つしまみれ|私たちは、もっと人気があっていいはず

指が動かないことに関してはあきらめている

──ギターにあまり自信のないギターボーカルの場合、普通はコードだけを弾くものなんですけど、まりさんは基本ほとんどリフを弾いていますよね。

まり BLANKEY JET CITYへの憧れだと思います。コードがわからないというのもありますけど(笑)。

──リフを弾きながら歌うスタイルは案外珍しいですし、いわゆる“ギターのうまさ”とはまた別の特殊技能が問われる分野です。そこに関しては、まりさんは日本屈指のギターボーカルと言えるんじゃないかと思っていて。

まり (ガッツポーズで)っしゃー。

つしまみれ

──それは練習したんですか?

まり 練習は……あまりしてないんですよね(笑)。ただ、浅井(健一)さんを観てカッコいいと感じた気持ちを忘れていないことは大きいかな。それと、Televisionのボーカルの人(トム・ヴァーレイン)みたいなギターを弾きたくて。単音でペケペケしてるけどめちゃめちゃキャッチーみたいな。自分の指が動かないことと和音がよくわからないことに関してはいい意味であきらめているので、「歌を歌えるフレーズをギターで弾こう」という発想で、そうするようにしています。

──今作で言うと、「ラッキー」の冒頭のギターあたりは普通のアルペジオっぽいフレーズですけど、おそらくアルペジオとしてではなくリフとして弾いているんだろうなと。

まり そうかもしれないです。アルペジオができないので(笑)。本当はもっと優雅に「タラララン」って弾きたいんですけど、できないので音数を減らしたりして。

──それが独特の味になっていますよね。あれをアルペジオ奏法で弾くと、おそらく“普通”になっちゃうと思うので。

まり それならよかったです。

お金をかけて宣伝してみよう

──今作のリリースに際して「今回は宣伝に力を入れたい」とおっしゃっているそうですが、なぜこのタイミングでそう思ったんですか?

やよい いつまでも売れないので……。

一同 (笑)。

まり コロナで自粛しているアーティストが復帰するための補助金が出るみたいな話があったので、「これを利用するしかない!」と。それを使って、お金をかけて宣伝してみようみたいな。

やよい その補助金がもらえるかどうかはまだわからないんですけど。

まり 宣伝をすることで、少しでも昔聴いてくれていた人が「つしまみれってまだやってたんだ?」と戻ってきたり、初めて知ってくれる人が出てきたりしたらいいなーみたいな。

つしまみれ

──なるほど。つしまみれって、1度ライブさえ観てもらえたら“代えがきかない”ことが一発で伝わるタイプのバンドですよね。3人の音だけで愚直に勝負していて、3人にしか出せない音をしっかり出している、バンドらしいバンドですし。ただ、その「まず観てもらう」という最初の取っかかりが難しいバンドなのかなと。

まり そうですね。そうかも。昔から自分たちの音楽には異様に自信があって、最初にバンドを始めたときは「つしまみれがとてもカッコいいから、それを世の中に知らせるんだ!」みたいな使命感があったんですけど、世の中の人があまり付いて来ず。「結局、自分が好きなだけなのかな」「自己満足なのかしら」と思うことも……。一部の熱狂的な人たちはまだ残ってくれているから辞められないし、そもそも自分に「辞める」という選択肢がないんですけど、「もっと人気があっていいはずなのに」とは思っちゃうし、なんとかしたいなって。

やよい なんか、いつでも「もうちょっとなのに」って思っちゃうんだよね。

まり 「おかしいな、めっちゃカッコいいのに」って。

やよい 「まだわからないか!」って(笑)。これまでもアルバムを出して「おかしい、また売れなかった」となったとき、一応毎回「何が悪かったんだろう?」って考えるんですよ。その1つに「宣伝が足りていない」というのはずっとあったんですけど、とはいえ宣伝にかけられるお金もなくて(笑)。

まり そうだね。ない袖は振れない。

──宣伝に力を入れることでたくさん売れれば、今後はさらに宣伝にお金がかけられますしね。その好循環を目指していこうと。

やよい そうですね。

まり がんばります。

ライブ情報

つしまみれレコ発ワンマン「ラッキーまみれ」
  • 2020年11月27日(金) 東京都 新宿LOFT OPEN 19:00 / START 19:30
つしまみれ