ナタリー PowerPush - T-Palette Records#3 - Negicco
結成10年 最高の追い風
コラージュマンガで「この人ヤバい!」って
──アルバムの収録曲順はけっこう考えました?
connie はい。僕自身にとってもアルバムを作るのは初めてだし……正直アルバムという形態にそれほど思い入れがなかったんですよ。B面曲にしろ何にしろ、シングル曲として成立するものを今までずっと出してきたつもりだし、単純にそれが集まった作品になるんじゃない?って。それにリスナーとして聴くのは僕もCDではなくMP3プレイヤーだったりするし。Negiccoの曲は全部「Negicco」フォルダに入っていて、曲順なんて関係ないんです。でも今年に入って、大きな衝撃を受けた3枚のアルバムがありまして。
──全部挙げてもらってもいいですか?
connie NONA REEVESの「POP STATION」、花澤香菜さんの「claire」、竹達彩奈さんの「apple symphony」です。この3枚を聴いたら「やっぱ順番大事だな」って(笑)。やっぱり13曲聴いて、また1曲目に戻ってほしいよなと考えたら、流れが重要だなと。それをこの3枚が教えてくれました。
──1曲目「愛のタワー・オブ・ラヴ」で始まって、間髪入れずに「あなたとPop With You!」が来る、この導入のテンポ感はすごくNegiccoらしいなと思いました。ライブでのNegiccoを再現しているようで。
connie ありがとうございます(笑)。
──続いて小西さんの「アイドルばかり聴かないで」があって、4曲目でついに新曲「イミシン☆かもだけど」が来ると。新曲についてはぜひ細かく話を聞かせてもらいたいのですが、この曲はこれまでのNegiccoにありそうでなかった種類のアイドル路線ですね。
connie この曲はさっき挙げた花澤さんのアルバムでも素晴らしいアレンジをされている長谷泰宏(ユメトコスメ)さんの曲で。完全に長谷さんワールドですねえ。
──3人はいかがでしたか?
Megu 今までとはけっこう違う歌い方をしてますけど、これはレコーディングブースに長谷さんも入って、一緒に踊りながら録ってくれたんですよ(笑)。すっごい楽しくて。今までにないしゃくりだったりとか、そういうのも事前に「このアイドルさんのしゃくりがすごいから、観ておいてね」って映像を送ってもらってたりして。私たちなりに勉強して行ったんですけど、当日長谷さんがノリノリで教えてくれたのが断然吸収率がよかったですね(笑)。
Kaede 長谷さんは「イミシン☆かもだけど」のストーリー本を作って持ってきてくださったんですよ。歌詞と絵を合成させたマンガを。
connie 少女マンガのセリフのところに歌詞を入れ込んだ、何ページかの冊子をわざわざ作ってきてくれて。
──歌詞の世界観を解説するためのコラージュマンガ(笑)。
connie 「この人ヤバい!」って思いました(笑)。だけどそれが伝わるんですよ。
Kaede そうそう。すごくうれしかった。
Nao☆ メンバーのカラーペンまで。水色とピンクと紫のペンを持ってきてくださって、歌詞カードも色分けがされてるんですよ。私たちのレコーディングにこんなに力を入れてくださってることにすごく感動して、ホントがんばらなきゃって思いました。
Negicco=宇宙の秘密
──さらに新曲が続いて、5曲目はtofubeatsプロデュースの「相思相愛」。彼はメンバーと同世代ですよね。
Megu そうなんですよ。私の1コ下?
Kaede ちょうど私たちの間なんですよ。
Nao☆ えっ、年下なの!? 知らなかった。若き才能ですなー。
Megu 私、トーフさんの「水星」が大好きで「ああいう曲いいなあ」ってずっと憧れてたんですよ。「相思相愛」もメロウで「水星」と近いものを感じて「キター!」と思いましたね。
──tofubeatsさんもレコーディングには立ち会ったんですか?
