内田真礼が4月25日に2ndアルバム「Magic Hour」をリリースする。2015年12月発表の1stアルバム「PENKI」以降、シングル4作とミニアルバム1作を発表したほか、東京・中野サンプラザホールや東京・国立代々木競技場第一体育館でワンマンライブを開催するなど、積極的な音楽活動を展開してきた内田。さまざまな経験の中で成長してきた彼女の「今とこれから」が表現されているという「Magic Hour」には、“アーティスト・内田真礼”のカラフルで奥深い魅力が投影されている。
音楽ナタリーでは内田と、彼女の楽曲を数多く手がけてきた田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)の対談を実施。本作のために田淵が書き下ろした「セツナ Ring a Bell」「take you take me BANDWAGON」を中心にアルバムについて語り合ってもらったほか、シンガーとクリエイターの関係性、田淵から見た内田の魅力について話を聞いた。
取材・文 / 森朋之 撮影 / 石原敦志
“自称・ガヤおじさん”だった田淵智也
内田真礼 田淵さんとの対談、ずっとやりたいと思っていたんですよ。念願が叶ってうれしいです。
田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN) 恐縮です(笑)。
内田 田淵さんが作ってくれた楽曲は、私自身もそうなんですがファンの人たちも内田真礼っぽいと思ってくれているようで。そのことを踏まえて、田淵さんがどういう方なのか知りたかったし、どんな気持ちで曲を作ってくれているのか、ぜひご本人から聞いてみたかったんです。レコーディングのときくらいしかお話をさせてもらう機会がなかったですからね、今までは。
──田淵さんが内田さんに最初に提供した楽曲は2ndシングルの表題曲「ギミー!レボリューション」で、そのあと1stアルバム「PENKI」収録の「Hello, 1st contact!」「Hello, future contact!」、ミニアルバム「Drive-in Theater」収録の「Shiny drive, Moony dive」「Smiling Spiral」を手がけてきました。内田さんの音楽活動には欠かせないクリエイターですよね。
内田 本当にそうですね。ただ、初めてお会いしたときの印象は想像していたイメージとはちょっと違ってたんです。「ギミー!レボリューション」のレコーディングのときだったんですけど、田淵さんは“自称・ガヤおじさん”として現れて……。
田淵 (笑)。なんだっけ、それ?
内田 「ギミー!レボリューション」って曲中にガヤや合いの手がいっぱい入ってるじゃないですか。レコーディングでその部分の指示をしてくれたときに自分で「“ガヤおじさん”だよー」って言ってたんですよ、田淵さん。
田淵 (笑)。たぶん“元気な作曲家”というキャラを作ってたんだね。真礼ちゃんはデビューして間もない時期だったし、レコーディングで緊張してるかもしれないなと思って。自分の役割は元気よく盛り立てることかなと。
内田 そうだったんですね。
田淵 歌い入れのとき、(暗いトーンで)「……じゃあ、もう1回歌ってみて」という言い方をしたら、余計に緊張しちゃうでしょ。だったら「こんにちは! 作曲担当の田淵です!」という雰囲気のほうがいいと思って。
内田 優しい(笑)。確かにあの時期って、自分の音楽活動がどうなっていくか見えてなかったですからね。田淵さんをはじめとするクリエイターの方々、スタッフの皆さんに引っ張ってもらっていた感じでした。
私の色を田淵さんが引き出してくれた
──「ギミー!レボリューション」はどのようなテーマで制作された楽曲だったんですか?
