スカパラ「風に戦ぐブルーズ feat.TAKUMA (10-FEET)」特集|自分たちの音を背負い続けるために (2/2)

共通の悲しみ

──この曲は全体的にシリアスな雰囲気で、どこか鎮魂歌のようにも聞こえました。

谷中 うん、そうですね。僕らとTAKUMAの共通の悲しみとして去年チバユウスケくんが亡くなったことは大きかったし、歌詞を書くときにもそこはやっぱり意識したというか、無視して通り過ぎることはできなかったですね。この前はNHK「SONGS」で「カナリヤ鳴く空」をTAKUMAに歌ってもらったりもしたし。

──チバさんを意識して書いた部分というのは?

谷中 最後のポエトリーリーディングのパートは完全に自分の中のチバくんとの思い出ですね。TAKUMAが書いた詩をもとにして、それを自分なりに書き換えながら完成させました。

谷中敦

谷中敦

川上 ここだけiPhoneのマイクで録ってるんだよね。

──レコーディングのときにチバさんのことを話したりもしましたか?

川上 そんな改めて語り合ったりはしてないけど、スタジオで突然TAKUMAが加藤(隆志 / G)のギターを持ってミッシェルの曲を歌ったことはありましたね。「これ昔コピーしたんですよ」とか言って。

谷中 今チバくんのことを考えると、彼の中に完璧なロックスター像というのものがあって、そこに向かって自分を“張ってた”ところがあった気がするんですよね。ロックスターとしての自分を命がけで演じてるというか、それを相当ちゃんとやってた人だったなって。普段の素のチバくんはすごくキュートなところもあるんだけど、ステージ上では人を寄せ付けないカッコよさがあって、そのギャップも彼の魅力だった。自分の作った音楽を背負い続けるために体を張っていく、戦っていく、その姿が「風に戦ぐブルーズ」なんだと感じてます。

川上 ただスカパラ35周年のキックオフですからね。チバくんに捧げる曲ってわけではない。でもやっぱり時期が時期で大きい出来事だったんで、そういう気持ちが曲に出てくるのは自然なことでしたね。

川上つよし

川上つよし

35周年ライブは派手にやりたい

──それにしても35周年という節目は感慨深いものがありますね。

川上 すごいですよね。自分たちでも笑っちゃうくらい(笑)。今まで長期で休んだことがないのは誇れるところかな。

谷中 活動休止もないしね。1年休んだりするバンドけっこういるでしょ。俺らずっとやってる。

川上 ツアーしてない年はないんじゃないかな。

──6月からはひさびさのライブハウスツアーが始まりますね。小さなキャパの会場も含め全国9会場を回ります。

川上 11月に「スカパラ甲子園」というデカいのがあるんで、その前に初心に返ってライブハウスでやりたいなってことですね。ただ小さいハコは暑いんですよ。我々は人数多いからステージが狭くって(笑)。

谷中 最近は若いファンも増えてきてるし、そういう子たちもライブハウスで大暴れして楽しんでほしいですね。

川上 そういえば昨日、歩いていたらお母さんと娘さんの親子に声かけられて「川上さんですよね? 甲子園行きます!」って言われたよ(笑)。親世代の人はライブハウスより甲子園のほうが来やすいかもしれないね。

──そもそもなぜ甲子園でライブをやることになったんですか?

川上 35周年ライブは派手にやりたいねって話してたんだけど、なんとなく「でも東京ドームとかじゃないよね」って。

谷中 面白い場所でやりたいというのはデビュー当時からずっと思ってたし、今年は甲子園球場100周年だってのもあったしね。

川上 ツタが絡まる昭和な感じもスカパラに合うかなって。

左から谷中敦、川上つよし。

左から谷中敦、川上つよし。

──絶妙なスカパラらしさがありますよね。告知写真の黄色いスーツ姿を見てデビュー当時を思い出しました。ゲストも豪華で、現時点では奥田民生さん、TAKUMAさん、aikoさんと石原慎也さんの4名が発表されています(取材は4月上旬に実施)。

川上 今気付いたけど、この4人みんな西日本出身の人だ。

──「スカパラ甲子園」は西の人しか呼ばない?

