アルバムで唯一の“かわいい枠”
──6曲目のポップなジャズナンバー「未来キュレーション」も新曲ですが、「てかすて」とは表情の付け方が対照的ですね。要は「てかすて」はアダルトな方向に、「未来キュレーション」はキュートな方向にそれぞれ振り切っています。
雨宮 よく3人で「『未来キュレーション』はキャラソンっぽいね」と話していたんですよ。なので私も歌うときはかなりキャラソン的な、デフォルメされたかわいさを出していこうと。あと、この曲はアルバムで唯一の“かわいい枠”でもあると思ったので、「ここでやらずにいつやるんだ!」みたいな気持ちで歌いました。
夏川 確かにそうだね。
雨宮 まあ、ひと言で言えばぶりっ子ですね。思いっきりぶりぶりしました(笑)。
麻倉 私も「未来キュレーション」はひたすらかわいい曲だと感じたので、笑顔で跳ねるように歌おうと思ったんですけど、どうにもリズムが……。
雨宮 めっちゃリズムに苦戦してるね(笑)。
麻倉 だって難しいんだもん(笑)。
──麻倉さんは裏拍を取るのがあまり得意ではない?
麻倉 そうなんですよ。私はいつもこっちなので(手拍子で四分音符の表=1拍目と3拍目をゆっくりと打ちながら)。でも、リズムに慣れ始めたら楽しくなってきて、自然と笑顔になりましたね。あと、このアルバムの収録曲は大人っぽい表情で歌うような曲も多かったので、逆に「未来キュレーション」は自分より年齢が低い女の子の設定で歌いました。
夏川 私はこの曲を聴いたときに、かわいさの中にちょっといたずらっぽい成分も混じってると感じたので、そのいたずらっぽさを大事にしたいと思って。今回のアルバムは私が一番手でレコーディングすることが多くて、この曲もそうだったんです。なので、例えばサビの最後の「ホラ未来キュレーション」に何か色を付けたくなって「ここ、ちょっとベンドをかける感じにしませんか?」って提案したり。
麻倉 えっ、あれナンちゃん発信だったの?
雨宮 私も知らなかった。
夏川 そうなの。だから私としては一番手であるのをいいことに、いろんな工夫を詰め込んだ曲でもあります。
この曲の一番の課題は「笑わないこと」
──次の新曲は8曲目の「Sunset カンフー」ですが、この曲は先の「Believe」と同等かそれ以上に会場が沸きましたね。
雨宮 いやあ、すごかった。
麻倉 この曲はラジオで1コーラスは流してるんですけど、それを差し引いても異様な盛り上がりだったよね。
夏川 私たちもびっくりしたよね。
──ベタな中華感を盛りまくったチップチューン的なエレクトロポップ。こんなの楽しいに決まっています(笑)。
雨宮 ライブではそこに振りが付いてさらにパワーアップした感じもあって。もともと「すごい曲がきたな!」って思ったし、たぶんそれぞれノリノリでレコーディングしたと思うんですけど、振りが輪をかけてノリノリで。
麻倉 振り付けの先生から「この曲はどんな振りにしたい?」と聞かれたとき、みんな「中国拳法みたいにしたい!」という意見で一致したんだよね。この曲のベタベタな世界観に、さらにベタを重ねる感じで。
夏川 なおかつ「それを大真面目にやりたいよね」って。私にとってこの曲の一番の課題は「笑わないこと」だったんですよ。ホントに歌ってるとすぐ笑っちゃうから(笑)。
雨宮 とにかく真顔でふざけ切る。半笑いでこの振りをやってもキマらないからね。
麻倉・夏川 そうそう。
3人で歌いつないでいく歌
──そして最後の新曲が11曲目の「またね、」。もともとTrySailのディスコグラフィにバラードは少ないのですが、それを抜きにしてもこの王道的なスローバラードは新鮮でした。
雨宮 「またね、」は、例えば同じバラードの「あかね色」と比べても“ソロシンガーが歌う曲”感がすごいなと。
麻倉 3人の誰かのソロ曲みたいな。
雨宮 そうそう。私もレコーディングではソロ曲を歌うようなつもりで自分の付けたい表情をいっぱい付けたんですけど、そのぶん3人になったときにどうなるのか想像が付かなかったです。あと「またね、」は、ツアーを通して3人のバランスやハーモニーがもっともっと洗練されていく気がしています。そういう意味では、「Believe」や「Sunset カンフー」とは違う方向の成長が期待できる曲ですね。
麻倉 今まで私はTrySailで30曲以上も歌ってきたんですけど、なぜか「またね、」はレコーディングのときに、本っ当にメロディが覚えられなくて。そんなことは初めてだったので、「ものすごく難しい曲だ」というイメージが……あ、もちろん今はちゃんと頭に入ってるんですけど(笑)。
夏川 それを聞いて安心したよ(笑)。
麻倉 ただ、レコーディング後もそのイメージを引きずっていて、ライブに向けた歌い分けの練習でも「うわあ、どうしよう……」って心配で。この曲は歌い出しが天からで、それを受けて私が続くんです。でも曲の序盤はバックでピアノが静かに鳴ってるだけで声が目立つから、いっつもドキドキしながら入ってたんですね。それを察してか、天がめっちゃ丁寧にバトンを渡してくれるんですよ。私が入りやすいように、ブレスを合わせてくれたりして。だから「またね、」は3人で歌いつないでいる感がすごく強い曲だなと思いますね。
雨宮 私はこういうバラードはけっこうタメて歌うのが好きなんですよ。「またね、」もそういう歌い方をしてたんですけど、最初の頃のリハでは私がタメて歌っても、もち(麻倉)はもちのテンポで歌っていたんです。でも、歌う回数を重ねるごとにもちも私のテンポに合わせてくれるようになって。だから私も「歌いつないでるな」と感じていました。
夏川 「またね、」は「君」との別れを歌っているんですけど、すごく内省的というかパーソナルな歌だと私は感じたんです。なので3人で大事に歌いつなぐと共に、個人としてもしっかり気持ちを込めなきゃいけないなと思います。今回のツアーでは立体的なステージセットを作っていただいたんですけど、「またね、」はまさにそのステージの構造を生かして、今言ったようなことを視覚的にも伝えられるような演出になっているので、そこもぜひ注目してほしいです。
