ナタリー PowerPush - 椿屋四重奏
メンバー脱退を経て3人組で再始動 念願の初ドラマ主題歌で新境地に到達
「CARNIVAL」であの4人の椿屋は終わった
──そしてカップリングとしてもう1曲、新曲「ミス・アンダースタンド」が収録されています。タイトルの「ミス」と「アンダースタンド」の間に区切りが入ってるので、“誤解”という意味の「ミスアンダースタンド」1ワードなのか、女性を表す「ミス(Miss)」と「アンダースタンド」の2ワードなのか、いろんな解釈ができるなって。
あはは(笑)、普通は区切ってないですよね。造語というか、わざとそうしました。
──「ミス・アンダースタンド」は従来の路線の延長上にあるものかと思いますが、この曲は「いばらのみち」と同じ時期に作ったんですか?
ネタ自体は前からあったんですけど、ちゃんと曲として作り上げたのは同じ時期。ストレートなバンド感で言いたいことを言おうみたいな、そういうコンセプトで作りました。
──松井さんと歌詞を共作した「いばらのみち」にはこれまでとは違ったインパクトがあって、中田さんがひとりで歌詞を書いた「ミス・アンダースタンド」は椿屋ならではの独特な世界観をそのまま形にしている。2曲の対比が面白いシングルですよね。ここから次にどう進んでいくのかが、気になります。
この2曲だけでは多分判断できないと思いますね。自分もちょっと判断できてないところがあるんで、次はまた全然違う感じになるかもしれないし。
──実は、前回のアルバム「CARNIVAL」って4人時代の椿屋四重奏の集大成というか、4人でできるベストをギュッと凝縮した作品だと思っていて。今回はたまたま3人編成に戻ったタイミングでのシングルですが、今回は新たな一歩を踏み出したという気合が強く出てる気がするんです。
ああ、確かにそうかもしれないですね。そういう意識はどこかで働いていたと思います。「CARNIVAL」であの4人の椿屋は終わったなっていう感覚はありましたし。だからこのシングルには、その次のステージ、次のスタートっていう意味合いは絶対あります。
ビデオクリップでコントとかやってみたい
──「いばらのみち」のビデオクリップは、モノクロでシンプルな構成ですね。このアイデアはどこから?
ドラマがすごくゴージャスで、展開も派手なので、逆にすごいシンプルでもいいんじゃないかなっていう話を監督として。そうしたら、ああいう世界観ができあがったんです。
──衣装から楽器まで、白対黒の世界の椿屋四重奏が対立して、ぶつかり合う感じが観ていて面白かったです。最後のシーンも印象的ですし。
言ったら怒られそうだけど、実はあの吸い込まれてくシーンの意味、俺はよくわかってなくて(笑)。ビデオクリップに関しては、俺はあんまり意見してないんです。大まかな話をして、後は監督にお任せで。
──そうなんですか。でも今回のPVはこれまでの椿屋でありそうでなかったタイプですよね。
椿屋のビデオクリップってこれまでワンパターンだったというか。女の子が出てきて絡んでとか(笑)、そういうのが多かったので、そろそろ違う内容にしたいみたいな話はしてたんです。「また俺、そんなに出るの?」とか結構文句を言っていて(笑)。
──え、「俺をもっと映せ!」的な感じじゃなくて?
もう、ぜんっぜん! 「俺を映すな、使ってくれるな」って。
──じゃあ演奏シーンがフィーチャーされるよりも、ドラマや映画の映像でPVを作ってみたい?
それもないんですけど、コントとかやってみたいです(笑)。いつもキザってるのばかりなので、なんかおちゃらけたビデオが作りたくて。海外のビデオクリップみたいに、ユーモアがあるけどカッコよくまとまっているのが作りたいんですけどね。
──バンドの芯の部分でそういうおちゃらけた部分はもちろんあると思うんですけど、いわゆる椿屋四重奏のパプリックイメージは、やっぱりこれまでのビデオクリップのイメージなのかなと。それはPVでそういうイメージが付いたのか後から付いてきたものなのか、どっちが先なのかはわからないですけど。
でも、ライブに来てMCとかでガッカリする人が多いから、やっぱりビデオクリップが先なんじゃないですかね(笑)。
今年は新バンド結成ぐらいの気持ちでいる
──このシングルを出すタイミングで、再び3人編成に戻って10周年に向かって進んでくわけですが、このアニバーサリーイヤーをどういう1年にしていきたいですか?
今年は「生まれ変わり」がテーマで、また一から作っていくというか、新バンド結成ぐらいの気持ちでいるんですよ。だから、こういうことをやろうというのはいくつか決まっているけど、自分もこの先どうなっていくかが具体的に把握できてないんです。今はそのワクワク感がすごい楽しいですね。
──ライブに関しても、今後はサポートメンバーを入れた形で進めていくんですか?
そうですね。夏にはライブも予定しているし。今は音源をいろいろ作ったりライブの準備をしたり、準備ばかりの状態ですね。
──なるほど。じゃあ新たに生まれ変わった椿屋四重奏が今後どう成長していくのか、次のアルバムが完成する頃には見えてきそうですね。
アルバムは年内には絶対聴けますから、楽しみに待っていてください!
椿屋四重奏
熱視線8「KICK START MY HEART」
- 2010年7月16日(金)
- 愛知県 名古屋E.L.L.
OPEN 18:15 / START 19:00 - 2010年7月17日(土)
- 大阪府 大阪umeda AKASO
OPEN 16:15 / START 17:00 - 2010年7月20日(火)
- 東京都 SHIBUYA-AX
OPEN 18:30 / START 19:30
椿屋四重奏(つばきやしじゅうそう)
2000年、中田裕二(Vo,G)を中心に仙台で結成。メンバーチェンジを経て中田、永田貴樹(B)、小寺良太(Dr)の3人編成となり、2003年8月にミニアルバム「椿屋四重奏」をインディーズからリリースする。和を意識したメロディアスなロックを確信的に鳴らすそのスタイルが話題を集め、2005年6月に発表したシングル「紫陽花」はスマッシュヒットを記録。2006年3月よりサポートメンバーの安高拓郎(G)が正式加入し、名実共に"四重奏"として再スタートを切る。2007年にワーナーミュージック・ジャパンに移籍し、5月にはメジャー1stシングル「LOVER」をリリースした。その後も「TOKYO CITY RHAPSODY」(2008年)、「CARNIVAL」(2009年)とオリジナルアルバムを発表してきたが、2010年3月に安高が脱退。現在は再び中田、永田、小寺の3人で活動を続けている。