谷中 あはは、そんなことはないです(笑)。

川上 でも甲子園でお客さん何万人も入るかなって不安だったけど、甲子園ってシチュエーションも面白がってもらえてるんじゃないですかね。ゲストもさらに増えると思いますし、楽しみにしててください。

左から谷中敦、川上つよし。

左から谷中敦、川上つよし。

TAKUMA(10-FEET) コメント

東京スカパラダイスオーケストラとTAKUMA(10-FEET)。

東京スカパラダイスオーケストラとTAKUMA(10-FEET)。

この度「風に戦ぐブルーズ」でゲストボーカルやらさせて頂きました10-FEETのTAKUMAです。
去年スカパラのとあるライブにゲストでご一緒した時に谷中さんがオーディエンスに向かって「戦う様に楽しんでくれよ!」と叫んでたのがすごく印象的だったのですが、まさにその言葉を音楽にしたような曲だなぁと感じています。
この曲でスカパラと一緒に魂が踊る様なエネルギーを放ち、戦う様に楽しむつもりです。
またゲストボーカルに呼んでいただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます。

ライブ情報

東京スカパラダイスオーケストラ 35th Anniversary TOUR「Voyage To Paradise」

  • 2024年6月6日(木)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2024年6月7日(金)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2024年6月12日(水)北海道 札幌PENNY LANE24
  • 2024年6月13日(木)北海道 札幌PENNY LANE24
  • 2024年6月17日(月)青森県 青森Quarter
  • 2024年6月18日(火)青森県 青森Quarter
  • 2024年6月20日(木)福島県 郡山HIP SHOT JAPAN
  • 2024年6月27日(木)東京都 Zepp DiverCity(TOKYO)
  • 2024年6月28日(金)東京都 Zepp DiverCity(TOKYO)
  • 2024年6月30日(日)大阪府 なんばHatch
  • 2024年7月1日(月)大阪府 なんばHatch
  • 2024年7月3日(水)石川県 金沢EIGHT HALL
  • 2024年7月4日(木)石川県 金沢EIGHT HALL
  • 2024年7月10日(水)福岡県 Zepp Fukuoka
  • 2024年7月11日(木)福岡県 Zepp Fukuoka
  • 2024年7月30日(火)神奈川県 KT Zepp Yokohama
  • 2024年7月31日(水)神奈川県 KT Zepp Yokohama

35th Anniversary Live スカパラ甲子園 supported by NatureLab

2024年11月16日(土)兵庫県 阪神甲子園球場
<出演者>
東京スカパラダイスオーケストラ / 奥田民生 / TAKUMA(10-FEET) / aiko / 石原慎也(Saucy Dog) / and more

プロフィール

東京スカパラダイスオーケストラ(トウキョウスカパラダイスオーケストラ)

NARGO(Tp)、北原雅彦(Tb)、GAMO(Tenor Sax)、谷中敦(Baritone Sax)、沖祐市(Key)、川上つよし(B)、加藤隆志(G)、大森はじめ(Perc)、茂木欣一(Dr)からなるスカバンド。1989年のデビュー以降、インストゥルメンタルバンドとしての確固たる地位を築く中、日本国内に留まることなく世界31カ国での公演を果たし、世界最大級の音楽フェスにも多数出演。2021年8月には「東京2020オリンピック競技大会」の閉会式でライブパフォーマンスを披露した。2022年7月に幾田りらをゲストボーカルに迎えたニューシングル「Free Free Free feat.幾田りら」を、11月には石原慎也(Saucy Dog)が参加するシングル「紋白蝶 feat.石原慎也(Saucy Dog)」を配信。2023年3月に長屋晴子(緑黄色社会)をゲストボーカルに迎えた「青い春のエチュード feat.長屋晴子(緑黄色社会)」を含むミニアルバム「JUNK or GEM」をリリースした。2024年にデビュー35周年を迎え、そのキックオフコラボとなる「風に戦ぐブルーズ feat.TAKUMA (10-FEET)」を配信リリース。11月には阪神甲子園球場でワンマンライブ「スカパラ甲子園」を開催する。

10-FEET(テンフィート)

TAKUMA(Vo, G)、NAOKI(B, Vo)、KOUICHI(Dr, Cho)による3ピースバンド。メロディックパンク、ヘヴィメタル、レゲエ、ヒップホップ、ギターポップ、ボサノバなどさまざまなジャンルを取り入れたサウンドで人気を集める。2007年より主催野外フェス「京都大作戦」を開催している。2022年3月に結成25周年を記念したコラボレーションアルバム「10-feat」、12月にオリジナルアルバム「コリンズ」を発表。「コリンズ」の収録曲「第ゼロ感」は、映画「THE FIRST SLAM DUNK」のエンディング主題歌に使用され大きな反響を集めた。2023年10月にドラマ「フェルマーの料理」の主題歌「Re方程式」を発表し、大晦日の「第74回NHK紅白歌合戦」にも出演。2024年5月19日に神奈川・横浜アリーナでワンマンライブ 「10-FEET ONE-MAN LIVE 2024 ~急なワンマンごめんな祭~」を開催する。