ナタリー PowerPush - 椿屋四重奏

10周年を迎え最新モードに突入 自然体が生んだ傑作アルバム

アイドルのプロデュースはやってみたい

──最後は全然毛色が違って、アイドルなんですけど……。

うわぁ、アイドルのプロデュースはやりたいっすね!

──1970~80年代の音楽番組って、アイドルを含めいろんな人たちが出ていましたよね。でも今は「アイドルはアイドル」みたいに特化しちゃってるところがあって。

もうアイドル向きの作家さんがいて、という感じがしますよね。昔はロックミュージシャンも結構曲を書いてたし、俺もちょっと来生たかおさんみたいな立ち位置になれるといいなあ。

──アイドルの曲って自由度が高い気がしますし。

そうですね。中森明菜さんを聴くとめちゃくちゃ音で遊んでるなと思いますもん。ロック調だったりテクノポップ的だったり、すげぇニューウェイブな曲もあるし。

──そういう意味では、一番実験しやすそうですね。

インタビュー写真

やってみたいですね。実際には難しいと思いますけど。

──というわけで、今勢いのあるアイドルといえばAKB48。例えば彼女たちだったらどういう曲を作ってみたいですか?

……(写真を見ながら)この2人かわいいですね。

──篠田麻里子さんと板野友美さんですね。

篠田さんに曲を書きたいです(笑)。

──あはははは!(笑) 椿屋の歌謡曲的なテイストとアイドル歌謡って、相性がいい気がしますね。

アイドル特有の、あのイノセンス感が大きな武器だと思うんです。声が汚れてないから、馴染ませようと思えばなんにでも馴染むし。それに、アイドルってあまり抑揚つけた歌い方をしないので、そこでいろんなアプローチでやりたいです。でも、俺がやったら本当に昔のアイドルみたいな曲になっちゃいますけど。

──今はそういうテイストの曲が意外と求められてるんじゃないのかなって気もしますが。

最近のアイドルの曲ってだいたい打ち込みで作っていて、バンドを使って演奏してる曲って少ないじゃないですか。昔はみんなバンドを使っていて、演奏もカッコいいし。ああいう曲をまた聴きたいですよね。

いつかはR&Bそのものをやってみたい

──今まで挙がった以外で、こういう曲を書いてみたいというのはありますか?

R&Bをやってみたいですね。個人的に好きなので。

──それは現代的なR&Bではなく、1960~70年代のですか?

いや、最近の都会的なR&Bもやってみたいです。本当のことを言うと、俺はR&Bをやりたかったんですよ。

──そうなんですか。今の話を聞いてふと思ったんですけど、椿屋の音にもそういう黒っぽさは一貫して出てる気がします。フィーリングであったり、音の感触であったり。

初期の曲はすごい和的なサウンドなんですけど、演歌にはなってないと思うんです。そこはやっぱり、歌い手としてうまい具合に黒っぽさをミックスさせてきたからなんですけど。だから、いつかはR&Bそのものをやってみたいですね。

インタビュー写真

ニューアルバム「孤独のカンパネラを鳴らせ」 / 2010年8月4日発売 / 2800円(税込) / Warner Music Japan / WPCL-10843

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CD収録曲
  1. ロンサム
  2. いばらのみち
  3. LOOK AROUND
  4. NIGHTLIFE
  5. ブランケット
  6. red blues
  7. ミス・アンダースタンド
  8. 流星群
  9. 漂流
  10. 思惑と罠
  11. ブライテスト・ダークネス
椿屋四重奏(つばきやしじゅうそう)

アーティスト写真

2000年、中田裕二(Vo,G)を中心に仙台で結成。メンバーチェンジを経て中田、永田貴樹(B)、小寺良太(Dr)の3人編成となり、2003年8月にミニアルバム「椿屋四重奏」をインディーズからリリースする。和を意識したメロディアスなロックを確信的に鳴らすそのスタイルが話題を集め、2005年6月に発表したシングル「紫陽花」はスマッシュヒットを記録。2006年3月よりサポートメンバーの安高拓郎(G)が正式加入し、名実共に"四重奏"として再スタートを切る。2007年にワーナーミュージック・ジャパンに移籍し、5月にはメジャー1stシングル「LOVER」をリリースした。その後も「TOKYO CITY RHAPSODY」(2008年)、「CARNIVAL」(2009年)とオリジナルアルバムを発表してきたが、2010年3月に安高が脱退。現在は再び中田、永田、小寺の3人を中心に、活動を続けている。