U&piaミニアルバム「Utopia」特集|関わってくれるすべての人を幸せに 異色の完全セルフプロデュースダンス&ボーカルグループ誕生 (2/2)

CDを出すつもりはなかった

──では今回リリースされる1stミニアルバム「Utopia」のお話を聞かせてください。そもそもどういうふうに制作が始まったんでしょうか。

荒ん。 第一に、円盤でのリリースが初めてなんですよ。これまでは配信のみでリリースしてきて、僕自身は円盤を出すつもりはなかったんですけど……今の時代、CDで音楽を聴くことってほとんどないじゃないですか。でも、メンバーの「CDを出したい」という気持ちが思いのほか強くて。それに、実際に「リリースしますよ」ということになったら、ファンの子たちもすごく喜んでくれたんです。

 やっぱり「CDを出す」ということがひとつの夢でもあったんで。

TAIGA イベントをやるときに、CDを出しているアーティストかそうでないかというだけでも、観てくださる方の印象がけっこう違うんじゃないかなとも思いますし。

SAIZEN 応援してきてくださった方への恩返しじゃないですけど、それを目に見える形で表せるものにはなったと思いますね。

SAIZEN

SAIZEN

荒ん。 そうですね。実質的にほとんど音楽メディアとしては使われないものに労力をかけるのもどうなのかなと思っていたんですけど、やっぱりファンの子たちにも「CD出してると歌手っぽいよね」みたいな(笑)、そういうイメージも根強くあるみたいで。メンバーもそうだし、みんなすごく喜んでくれたから、そういう価値観も意外と大事にしないといけないものなんだなと今回はすごく勉強になりました。

──曲作りの面では、どのように進めていったんでしょうか。

荒ん。 今回のミニアルバムに収録した楽曲は全曲ジャンルが違うんですよ。と言うのも、僕らはデビューしたてということもあって持ち曲の数も少ないですけど、ライブではいろんなタイプの曲が絶対必要なんです。なので、まず「こういうタイプの曲が欲しい」というコンセプトを固めてから、ないところを埋めていくイメージで曲を増やしてきました。

──具体的に、K-POP寄りだったりトラップ系だったりするサウンド感を選んだのはどういう理由で?

荒ん。 それも結成時のコンセプトとしてすでに含めていたんですよ。ダンス&ボーカルという形で活動していくにあたって、これはマネをするという意味ではないんですけど、「今の最先端はやっぱりK-POPだな」という感覚が僕にありまして。日本の音楽がアメリカやヨーロッパでチャートインすることはなかなかないですけど、韓国の音楽はバンバンそこに出て行けていますよね。そういうところをリファレンスとして取り入れている感じです。

TAIGA

TAIGA

──「世界で通用するものを」という思いがあるということですか?

荒ん。 というよりは、とにかく「いいものを作りたい」というところですね。自分たちが心底納得できるクオリティの音楽を作って出していけば、きっとみんなも聴いてくれるだろうという思いで作っています。

SAIZEN 音楽性に関しては、基本的にボーカルの2人(荒ん。と蓮)がリードしてくれている感じで。僕たちはそれに寄り添ってさらによくしていくことが多いですね。

 その「いいものを作って見せる」にしても、本当に好きなものじゃないと見せられないんですよ。このグループにはK-POPが好きなメンバーが集まっていることもありますし、得意を生かす意味でもこの音楽性は僕たちに合っているんじゃないかなと思っています。

TAIGA 自分たちの好きな曲を作ってるから、作った曲を自分でも聴くもんね。

荒ん。 その意味で言うと、「M&i」だけはちょっと趣旨からは外れた曲とも言えるんですよ。これだけJ-POPアイドルサウンドというか。“M&i”というのは僕たちのファンを指す名称なんですけど、それをタイトルに冠した楽曲を作るうえで、やっぱり日本人みんなが好きな音を取り入れるべきじゃないかと。最初はメンバーからも反対意見がけっこう出たんですけど、ここは申し訳ないけどゴリ推しさせてもらいました(笑)。結果、なんだかんだ人気の高い曲になったので、やってよかったなと思っています。

荒ん。

荒ん。

──いろんな意味で“特別な1曲”になっているわけですね。

荒ん。 まさにそうなんですよ。

SAIZEN 思いが詰まった曲です。

荒ん。 もう1つ言うと、今回「Think Of You」という曲で蓮が作詞作曲に初挑戦していまして。セクシーでダークな曲をお願いしたところ、すごくいいのを仕上げてくれた。もともとはアルバムに入れる予定ではなかったんですけど、めっちゃよかったんで「入れよう」ということになったんです。

 「このパートだったら誰が合うかな」「このフレーズは」「このメロディは」というふうにメンバーを想像しながら作りました。パートごとに当て書きしたような感じなので、ちゃんとグループに合っていてしっくりくる曲になったかなと思っています。僕は聴く人それぞれでストーリーを妄想しながら聴いてもらいたい気持ちが強いので、そういう意味でも円盤で出せるのがうれしいんですよ。歌詞カードが付いているのがすごくいいなと。歌詞カードを見ながら聴くことで、いろいろ妄想してもらえたらうれしいです。

荒ん。 まあ、サブスクでも歌詞は表示されるんですけどね。

 まあね(笑)。

U&pia

U&pia

人生懸けてますから

──では、今後の展望についても教えてください。このグループはどういうところを目指してやっていくんですか?