──そのツアーは7月まで続きます。長い航海になりますね。
雨宮 長いですよね! 約半年ですからTrySail史上最長のツアーになるんですけど、最初のほうでお話しした通り、このツアーは基盤となる部分を私たちで考えて、そこにスタッフさんたちが素敵な色を付けて形にしてくださったんです。なので途中でバテたりすることなく、1公演1公演に熱意を持って臨みながら最後まで全力で駆け抜けたいです。
麻倉 幕張の2公演を終えて3人ともそれぞれ手応えを感じているんですけど、次の北海道公演からはアルバム発売後のライブということになるので、そこでまたどんな反応が返ってくるのか、すごく楽しみです。あと、天も言ったように過去最長のツアーなので、今まで以上に体調管理にも気をつけなきゃですね。
夏川 いろんな意味で、このツアーは私たちにとって挑戦的なものになっているんですよ。かつ、ツアーの期間も長いし、いろんな場所でいろんな人に出会えるぶんだけ、そういう私たちの姿勢だったり新しい一面だったりをよりたくさんの人にお見せできるチャンスも広がっていると思うんです。その中で、みんなと一緒に過ごせる時間を私たちも目一杯楽しみたいです。
ライブ情報
- LAWSON presents TrySail Live Tour 2019 "The TrySail Odyssey"
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- 2019年2月23日(土)千葉県 幕張イベントホール
- 2019年2月24日(日)千葉県 幕張イベントホール
- 2019年3月16日(土)北海道 札幌市教育文化会館
- 2019年3月23日(土)大阪府 グランキューブ大阪(大阪府立国際会議場)メインホール
- 2019年3月24日(日)大阪府 グランキューブ大阪(大阪府立国際会議場)メインホール
- 2019年3月30日(土)静岡県 静岡市民文化会館 大ホール
- 2019年3月31日(日)群馬県 ベイシア文化ホール
- 2019年4月6日(土)千葉県 千葉県文化会館
- 2019年4月7日(日)千葉県 千葉県文化会館
- 2019年5月4日(土・祝)新潟県 新潟県民会館
- 2019年5月6日(月・振休)福岡県 福岡サンパレスホテル&ホール
- 2019年5月12日(日)広島県 広島文化学園HBGホール
- 2019年5月26日(日)神奈川県 パシフィコ横浜 国立大ホール
- 2019年6月23日(日)宮城県 仙台サンプラザホール
- 2019年7月6日(土)兵庫県 神戸国際会館
- 2019年7月7日(日)兵庫県 神戸国際会館
- 2019年7月13日(土)愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
- 2019年7月14日(日)愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
- TrySail「TryAgain」
- 2019年2月27日発売 / SACRA MUSIC
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完全生産限定盤
[CD+DVD+上製本フォトブック]
5940円 / VVCL-1417~9 -
初回限定盤
[CD+Blu-ray]
4860円 / VVCL-1420~1 -
通常盤
[CD]
3240円 / VVCL-1422
- CD収録曲
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- TryAgain
- WANTED GIRL
- Truth.
- Believe
- Take a step forward
- 未来キュレーション
- CODING
- Sunset カンフー
- 散歩道
- Make Me Happy?
- またね、
- azure
- 完全生産限定盤DVD / 初回限定盤Blu-ray 収録内容
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- TryAgain -MUSIC VIDEO-
- The Maiking of "TryAgain -MUSIC VIDEO-"
- TrySail(トライセイル)
- ミュージックレインに所属する声優の麻倉もも、雨宮天、夏川椎菜からなる3人組ユニット。2014年12月にユニットの結成を発表し、2015年5月にデビューシングル「Youthful Dreamer」をリリースする。同月には初のワンマンライブを神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールで開催した。その後も「Classroom☆Crisis」「暦物語」「ハイスクール・フリート」といったアニメのテーマソングを次々と担当。2016年に1stアルバム「Sail Canvas」を発表。同年11月より初のライブツアー「LAWSON presents TrySail First Live Tour “The Age of Discovery”」で全国8カ所を回る。2017年8月には2ndアルバム「TAILWIND」をリリースし、2018年2月より2ndツアー「LAWSON presents TrySail Second Live Tour "The Travels of TrySail"」を開催。2019年2月に3rdアルバム「TryAgain」をリリースし、ライブツアー「LAWSON presents TrySail Live Tour 2019 "The TrySail Odyssey"」をスタートさせた。