“英語の人”Charmが発音を熱血指導
──こういうふうに全編ほぼギター2本でボーカルもべったりハモっているアルバムって、近年の日本ではあんまり聴かない気がします。
大橋 そうなんですよ。だから「これはビジネスチャンスだ!」と思って。たぶんね、それができる人と巡り会うことがないんだと思います。だから「このチャンス逃すものか!」って感じですよ。歌えて、ギターがめちゃくちゃうまくて。
Charm 話も合って。
大橋 英語の歌も歌える……というかむしろ英語の人だから。
Charm 英語、得意です(笑)。
大橋 僕も英語の歌が好きで歌いたがりだし。なかなかいない2人だと僕は思います。
──僕も思います。英語の発音に関しては、毎回Charmさんが大橋さんに熱血指導をされると前に伺いました。
大橋 はい。めちゃめちゃ厳しく。
Charm いやいや、そんなに言うことないですよ。
大橋 ちょっとの指導ですごく変わるんですよ。例えば「I'm」は「アイム」じゃなくて「アム」でいいとか。
Charm 「I'm on」は「アーモン」になるんですよね。僕はカリフォルニア訛りがあるらしいので、確実に正解とは言えないんですけど(笑)。「The Yonder」はけっこう仕掛けが多いですよね。
大橋 そう。これめちゃくちゃ韻を踏んでるんですよ、「er」で。
──「Brothers, sisters」「another」「fakers」「makers」などですね。
大橋 「rollercoasters」がめちゃくちゃ難しかったです。Charmに「そこはもうちょっとこう」って言われるのは自分の中にない発音だから、時間をかけざるを得ないですよね。しかも初めて歌うから、そもそもメロディも言葉も入ってない状態で。
Charm 逆にそれでよく読めますね。
大橋 ちょっとしたコツはわかってるつもりなんだけど、やっぱりそんなに薄っぺらいものではないってことは思い知りますね。
──バイリンガルじゃないけど英語の歌をきれいに歌う方っていますよね。槇原敬之さん、佐藤竹善さん、山下達郎さんなど。
Charm 僕も好きです。僕、アメリカにいたときに大橋さんの「THIS IS MUSIC」(2008年発表のアルバム)を初めて聴いて「この人、海外に住んでたのかな」と思ったんですよ。それぐらい素敵な英語でした。響きですね、やっぱり。メロディにはまる単語で決まる気がします。
大橋 わかる。それはカバーじゃなくてオリジナルの場合だよね。そうなんですよ。そこです。メロディにうまくはめられるかと、その単語に向いたメロディかどうか。自分の曲でも「今思うとまだまだだったな」と感じるのはいっぱいあります。
Charm 僕の日本語はどうでしたか?
──(笑)。言うまでもなく完璧です。
大橋 褒められたいだけじゃないの?
Charm すいません(笑)。
アコギ少年がカバーしてくれたら
──アコギ2本にハモリという編成にお二人が刺激を受け、楽しんでいるのが音源から伝わってきました。
大橋 ありがとうございます。あと、どのギターを使うかみたいなところにも、めちゃくちゃこだわりました。
──今回、新たに導入されたギターはありますか?
大橋 はい。僕はアコギを2本買いました。
Charm 僕はマーティンギターさんにお願いして、小ぶりのギターをお借りしました。けっこうよかったので、違う種類のやつをあとから注文するつもりです。
大橋 レコーディングのあとで2人で飲んでたときもずっとアコギの話をしてましたね。YouTubeを延々と見ながら「これ欲しいなー」とか。
──想像できます(笑)。録り音も素晴らしいですね。
大橋 そうなんですよ。真空管マイクとリボンマイクをうまいこと置いて、それを基本にしたんですけど、僕が思ってるアコースティックギターの音の深みとか空気感もすごくよく録れたなと思います。日本プロ音楽録音賞をいただきたいですね(笑)。
──アナログも合いそうな作品ですよね。
大橋 今のところ予定はないですけど、ジャケはアナログになっても遜色ないものにしたつもりです。これ、初回限定盤は金沢の写真館で撮ったんですよ。背景がそれっぽいでしょ。で、通常盤はよくお世話になってる金沢のライブカフェバーで。
──こんなに素敵なアルバムを作られると、我々リスナーとしては今後の活動も気になるところですが、何かご予定はありますか?
