音楽ナタリー Power Push - UCC DRIPAR MUSIC特集 堀込泰行×□□□

ゆるやかなBPMで流れる贅沢な時間

UCC上島珈琲が運営するウェブマガジン「UCC DRIPAR」では、コーヒーカルチャーを軸に様々なポップカルチャーを紹介している。その「UCC DRIPAR」で、音楽コンテンツを発信する試み「UCC DRIPAR MUSIC」が新たにスタートする。その第1弾企画として、堀込泰行と□□□によるコラボレーションが実現した。

堀込と□□□は、「バース・コーラス」というタイトルのコラボ楽曲を制作した。「UCC DRIPAR」の会員登録(無料)をするだけで、今回のコラボ楽曲をダウンロードでき、Music Filmも視聴できる。

作詞は□□□の三浦康嗣、作曲とメインボーカルは堀込が担当。恋人と過ごす楽しい週末が、ゆるやかなBPMに乗せて描かれている。音楽ナタリーでは4人にインタビューを行い、今回のコラボの経緯や楽曲制作のエピソードなどを語ってもらった。

取材・文 / 臼杵成晃 撮影 / オオタシンイチロウ

※リリース告知映像のBGMには、メインボーカル抜きの音源が使われています。

堀込泰行と□□□の出会い

──□□□の皆さんと堀込さんが一緒に曲を作るのは今回が初めてですよね。これまでそれぞれに面識はあったんですか?

左から村田シゲ、三浦康嗣、堀込泰行、いとうせいこう。

村田シゲ 僕は一方的にキリンジの頃から大好きでしたから。そのあとNONA REEVESを通じて。

堀込泰行 シゲはNONA REEVESのサポートをしていたので、対バンのときに初めて会いました。

シゲ バンドも一緒にやりましたよね。

堀込 ああ、ふざけたバンドを1回だけやったんですよ。一夜限りの……。

シゲ 忘れたいの?(笑)

いとうせいこう 僕はスペースシャワーTVの音楽クイズ番組で。泰行くん、すんごい強くて。音楽知識を競うクイズだから、バンバン答えていくの。グランドチャンピオン大会にもね。「もういいです」って断られて(笑)。

堀込 お誘いいただいたんですけどね。微妙な年頃だったので……。

シゲ 全部触れたら嫌そうな話題ばっかり(笑)。

三浦康嗣

三浦康嗣 僕は今回が初対面なんですよ。

──では三浦さんは堀込さんの音楽について、これまでどんな印象を持っていましたか?

三浦 最初の記憶として覚えてるのは、大学の頃に音楽サークルの人が「最近デビューしたキリンジという人たちがめちゃヤバい」って話してたことです。それでなんとなく名前は覚えていて。音楽を聴いてみたら、俺には絶対にできない高度なポップスで。この方向だとキリンジのような人たちがいるから、俺は違うところを目指そうという気持ちが、今振り返ると当時はあったような気がします。

日本語の乗せ方に見られる共通点と差異

──村田さんは当時キリンジのどんなところに惹かれたんですか?

シゲ なんでしょうね。すげえいいんですよね。

三浦 もっと具体的な言葉にしてよ。

シゲ うーん、したいねー(笑)。

三浦 要素を単体で取り出して好きなわけじゃないんでしょ? 歌詞が好きとかメロディが好きとか。

シゲ どっちもだねー。

三浦 もうお前全部好きなんじゃん。でも「彼女の好きなところは?」と聞かれても「全部」としか言えないですよね。なんで好きかわからないから好きというのもあるし、説明できないから音楽は面白いってのもある。

いとう 俺の場合は聴いてきた音楽に似通ったところがあるというか、「あ、なんかわかる」「俺もそういうの好きだったよ」というのが端々にあるグループという印象かな。しかも「年下なのに!」っていう。1970年代のシティポップやAORって、世代的に俺はド真ん中だから。そこにもっといろんな時代の音楽の要素が加わって、日本語になって出てくる。その奥行きの深さがありますよね。

堀込泰行

──逆に堀込さんは□□□やいとうさんの活動をどう見ていましたか?

