、アルバムの曲順の決め方が自分が普段やる方法と全然違ってたので。歌詞の流れを重視したんですよね?
内田 そうですね。今回のアルバムは2017年から2018年4月までの私を描いているイメージなんです。1曲1曲にイメージはもちろんあるのですが、曲順を決めるとなったときにストーリーを考えて組ませていただきました。1曲目の「My Star is Here!!」で「このお話を始めます」という感じでページをめくって、2曲目の「+INTERSECT+」でドキドキがスタートして。3曲目の「aventure bleu」で新しい世界に飛び込む楽しさを知って、4曲目の「Resonant Heart」でまっすぐに進んでいこうと決意を固める。そのあと、5曲目の「Agitato」、6曲目の「ロマンティックダンサー」でライブの楽しさを知るんですけど、次の「セツナ Ring a Bell」でライブが終わったときの切ない気持ちを経験しちゃうんです。
田淵 なるほど。
内田 そして新しいドキドキに出会う8曲目「TickTack…Bomb」。9曲目の「シンボリックビュー」は私とファンの皆さん、クリエイターの方々やスタッフさんとの架け橋を表現した曲で、10曲目の「magic hour」では周りにいてくれる人たちの大切さが確信に変わります。それを経て最強の私になっているのが、11曲目の「c.o.s.m.o.s」なんです。そこでうしろを振り向いたら心強い仲間がいてくれて、「みんなで一緒に次にいこう!」と歌っているのが12曲目の「take you take me BANDWAGON」で、13曲目の「Step to Next Star!!」がさらに未来を見ている現在の私ですね。
田淵 すごい! 自分は基本的に曲調の流れで曲順を決めるから、例えばもし大失恋の曲でも「曲の雰囲気が最後っぽい」という理由ならアルバムの最後に置いちゃうだろうなあ。
内田 そうなんですね! 私は感情の流れを大事にしているので、そこは違いますね。
田淵 真礼ちゃんがそういう意図で曲を並べてるように、同じような気持ちでアルバムを聴く人もいるんだろうね。面白いな。
──アルバムには内田さん自身のやりたいこと、「自分のアルバムはこうあってほしい」という思いも反映されているんですよね。
内田 はい。ただ歌うだけでは寂しいし、自分が何をやりたいか、どういうアーティストになりたいかという思いも込めました。作家の皆さんとももっと関係を深めたいんですよ。今回はコミュニケーションをしっかり取れたし、やり取りをしている瞬間の思い、匂いみたいなものも入っていると思います。
タッグを組むことで、さらに強くなれる
──シンガー・内田真礼と作家・田淵智也の関係性も、アルバムの制作を通してさらに深まったのでは?
内田 そうですね。田淵さんは他人の気持ちを考えられる人だと思っていて。
田淵 (笑)。どうでしょうねえ? それは過大評価だと思うよ。
内田 いえいえ。すごく信頼しているからこそ、今回も2曲お願いしたので。
田淵 確かに2曲も任せてもらえるのはありがたいんですよね。さっきも言いましたけど、自分の得意技で作った曲と、違うチャンネルで作った曲を提示できるので。あと「自分の役割を果たしたい」という気持ちもあるんですよ。ZAQさん、渡辺翔さん、黒須克彦さんをはじめ、内田真礼チームには僕が尊敬しているクリエイターがたくさん参加していて。いつも「この中で僕がやるべきことはなんだろう?」と考えてますね。勝ち負けではないんだけど、作家としての意地が出ることもあるし。
内田 そういえば、去年の終わりくらいに「次のアルバム、どうする?」という話を冨田さんとしていたときに「私と田淵さんは似ている」という話題が出たんですよ。
田淵 冬に寂しくなるとか?
内田 そうじゃなくて(笑)、2人共負けず嫌いだと思うんです。みんなに認めてほしいという気持ちは誰にでもあると思うけど、それがより強いと言うか。
田淵 うーん、否定はできないですね……(笑)。
内田 そういう思いを持った2人がタッグを組むことで、さらに強くなれるんじゃないかな。だから、これからもどんどん曲を書いてほしいです。
変われたのは音楽のおかげ
──内田さんがアーティストとしてこの先やりたいことはありますか?
