ナタリー PowerPush - 椿屋四重奏
10周年を迎え最新モードに突入 自然体が生んだ傑作アルバム
楽曲提供は本当に昔からやりたくてたまらない
──安達祐実さんが歌う「いばらのみち(紅子version)」も配信リリースされましたが、あれは中田さんがプロデュースしているんですよね?
そうです、アレンジもやりました。
──シングルに入っていたアコースティックバージョンともまた違ったテイストで。
ギターをやりたい放題に弾いて(笑)、ちょっと遊びながら作った感じです。
──安達さんの歌ったバージョンを聴いて、椿屋四重奏の曲って女性ボーカルが入るとまた違った映え方をするなと思ったんですが、今後も楽曲提供やプロデュースをしてみたいですか?
楽曲提供は本当に昔からやりたくてたまらないんですよ。今も絶賛募集中です。
──「こういう人に歌ってほしい」という希望はありますか?
色っぽい歌い方の人がいいですね。今は女性シンガーのシーンが百花繚乱というか、本当にうまい人がたくさんいるので選び出したらキリがないんですけど。でも、みなさんテクニックはすごい持ってるけどムードを呼び起こす声の持ち主は、やっぱり限られてるのかなと思います。久保田早紀さんみたいな声の持ち主がいたら最高なんですけどね。
中田裕二、“仮想プロデュース”に挑戦
──実は今回のインタビューで、中田さんに“仮想プロデュース”という企画にのってもらいたいなと思いまして。
あ、妄想トークってことですよね?(笑)
──こちらから女性シンガーの名前を挙げていきますので、この人だったらこういう曲をこういうアレンジでやってみたいと、その場の思いつきでどんどん答えていってほしいと思います。
わかりました!
──まず最初に、同じレーベルからthe brilliant greenの川瀬智子さん。椿屋って和のイメージが強い印象があるんですが、逆にブリグリはすごく洋楽的なカラーが表に出てるイメージがあって。そこで、こういうシンガーをどう料理するのかな、と。
そうですね……英語詞のイメージがあるし。でも俺がやるとなったら、やっぱりギャップをつけたほうがいいので……これ結構真剣に考えちゃいますね……和装かな。この声質で……逆にものっすごい女の怖さを表現した歌詞を歌ってもいいのかもしれませんね。
──すごくポップな声を持つアーティストですものね。
結構エッジの立った感じで、「噛みつきたい」とか聴きたい気がします。この声で。
やくしまるえつこはジャズ編成で
──続いては、相対性理論のやくしまるえつこさん。彼女は、最近いろんな方々とコラボレーションしていますが、彼女のようなタイプのシンガーだったら中田さんはどうプロデュースしますか?
この人の声はいろいろアイデアが湧いてきますね。歌謡曲的なものを歌ってもハマると思うし、すごく激しいサウンドも合うと思うし、ジャズ編成みたいなのもいいかな。
──ビッグバンドみたいな?
そうそう。あまり感情を感じさせない独特の歌い方でジャズをやってみると、絶対面白いと思う。
──このクセのない感じもひとつの個性だと思いますが、こういう人のほうがプロデュースしやすかったりしますか?
まあどっちもなんですけどね。個性的な人もギャップで面白いことになると思うし。彼女の場合はロリータボイスじゃないですか。だからいろんなアイデアが浮かんじゃいますよね、違う意味で。
──違う意味で(笑)。
俺はものすごいセクシャルな方向に持っていっちゃうと思います。
──それこそ椿屋でやってる、情念の部分を出していくと。
その毒があるほうが面白いと思うんですよね。
椿屋四重奏(つばきやしじゅうそう)
2000年、中田裕二(Vo,G)を中心に仙台で結成。メンバーチェンジを経て中田、永田貴樹(B)、小寺良太(Dr)の3人編成となり、2003年8月にミニアルバム「椿屋四重奏」をインディーズからリリースする。和を意識したメロディアスなロックを確信的に鳴らすそのスタイルが話題を集め、2005年6月に発表したシングル「紫陽花」はスマッシュヒットを記録。2006年3月よりサポートメンバーの安高拓郎(G)が正式加入し、名実共に"四重奏"として再スタートを切る。2007年にワーナーミュージック・ジャパンに移籍し、5月にはメジャー1stシングル「LOVER」をリリースした。その後も「TOKYO CITY RHAPSODY」(2008年)、「CARNIVAL」(2009年)とオリジナルアルバムを発表してきたが、2010年3月に安高が脱退。現在は再び中田、永田、小寺の3人を中心に、活動を続けている。