荒ん。 わかりやすいところで言うと、結成時に「2年後、豊洲PITでワンマンライブをする」というのを目標に始めてるんですよ。キャパ的に埋まる見通しが立とうが立つまいが押さえると決めていて(笑)。まずは「そこに向けて死ぬ気でやろうぜ」っていうのがありますね。

 グループとしては“ユートピア”という存在しないものを理想に掲げていることもありますし、たぶん目指すべきところに正解はないものなのかなと僕は思っていますね。個人的な目標で言うと、将来的に養成所とか育成学校を作って、新しい才能を育てることがしたいです。自分がそういう場で育ててもらったので、今度は自分が与える立場になっていきたい。

廣田蓮

廣田蓮

SAIZEN 僕は、自分たちの死後にも“昔のヒットソング”みたいな形で愛され続けるようなものを残したい気持ちがありますね。こういう活動をしている以上は、愛されて死にたいなと(笑)。

──お二人とも、けっこう人生の先々まで見通しながら活動されているんですね。

 そうですね。U&piaに人生懸けてますから。

荒ん。 初めて聞きましたけどね(笑)。

TAIGA 蓮はたまに言ったりすることもあるけど、ZENちゃんはこういう場じゃないとまず言ってくれないから。ちなみに僕は、自分の作った振付でみんなが楽しんでくれるような光景を見たいなという夢があります。「U&piaといえばこの振り」みたいに浸透する、TikTokとかで誰しも一度は踊ったことがあるような振りを作れたらなって。ちょっと大きく出ちゃってるかもしれませんけど(笑)、携わっていく以上は目標として持っていたいですね。

SEIYA 僕は、個人としてもグループとしてもなんですけど、テレビの歌番組に出たいなって。夢の後押しをしてくれたお母さんとお父さん、おばあちゃんに僕の姿をテレビで観てもらいたくて。もちろん、今目の前で会っているファンの人たちにも喜んでもらいたいですし。

TAIGA SEIYA自身も歌番組で名だたるアーティストさんたちに感動をもらって育ってきたんだもんね。今度はそれを自分で、っていうね。

SEIYA そう。憧れもあるので、いつか同じステージに立ちたいと思っています。

SEIYA

SEIYA

──そこで例えば「NHK紅白歌合戦」などの具体名が出てくると非常にありがたいんですけども……(笑)。

SEIYA あ、紅白出たいです!(笑)

TAIGA あはははは! 紅白「も」だよね。

SEIYA はい、紅白「も」出たいです。

──ありがとうございます。荒ん。さんは個人の目標って何かあったりします?

荒ん。 「ない」と言ったら変ですけど、僕の場合は個人の目標がグループの目標みたいなところがあるので……これはちょっと「何言ってんだ?」みたいな、宗教じみた発言に聞こえちゃうかもしれませんけど、僕はU&piaに関わってくれるすべての人を幸せにしたいんですよ。とはいえ、誰かに優しいことはほかの誰かには優しくないということでもあるから、「あまねくすべての人に幸せを」ということではなくて、身の回りの人たちに「U&piaに関わってよかったな」と思ってもらいたい。そういうグループに仕上げることができたら、というのが僕個人の願いですね。

──本当に教祖感のある発言ですね(笑)。

荒ん。 神社とかお寺に行ったときも、必ず「携わってくれる人が幸せでありますように」と祈ってますから(笑)。「ありますように」というか、「幸せにします」と言うべき立場ではあるんですけど、常日頃からそう思っていますね。

TAIGA この人、財布がパンパンになるくらい5円玉を集めてますからね。

荒ん。 ご縁を大事にしてます(笑)。

U&pia

U&pia

プロフィール

U&pia(ユーエンピー)

2021年12月にアーティストデビューした5人組ボーイズダンス&ボーカルグループ。コンセプトデザインから楽曲制作、振付、衣装、マネジメント業務に至るまでをすべて自分たちのみで担う。グループ名の"U&pia"には、“決して見つけることが出来ない「理想郷(UTOPIA)」をU(あなた)と共に僕達が作り上げていく。”という意味が込められている。2022年9月に初の全国流通盤となるミニアルバム「Utopia」をリリースした。