内田 自分の殻をどんどん破っていきたいですね。音楽活動を始めて4年になりますが、その中でできあがった関係性を1回崩さないと、新しいものは生まれないのかなと思っていて。スタッフの異動もプラスとして捉えて、今年、来年の活動に生かしていけたらいいなと思ってます。
田淵 なるほど。今の話を聞くと、このアルバムの曲順の意味がさらに強く感じられるね。最後の「Step to Next Star!!」に「がんばる理由は君だとわかった」というパワーフレーズがあるじゃないですか。
内田 泣きますよね、あの歌詞は。
田淵 すごい歌詞ですよ、ホントに。アルバムを聴いていると内田真礼は作家が意地を見せたくなるアーティストなんだなと思います。真礼ちゃんに会うとみんなが真礼ちゃんのことが好きになるし、こちらのモチベーションを引き出してくれる存在なんです。スタッフの皆さんからも内田真礼愛をすごく感じるし、それはアーティスト活動が長く続く条件でもあると思うんですよね。ファン、クリエイター、スタッフを含めて、みんながサポートしたくなる。そういう素養を持ってるんですよ、真礼ちゃんは。
内田 やった! ありがとうございます。ホントに音楽をやってよかったなと思いますね。前の私は暗かったと話した通り、以前はもっと自分の内側にこもっていたし、何を言われてもただ笑顔で「はーい」としか言えなくて。今は自分がやりたいことをしっかり伝えられるし、明るくなりました。変われたのは音楽のおかげです。
- 内田真礼「Magic Hour」
- 2018年4月25日発売 / ポニーキャニオン
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Blu-ray付き初回限定盤 [CD+Blu-ray+フォトブック]
4860円 / PCCG-01668 -
DVD付き初回限定盤 [CD+DVD+フォトブック]
4104円 / PCCG-01669 -
通常盤 [CD]
3240円 / PCCG-01670
- CD収録曲
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- My Star is Here!!
- +INTERSECT+
- aventure bleu
- Resonant Heart
- Agitato
- ロマンティックダンサー
- セツナ Ring a Bell
- TickTack…Bomb
- シンボリックビュー
- magic hour
- c.o.s.m.o.s
- take you take me BANDWAGON
- Step to Next Star!!
- 初回限定盤付属Blu-ray / DVD収録内容
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- 「セツナ Ring a Bell」ミュージックビデオ、メイキングほか
- 全形態共通 封入特典
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- UCHIDA MAAYA「Magic Number」TOUR 2018 チケット優先販売申込券
(2018年5月22日締切)
- UCHIDA MAAYA「Magic Number」TOUR 2018 チケット優先販売申込券
UCHIDA MAAYA
「Magic Number」TOUR 2018
- 2018年6月17日(日)
福岡県 福岡サンパレス - 2018年6月24日(日)
東京都 東京国際フォーラム ホールA - 2018年7月1日(日)
大阪府 大阪国際会議場 グランキューブ大阪
- 内田真礼(ウチダマアヤ)
- 東京都生まれの声優、アーティスト。2009年に日本ナレーション演技研究所在籍中にOVA「ぼく、オタリーマン」で声優デビューを果たし、2012年4月より放送された「さんかれあ」で初めてアニメ作品の主役を務めた。同月には特撮テレビドラマ「非公認戦隊アキバレンジャー」で実写女優デビュー。同年10月からオンエアされたテレビアニメ「中二病でも恋がしたい!」の小鳥遊六花役では多くのアニメファンからの人気を集めた。2014年4月にテレビアニメ「悪魔のリドル」のオープニングテーマである「創傷イノセンス」をシングルリリースし、歌手活動を開始。2015年12月には1stアルバム「PENKI」を発表した。2016年2月に東京・中野サンプラザホールで初のワンマンライブ「Hello, 1st contact!」、2017年2月に東京・国立代々木競技場第一体育館で2ndワンマンライブ「Smiling Spiral」を開催。2018年4月25日に2ndアルバム「Magic Hour」をリリースし、6月からは福岡、東京、大阪で初のワンマンツアー「UCHIDA MAAYA『Magic Number』TOUR 2018」を行う。
- 田淵智也(タブチトモヤ)
- 1985年4月生まれの作曲家、ベーシスト。スリーピースロックバンド・UNISON SQUARE GARDENでベースを担当。音楽プロデュースチーム・Q-MHzのメンバーとしても活動している。UNISON SQUARE GARDENでは一部を除きほとんどの楽曲の作詞作曲を手がけており、「シュガーソングとビターステップ」などのシングルをヒットさせたほか、2015年7月には東京・日本武道館での単独公演を成功させた。現在、ニューアルバム「MODE MOOD MODE」を携えた全23公演の全国ツアーを開催している。Q-MHzは2016年1月にオリジナルアルバム「Q-MHz」を発表し、その後小松未可子らのサウンドプロデュースで活躍。田淵自身も田所あずさや内田真礼をはじめとする多くのアーティストに楽曲を提供している。