コロナ禍もネガティブなだけじゃない
──ここからはニューアルバム「SKA=ALMIGHTY」について伺っていきます。今回のアルバム収録曲はすべてコロナ禍の中で作られたんでしょうか?
谷中 完全にそうですね。
──アルバム制作のきっかけになった曲は?
谷中 最初にできたのはステイホーム期間の直前にJ-WAVEのキャンペーンソングとして作った「倒れないドミノ」です。ラジオっていうのは人と人が会えない中でも電波でつながっている。それがいいなと思って「同じ空を見上げていた」という歌詞を書かせてもらいました。
川上 その次に「仮面ライダーセイバー」のお話をいただいたんですよね。
NARGO このアルバムには「ALMIGHTY~仮面の約束 feat.川上洋平」「仮面ライダーセイバー」「多重露光 feat.川上洋平」と、仮面ライダーセイバーの曲が3曲入ってますから。僕ら完全に仮面ライダー世代なので本当に光栄です。
川上 すごく意識したわけではないけど「セイバー」の曲もコロナ禍の状況が反映された歌詞になってますね。
──やはりコロナの影響は大きかったと。
谷中 うん、ライブも年間100本近い本数を30年間ずっとやってたのに。
川上 去年はいきなり5本くらい(笑)。
谷中 だからリハーサルで集まって一緒に音を出せるだけですごく幸せで。その喜びがアルバムに詰まってるのかもしれない。
NARGO ひさびさにみんなで会ったときのあの感じは忘れられないですね。
川上 コロナ禍でも必ずしもネガティブなだけじゃなく、そこで気付いた発見とか喜びとかそういうものが音の中に入ってるんです。
みんながスーパースター
──この時期、例えば家で過ごす人にそっと寄り添うようなリラックスした作品もアリだったと思うんです。でも完成したアルバムは非常にエネルギッシュな内容になりました。
NARGO 自分たちも曲を並べてみて「なんてハイテンションなアルバムなんだ!」ってびっくりしましたからね。
──NARGOさん作曲のナンバーはひときわ熱い印象を受けました。
NARGO 意識はしてないんですけどね。この状況を振り切ろうとするエネルギーが湧いてきたのかも。
──特に「This Is My Life」はヤバい曲になりましたね。
一同 あはは(笑)。
NARGO いやあ、この曲大丈夫なのかな?って僕もずっと不安です。
谷中 アルバムに入れてから不安に思うのやめてくれる?(笑)
──曲調が目まぐるしく変わって、途中からデスメタル調のハードな展開に突入するという異色のナンバーです。
NARGO 「順調にはいかねえぞ」ということを音で表現しております。楽しげに始まるけど全然違う展開になるあたり。
──このデスボイスは誰が?
NARGO 僕がやってます(笑)。YouTubeで「3日で出せるデスボイス」っていう動画を観て超練習して、3日目に喉が潰れました。
川上 ダイスケはん(マキシマム ザ ホルモン)にお墨付きもらったんだよね。
NARGO 「(デスボイス)できてますね」って言われました。
──同じくNARGOさん作曲の「(Everybody is a) SUPERSTAR」はアルバム終盤のクライマックスを飾る疾走感あふれる1曲です。
NARGO これは完全に闘いモードの曲ですよね。最初のタイトルは「Superstar」だけだったけど、多くの人がキツい状況でがんばっている今、みんながスーパースターなんじゃないかなって話し合って「Everybody is a」を付けたんです。
川上 特にホーンセクションはかなり激しく闘ってますね。後半ずっと吹きっぱなしだけど曲を持ってきたのはこの人(NARGO)ですから。僕らが出したら「こんなの吹けないよ」って言われるようなものを自分で出してくるんです(笑)。
地球上のみんなにチームワークが必要とされている
──そして川上さん作曲の「Salvation Ska」や「Together Again」はオーセンティックなテイストでこのアルバムに豊かな広がりを加えています。
川上 アルバム1曲目の「Salvation Ska」は「このアルバムいろんな曲が入ってるけど全部スカなんだぜ」という宣言みたいな曲ですね。
──「Together Again」は心地よいグルーヴを感じるミディアムチューンです。
川上 これはステイホーム期間中にポロッとできたモチーフを後日リハーサルに持っていって仕上げました。聴いてもらうとわかると思うんですけど、バンドで演奏できる喜びを満喫している曲ですね。
NARGO 全員ユニゾンで演奏してるのはほぼ初なんです。
川上 やりたかったんです、全員ユニゾン。
──アルバム2曲目の「9」はJ SPORTS野球中継のテーマソングですが、スカパラの9人について歌っているようにも聞こえます。
谷中 この時代全員一丸とならないとコロナには勝てなくて、地球上のみんなにチームワークが必要とされている。自分たちは30年間チームワークで活動しているバンドなんで、それを歌詞にできたらと思って書きました。
──「名も無き英雄のためのスカ 最強のチームはいつも 無冠のヒーローが守った」というフレーズが印象的です。
谷中 医療従事者の方も“名も無き英雄”だと言われてたんで、そういうことも頭に浮かべつつ。一流のチームというのは目立たないけど優秀な人もたくさん集まっているというイメージがあるんですよね。
──この曲は谷中さんのボーカルが冴えていますね。
川上 パンク精神が炸裂してるよね。
谷中 あはは(笑)。高校の同級生で3年間同じクラスだった沖(祐市 / Key)が曲を作ったから沖と一緒に歌いたくて。サビの叫んでるところや「やめる理由はありすぎるけれど 続けるワケは一つだけ」のパートは沖です。