Nao☆ はい。トーフさんもかなり細かいこだわりがありましたね。難しいミディアムテンポでしたけど、意外と全体的にサラッと終わったかな。
──理論を飛び越えたようなメロディラインなのでかなり苦戦したんじゃないかと思ってたんですけど、歌録りはスムーズに。
Nao☆ そうですね。トーフさんの仮歌はテクノっぽい感じでかなり加工されてたので、録ったあとでいろいろ変えるのかなと思ってたら、ほとんど生歌のまんまで(笑)。
Kaede これはヤバい!と思いました(笑)。
──そして既発の2曲を挟んで、サイプレス上野とロベルト吉野による「ナターシア」。これまでになかった“異色作”という意味では、この曲がズバ抜けて異色ですよね。
Kaede 難しかったですね。ラップが……。もうどうしようかと思いました。「こうこうこういうふうにラップすればいいんだよ」って説明されても全然わかんなくて。ラップってなんだ?っていう。
Megu なんとなくできるんじゃないかって甘い気持ちでいたんですけど全然ダメでしたね。なんかこう「YO! YO!」とか「チェケチェケ!」とか雰囲気のラップはわかってても……(笑)。
──それっぽい手振りで挑んではみたものの(笑)。
Megu とんでもなかったです。もう何回録り直したか。
Kaede センスなさすぎてどうしようかなって。
connie タイトルはナタリーさんリスペクトで(笑)。さらに松本零士先生ともかけていて、テーマは「宇宙」。一応僕の中では全部つながってるんですよ。
──なぜNegicco=宇宙なんですか?
connie 「Party On the PLANET」とか「ニュートリノ・ラヴ」とか、Negiccoには宇宙をテーマにした曲がずっとあるんですけど、やっぱり新潟にPLANET(新潟The PLANET)というハコができたのが大きいですね。PLANETのフロアに行くとわかるんですけど、ミラーボールがバーンと回るともう完全に宇宙空間なんですよ。それともう1つ。昔、吉田豪さんと杉作J太郎さんがトークイベントをやったときに、杉Jさんが「トークに困ったらテーマを宇宙にしろ」って言ってて。
Megu 言ってましたねー(笑)。
connie 「困ったら視点をマクロに拡大するとだいたい成立する」っておっしゃっていて「あ、それ歌詞にも使えるな」と(笑)。「Party On the PLANET」で使ったのが「宇宙でCall and Go 僕らヒューマン・ビーイング」。突然大規模なことを言って成立させちゃうみたいな(笑)。
──杉作J太郎さんがNegiccoのイメージをつかさどるキーマンだったと(笑)。
connie そのトークイベントもPLANETでやってたってことで、僕の中ではぜーんぶつながってるんです。
- ニューアルバム「Melody Palette」 T-Palette Records
- [CD] 2013年7月17日発売 / 3000円 / TPRC-0047
- [アナログ2枚組] 2013年8月14日発売 / 4500円 / TPRV-0003
収録曲
- 愛のタワー・オブ・ラヴ
- あなたとPop With You!
- アイドルばかり聴かないで
- イミシン☆かもだけど
- 相思相愛
- 恋のEXPRESS TRAIN
- GET IT ON!
- ナターシア
- ルートセヴンの記憶
- ネガティヴ・ガールズ!
- Negiccoから君へ
- スウィート・ソウル・ネギィー(grooveman's Jack Bounce Mix)
- ニュートリノ・ラヴ(banvox remix)
- BACK NUMBER
- #1 アップアップガールズ(仮)
- #2 lyrical school
- #3 Negicco
- #4 所属アイドル座談会
T-Palette Records
タワーレコードが発信するアイドル専門レーベルとして2011年6月に設立。以降、立ち上げ時からのメンバーであるバニラビーンズ、Negiccoをはじめ、LinQ(2013年4月にメジャー移籍)、しず風&絆~KIZUNA~、lyrical school、ライムベリー、アップアップガールズ(仮)といった楽曲に定評のあるアーティストが数多く参加し、タワーレコードならではの“音”にこだわった作品が続々とリリースされている。またレーベル主催イベントの開催や、全国各地のアイドルグループを紹介するコンピレーションCDの販売など、アイドル文化の活性化に大きく貢献している。
Negicco(ねぎっこ)
新潟の名産品「やわ肌ネギ」のキャンペーンユニットとして2003年7月に結成。キャンペーンソング「恋するねぎっ娘」でCDデビューを果たす。キャンペーン終了後も地元新潟を拠点に活動を続け、2010年にはローカルアイドルの音楽フェスティバル「U.M.U AWARD 2010 ~全国アイドルお取り寄せ展~」で優勝。2011年にはバニラビーンズとともに、タワーレコードが設立したアイドル専門レーベル「T-Palette Records」の第1弾アーティストとなった。同年11月にシングル「恋のEXPRESS TRAIN」を発表した。2012年2月にはベストアルバム「Negicco 2003~2012 -BEST-」をリリース。このアルバムに収録された代表曲「圧倒的なスタイル」は同年1月よりフジテレビ系人気バラエティ「めちゃ×2イケてるッ!」のエンディングテーマとして1年にわたってオンエアされた。結成10周年を迎えた2013年7月には、小西康陽、西寺郷太(NONA REEVES)ほか豪華クリエイターを作家陣に迎えた1stオリジナルアルバム「Melody Palette」をリリース。
2014年2月12日更新