田淵 プロデューサーの冨田明宏さんから話をもらって、テレビアニメ「俺、ツインテールになります。」の原作を読んでから制作に取りかかったんですけど、僕としては、ファンの人たちが聴いたときに「これこそ俺たちの内田真礼だ!」と思えるような曲にしたかったんです。真礼さんのことはテレビアニメ「中二病でも恋がしたい!」で主役を務めたあたりから名前を拝見するようになったんですけど、その頃からアイドル性みたいなものをすごく感じていて。僕がやるんだったら、そういった部分を押し出した曲にしたかったんです。
内田 そうなんですね! 知りませんでした。その頃はプロデューサーさん、クリエイターさんと話をする機会もあまりなかったし、歌うことに必死で。キャラソンと自分の歌の違いもわかってなかったんですよ。ずっと「自分らしい歌い方って何だろう?」と考えて、頭がガチガチになってました(笑)。田淵さんには1stアルバムでも2曲提供していただいたのですが、その曲のおかげで内田真礼らしさが形作られた感じがあって。私の色を田淵さんが引き出してくれたと言うか……。
田淵 お、うれしい。内田真礼チームは楽曲のオーダーが明快なんですよ。冨田さんも「こういう曲を作ってほしい」とはっきり言ってくれるし、すごくやりやすくて。ミニアルバムのときも「本人が免許を取ったから、車をテーマにした曲」とか「ファンのみんなが本人を応援できる曲」という具体的なワードがあったんです。それをもとにして作ったのが「Shiny drive, Moony dive」と「Smiling Spiral」ですね。
内田 ミニアルバムは自己紹介みたいな作品にしたかったんですよね。免許の話もそうですけど、野球とか歌舞伎とか、「Drive-in Theater」はそのときにハマっていたものを詰め込んだアルバムで。
田淵 歌舞伎にハマってたの?
内田 毎月、歌舞伎座に行ってました。
田淵 すごい(笑)。
内田 クリエイターの皆さんがテーマにぴったりと合った曲を作ってくれて。「Shiny drive, Moony dive」には車のクラクションの音が入ってるんです。
田淵 イグニッションキーを回して、エンジンがかかる音とかね。
これが内田真礼の声
内田 「Shiny drive, Moony dive」はライブでもすごく盛り上がるんですよ。歌うのは大変ですけど……まあ、大変なのはあの曲だけではないんですけどね(笑)。
田淵 あ、そうなんだ。不徳の致すところです(笑)。
内田 「Shiny drive, Moony dive」は息継ぎのポイントが難しくて。特に「ポニーじゃなくてグランドキャニオン」あたりの言葉がバーッと詰まってるところは大変でしたね。レコーディングのときは「これはライブで歌えないな」と思ってたんですけど(笑)、リハでがんばって歌い込んで、なんとかライブで披露できるところまで持っていきました。
田淵 ライブを重ねるごとによくなっている印象がありますね。「ギミー!レボリューション」も2015年の「アニサマ」(「Animelo Summer Live」)のときは歌うのがキツそうだったけど、次の年の中野サンプラザホール公演(「内田真礼 1st LIVE『Hello, 1st contact!』」)ではしっかり歌えていたので。実はUNISON SQUARE GARDENも同じで、新曲を作ってるときにボーカルの斎藤宏介くんがちょっと苦労してるから「キー下げる?」って聞くと、「歌っていけばなんとかなる」って言うんですよ。そして実際にライブまでには仕上がってくる。
内田 私、音楽活動を始めてから、筋トレをしてるんです。アーティスト活動のためには必要だなと思って。
田淵 素晴らしい!
──田淵さんにとって、内田さんの声の魅力はどんなところにあると思いますか?
