TRUSTRICK × chelly（EGOIST）対談

喋るように歌う人

──アルバムの表題曲「TRICK」でゲストボーカルを務めるchellyさんにお越しいただきました。

Billy（G）　よろしくお願いします。

神田沙也加（Vo）　ああ、いい匂い。

chelly　ふふ（笑）。よろしくお願いします。

──そもそもどういった経緯で今回のコラボに至ったんでしょう？

神田　私がchellyちゃんの声が大好物で、ガチのファンだったっていう。本当に、それだけで説明が済んじゃうんですよ（笑）。

──神田さんがchellyさんを知るきっかけとなったのは？

神田　「ギルティクラウン」（EGOIST誕生のきっかけとなった2011年10月～2012年3月放送のテレビアニメ。EGOISTは劇中のヒロイン・楪いのりがボーカルを務めるバンドで、アニメのテーマソングや劇中歌を担当した）が好きで、CDも買って、当時からラジオ番組で紹介したりしてたんです。あれからずーっと「いつか一緒にやりたいな」と思っていて、今回のアルバム制作のタイミングで口説きに入り……今、隣にいます（笑）。

──お二人はプライベートでも親交があったんですか？

神田　お互いのライブや舞台を観に行って挨拶をさせてもらう関係ではあったんですけど、プライベートでの関わりはなかったよね？ でも「ダンガンロンパTHE STAGE 2016」（参照：「ダンガンロンパ」本郷奏多、神田沙也加ら熱演「ファンとして最後まで」- ステージナタリー）を観に来てくださったときに、そろそろいいんじゃないかと思って私から「連絡先交換しませんか」って切り出したんです。それでごはんに行って「コラボとかしたいですね」って話した1カ月後にはレコーディングしてました。

──chellyさんは、この神田さんのあふれる情熱を目の当たりにしていかがでしたか？

chelly　純粋にうれしかったですね。私にとって神田さんはテレビで観る人だったので……。

神田　「沙也加ちゃん」でしょ？

chelly　沙也加ちゃんは（笑）。そんな方が自分のことを好きって言ってくださるなんて、「こんな未来が待ってたとは！」みたいな感じでした。

神田　ホントに私、求愛がすごいよね？ 知りたいことがいっぱいあって、一緒にごはんに行っててもライターさんみたいにいろんなこと聞いちゃうんですよ。

──音楽ライターとして（笑）。ではchellyさんの魅力を評論するとしたら？

神田　そうだな……声の美しさは言わずもがなですけど、しゃべるように歌う人だなって。それって私が信条としてることというか、目指してることでもあるんです。それがすごいなって思うし。あとはやっぱり、EGOISTさんって“オールジャンルおばけ”なんですよ（笑）。そのおばけっぷりもすごいし。いやー、好きですね、うん。

Billy　好きって言ってるだけで評論になってないよ？（笑）

chelly　うれしいです（笑）。

ファンからディレクターへ

──ではBillyさんは、EGOISTやchellyさんに対してどんなイメージを持たれていましたか？

Billy　実はTRUSTRICKを結成したばかりのとき、お互いに「どんな音楽が好きか」っていう話をしていて、最初に彼女からEGOISTさんの名前が挙がったんです。

神田　3年前の夏くらいだね。

Billy　うん。僕はそこで初めてEGOISTの作品に触れたんですけど、そのとき「なるほどな」って思ったんですよね。彼女はきっと、自分と同じタイプのボーカリストとしてchellyさんのことを尊敬してるんだなと。僕自身もEGOISTのバラエティに富んだ作品に出会って、「自分たちもそういう作品を作ってみたいな」と思いましたし。

──トラトリの音楽性、コンセプトを決める重要なところで、実はすでにEGOISTが大きな影響を与えていたと。

Billy　はい。でもまさか、実際に自分が作った楽曲にchellyさんの声が乗るなんてことは想像してなかったんですけどね。

──chellyさんはトラトリとコラボしてみていかがでしたか。

chelly　お二人とも、すごく褒めてくださるんですよ。なかなかこんなにまっすぐ褒められることってないので、照れながらレコーディングしてました。

Billy　褒めるところしかなかったんですよ。

神田　そう。素材が素晴らしいことはもうわかってるから「もっと歌って！」みたいな（笑）。だって今回、私がディレクションしていいって言われたんですよ。そんなのって……。

──ファンからディレクターって、すごい飛躍ですね（笑）。

神田　本当に！ 大好きなアーティストを好きに料理していいだなんて、恐縮もするけど興奮もするし、初めての高まりでしたね。