ナタリー PowerPush - 露崎春女
元祖R&Bクイーンイズバック! 新作「Now Playing」は攻めの姿勢全開
意地とプライドが大事
──かと思えば、バラードの「さよならの誓い」では、別れた人が見せる弱さに傷ついたり、「You Lied」では「思い出を汚さないで」というフレーズがあったりして、決して軽くはないラブソングも多いですね。
なんか未練たらしいですね(笑)。というか、意地というか。
──どっちかといえば意地では?
そうですね。でも意地って大事だなと考えもして。
──ドロドロしてるんじゃなくて、本当の気持ちですよね。
うん。そこがないと書けないかもしれない。自分で書くときも、人に書いてもらうときも、そこがないとただなぞってる言葉みたいになっちゃうし。歌ってるときも、芯の部分で共感しないと……。その、意地とプライドみたいなところをしっかりグッと持っていながら「ホントに好きだったんだよ、バカヤロー!」みたいな気持ちが感じられないと(笑)、やっぱり歌えない。
──すごくカッコいいサウンドなんで、うっかり聴いてると、歌詞がグサグサ刺さるんですよ(笑)。
ははは(笑)。でも、それはうれしいです。
──しかし、トラックも歌詞もこんなに斬新なものになって。それだけ露崎さんの「面白いものを! ほかにないものを!」っていうテンションが続いてたっていうことでしょうね。
特に今回の作業は初めてのスタッフだったし。レコード会社が変わって、新しいディレクターの方との作業だからすべて“果し合い”みたいな感じで(笑)。まず反抗的な態度で入って。だから、「いいじゃないですか!」って言われることにムカついてたんですよ。
──「すげー!」みたいな反応を求める?
って言われると、逆に「別に……」みたいになっちゃって。
──最悪だ(笑)。
今はもう落ちついてるから、大丈夫です(笑)。あのころは、「ただムカついて怒ってるだけじゃダメだけど、人間って、モノ作りのときは怒ってるぐらいでなきゃダメなんだ、岡本太郎さんだってそう言ってた!」とか「芸術は爆発だ!」とか、自分に言い聞かせて。毎日、ノートにそういうことを書いてましたね。つらかった……。
──いや、いわゆる薄い感じの日本のR&B / ヒップホップにはない濃さが全編に出てて、いいと思います!
ありがとうございます。
「この曲を聴いてる自分イケてる」って思ってもらえれば
──ところでアルバムタイトルは決まったんですか?
あっ! そうそう、決めたんですよ。筋は通してるんですけど、1曲1曲が際立ってるアルバムになったな、というのと、このアルバムを聴いてる人に「今、聴いてる曲はコレ!」って言ってほしいなと思ったのとで、「Now Playing」っていうタイトルにしました。
──お、カッコいいですね。
あと、今って聴いてる曲をTwitterに「Now Playing」って書き込んでる人が多いですよね。みんな、自分が今聴いてるものを主張したいんだなって感じて。そこに、このアルバムの曲が入ってたらいいなって思うんです。だって、この曲を聴いてる自分イケてる、って思うから書き込むんでしょ? だから「ツユザキの『Bye Bye Gloom』聴いてる、なう」。イケてんでしょ?って思ってくれたらいいですよね(笑)。
──(笑)。大きなお世話ですけど、露崎さん、テレビとかにも出てください。面白いから!
このキャラクター、さらけ出していいんですかね?(笑)
CD収録曲
- Sacrifice
- Bye Bye Gloom
- Love Flame
- Real Love
- A New Day
- Emergency
- Let Go
- Alright
- Still Of The Night
- You Lied
- さよならの誓い
- Time Is Jewelry
EP収録曲
- Sacrifice
- Believe Yourself(Live ver.)
- Saving All My Love For You(Live ver.)
- Love Takes Time(Live ver.)
- Through The Fire(Live ver.)
露崎春女(つゆざきはるみ)
神奈川県出身の女性ボーカリスト。1995年10月にシングル「TIME」でメジャーデビュー。パワフルで情感豊かな歌声を持つR&Bシンガーとして人気を博す。2001年11月にアーティスト名義をLyricoに変更。曲調もオリエンタルな雰囲気の漂うポップスとなり、ファン層を広げる。2008年10月にはアーティスト名義を露崎春女に戻し、キャリアを総括する2枚組アルバム「13years」をリリースした。2011年2月、所属レーベルをヤマハミュージックコミュニケーションズに移籍。4月20日に待望のニューアルバム「Now Playing」を発表する。