大橋 今回やれたこともあるし、やれなかったこともあると思うんですね。それがまた膨らんでくるはずなんで、僕は第2弾をやれたらいいなと思ってます。あと、これを引っさげてのツアーをやりたい。ただいろいろ段取りがあるのでね、ツアーとなると。
Charm すでに計画されてるものもそれぞれあるので。
大橋 やるとしても、ちょっと先になっちゃうんじゃないですかね。
Charm 「やってほしい!」というご要望がいっぱいあれば。とりあえず今はこれを作れただけで光栄だし、ありがたいし、いい思い出になりました。
大橋 まずは3月の「TOKYO GUITAR JAMBOREE 2024」かな。まだ「何やろうか」って感じですけど。
──最後にお二人から言っておきたいことはありますか?
大橋 うーん……(しばらく考える)アコギ少年がカバーしてくれたらうれしいです。1人じゃなく2人で、アコギの絡みを楽しんでほしいなと。アコギのよさをもっと知ってもらいたいんですよ。
Charm アコギは色あせない音だと思うんです。ネイチャー、オーガニックの代名詞みたいな楽器という気がします。今までアコギデュオの作品をそんなに聴いてない人には新鮮な気持ちになってほしいし、ずっと聴いてた人は「やっぱこれだね」と思ってほしい。そういう願いがありながら作られたアルバムなので、1曲1曲楽しんでいただければと思っております。
大橋 エンジョイ、エンジョイ。
公演情報
J-WAVE TOKYO GUITAR JAMBOREE 2024 supported by 奥村組
2024年3月2日(土)東京都 両国国技館
<出演者>
トータス松本 / スガ シカオ / TOSHI-LOW(BRAHMAN、OAU) / 竹原ピストル / 大木伸夫(ACIDMAN) / 大橋トリオ & THE CHARM PARK / 河口恭吾 / 竹内アンナ / Kenta Dedachi / 上野大樹
Opening Act:ルイ
Guest Act:オーディション「新弟子検査」グランプリ受賞者(1)
MC:クリス・ペプラー(J-WAVEナビゲーター)
2024年3月3日(日)東京都 両国国技館
<出演者>
真心ブラザーズ / 森山直太朗 / 浜崎貴司(FLYING KIDS) / 山内総一郎(フジファブリック)×斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN、XIIX) / 辻仁成 / カネコアヤノ / Michael Kaneko / 阿部真央 / 崎山蒼志 / クジラ夜の街(宮崎一晴・山本薫)
Opening Act:Leina
Guest Act:オーディション「新弟子検査」グランプリ受賞者(2)
MC:グローバー(J-WAVEナビゲーター)
プロフィール
大橋トリオ(オオハシトリオ)
2007年にアルバム「PRETAPORTER」でデビュー。シンガーソングライターとしての活動のほかテレビドラマ、CM、映画音楽の作家としても活躍しており、代表作には映画「余命1ヶ月の花嫁」「雷桜」「PとJK」の劇伴などがある。またNHK Eテレ「にゃんぼー!」の音楽や、TBS系「世界遺産」のテーマ曲も担当した。2022年2月にデビュー15周年を記念したベストアルバム「ohashiTrio best Too」、2023年1月にコラボベストアルバム「ohashiTrio collaboration best -off White-」をリリース。2024年2月にTHE CHARM PARKとのギターデュオ形態でアルバム「Trio & Charm」を発表した。
大橋トリオ ohashiTrio Official Website
大橋トリオ_Official (@ohashitrio_official) | Instagram
THE CHARM PARK(チャームパーク)
シンガーソングライター、ギタリストのCharm(チャーム)によるソロユニット。8歳から24歳までアメリカで過ごし、その後、日本にて音楽活動を開始。叙情的で美しい楽曲とオーガニックかつ緻密なメロディ、高いアレンジ力で注目を浴びている。2015年11月にTHE CHARM PARKとしての初作品となるミニアルバム「A LETTER」を発表。2018年にメジャー1stアルバム「Timeless Imperfections」をリリースした。自身のソロ活動のほか、さまざまなアーティストへの楽曲提供やサポートなどでも活躍。2024年2月に大橋トリオとのギターデュオ形態でアルバム「Trio & Charm」を発表した。
THE CHARM PARK OFFICIAL WEBSITE
THE CHARM PARK (@thecharmpark) | X