堀込 僕はメロディやコード、和声を主体にした音楽で。お互い洋楽から受けた影響を日本語で表現していて、言葉の乗せ方にはこだわっているけど、そのこだわり方が両者で違うというか。そこが面白いんですよね。日本語のやりづらさに関しては同じものを抱えているんだけど、アプローチの仕方が違う。□□□の場合は韻を乗せていくけど、僕の場合はメロディのアクセントに合わせて言葉を探して、かつ意味の濃いものを作り上げていく。そこに共通する部分と違う部分を感じますね。

三浦 僕の場合はビートの強いクラブミュージック的なものじゃなくても、もっとふんわりしたアコースティックな歌でも自然と韻を意識しているんですよね。韻というとラップをイメージしがちだけど、もともと英米詞は必ず韻で進行しているから、韻を意識していない歌詞が多い日本の歌モノは、ポップスの歴史で見ればある意味特殊なのかもしれない。最近は歌詞の取っ掛かりとして韻はあったほうがいいかなという思いを強めていたので、この曲ではあえて韻を踏みまくった歌詞にしてみたんです。この歌詞に泰行くんがどんなメロディを付けるのか、改行も韻を強調した状態でテキストデータを送りました。

「UCC DRIPAR」

「UCC DRIPAR」は、小意気なカルチャーやライフスタイルを紹介する、デイリーウェブマガジン。UCC上島珈琲が運営している。「コーヒー」「グルメ」「スポーツ・アウトドア」「アート・コンテンツ」「グッズ・インテリア」「クルマ」「本」「映画・音楽」「旅行」「名言・人」といった様々なジャンルの、ポップ度の高い読み物を、ほぼ毎日、配信している。

また、「UCC DRIPAR」では、2つのタイプのゲームを公開。それぞれのゲームのランキング上位者、計60名には、クオカードをプレゼントしている。元WEEKENDの泉水マサチェリーが担当したゲームのBGMにも注目したい。

  • タッチゲーム

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  • タイピングゲーム

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堀込泰行×□□□「バース・コーラス」
作詞:三浦康嗣 / 作曲:堀込泰行

楽曲のダウンロード期限は終了しました

堀込泰行(ホリゴメヤスユキ)
堀込泰行

1972年5月2日生まれ。1997年に兄・堀込高樹とのバンド・キリンジでデビューを果たす。2005年にはキリンジと並行してソロプロジェクト・馬の骨としての活動も行い、2013年4月のキリンジ脱退後は個人名義でのソロ活動を開始。2014年11月には配信シングル「ブランニュー・ソング」を発表した。自身の作品のほか、ハナレグミ、安藤裕子、一青窈、畠山美由紀、Keyco、松たか子、南波志帆、鈴木亜美といったアーティストへの楽曲提供でもソングライターとして独自の個性を発揮している。

□□□(クチロロ)
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三浦康嗣、村田シゲ、いとうせいこうの3人からなるユニット。三浦と南波一海の2人によるブレイクビーツユニットとして1998年に結成され、幅広い要素を取り入れた実験的でありながら誰もが楽しめる独自のサウンドで一躍ポップシーンの第一線に躍り出る。2007年にはcommmonsレーベルに移籍し、シングル「GOLDEN KING」でメジャーデビュー。同年末に村田が新メンバーに加わり、2008年5月に南波が脱退。2009年7月にはいとうが正式メンバーとして加入し現体制となった。その後は同年12月に「everyday is a symphony」、2011年2月に「CD」、2012年3月に「マンパワー」、2013年3月に「JAPANESE COUPLE」とコンスタントにアルバムを発表。三浦は舞台音楽やアーティストへの楽曲提供、村田はベーシストとしてさまざまなアーティストのサポート、いとうは□□□参加以前からのマルチな活動と、メンバー個々でも幅広く活躍している。


2017年6月30日更新