田淵 さっきのアイドル性の話にもつながるんだけど、まずは歌っているときのかわいさですよね。自然な感じでかわいく歌えるのは、すごい才能だと思うんですよ。
内田 うれしいです。田淵さんの曲を歌っていると「これが内田真礼の声だな」と思えるんですよね。曲自体がすごく明るくて、かわいくて。自分で聴いていても「これこれ!」って安心できると言うか。もともとそういう曲は好きだし、ライブで「みんな! 大好きだよー!」っていう言葉とかが自然に出てきたり。そういえば国立代々木第一体育館のライブのときに「それが言えるのは素晴らしい」って言ってくれましたよね。
田淵 そうですね。「みんな、愛してる!」って自然に言っているように見えたし、これはライブでの決めゼリフになるなと。そういう自分自身の礎になるスタイルを持っていると、そこからいろんなところに行けるんですよね。もちろんアーティストやバンドによって正解はいろいろあるだろうけど、僕自身はしっかり軸を作ったうえで、いろんなことをやるのが正しいと思っているので。
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冬になると暗くなる
- 内田真礼「Magic Hour」
- 2018年4月25日発売 / ポニーキャニオン
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Blu-ray付き初回限定盤 [CD+Blu-ray+フォトブック]
4860円 / PCCG-01668 -
DVD付き初回限定盤 [CD+DVD+フォトブック]
4104円 / PCCG-01669 -
通常盤 [CD]
3240円 / PCCG-01670
- CD収録曲
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- My Star is Here!!
- +INTERSECT+
- aventure bleu
- Resonant Heart
- Agitato
- ロマンティックダンサー
- セツナ Ring a Bell
- TickTack…Bomb
- シンボリックビュー
- magic hour
- c.o.s.m.o.s
- take you take me BANDWAGON
- Step to Next Star!!
- 初回限定盤付属Blu-ray / DVD収録内容
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- 「セツナ Ring a Bell」ミュージックビデオ、メイキングほか
- 全形態共通 封入特典
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- UCHIDA MAAYA「Magic Number」TOUR 2018 チケット優先販売申込券
(2018年5月22日締切)
- UCHIDA MAAYA「Magic Number」TOUR 2018 チケット優先販売申込券
UCHIDA MAAYA
「Magic Number」TOUR 2018
- 2018年6月17日(日)
福岡県 福岡サンパレス - 2018年6月24日(日)
東京都 東京国際フォーラム ホールA - 2018年7月1日(日)
大阪府 大阪国際会議場 グランキューブ大阪
- 内田真礼(ウチダマアヤ)
- 東京都生まれの声優、アーティスト。2009年に日本ナレーション演技研究所在籍中にOVA「ぼく、オタリーマン」で声優デビューを果たし、2012年4月より放送された「さんかれあ」で初めてアニメ作品の主役を務めた。同月には特撮テレビドラマ「非公認戦隊アキバレンジャー」で実写女優デビュー。同年10月からオンエアされたテレビアニメ「中二病でも恋がしたい!」の小鳥遊六花役では多くのアニメファンからの人気を集めた。2014年4月にテレビアニメ「悪魔のリドル」のオープニングテーマである「創傷イノセンス」をシングルリリースし、歌手活動を開始。2015年12月には1stアルバム「PENKI」を発表した。2016年2月に東京・中野サンプラザホールで初のワンマンライブ「Hello, 1st contact!」、2017年2月に東京・国立代々木競技場第一体育館で2ndワンマンライブ「Smiling Spiral」を開催。2018年4月25日に2ndアルバム「Magic Hour」をリリースし、6月からは福岡、東京、大阪で初のワンマンツアー「UCHIDA MAAYA『Magic Number』TOUR 2018」を行う。
- 田淵智也(タブチトモヤ)
- 1985年4月生まれの作曲家、ベーシスト。スリーピースロックバンド・UNISON SQUARE GARDENでベースを担当。音楽プロデュースチーム・Q-MHzのメンバーとしても活動している。UNISON SQUARE GARDENでは一部を除きほとんどの楽曲の作詞作曲を手がけており、「シュガーソングとビターステップ」などのシングルをヒットさせたほか、2015年7月には東京・日本武道館での単独公演を成功させた。現在、ニューアルバム「MODE MOOD MODE」を携えた全23公演の全国ツアーを開催している。Q-MHzは2016年1月にオリジナルアルバム「Q-MHz」を発表し、その後小松未可子らのサウンドプロデュースで活躍。田淵自身も田所あずさや内田真礼をはじめとする多くのアーティストに楽曲を提供している。