當山みれい|素直な気持ちを名曲のアンサーソングに乗せて

友達ののろけ話を聞くのが大好き

──當山さんは15歳から歌手として活動されていますが、いわゆる普通の青春時代は経験したんですか?

當山みれい

大学には行ってないですけど、高校は普通に行ってました。だから友達には、専門に行ってる子、大学に行ってる子、働いてる子、いろんな人がいますよ。先日20歳になったので、友達とみんなで鳥貴族に飲みに行きました(笑)。

──今回のアルバムには、アンサーソング以外にもラブソングが多いですが、歌詞は當山さんのリアルな恋愛体験をもとにしているんですか?

いや、友達から聞いた話が多いですね。昔からよく恋愛相談をされるので、聞いた話を密かにメモってるんです。歌詞にしたいと思うのは、倦怠期の愚痴より「好きな人がいるんだよね」っていう期間ののろけ話。それこそインタビューみたいに、その子の気持ちを根掘り葉掘り聞くのが楽しくて。この前聞いてかわいかったのは、二重で目がぱっちりした友達の話。その子はバイト先に好きな人がいて、ちょっと両思いっぽい感じなんですよ。男の子が「目が大きいね」って言ってくれて、恥ずかしかったから「でも疲れてると、三重とかになっちゃうんだ……」みたいに照れ隠ししたらしいんですよ。そしたら男の子がその子の目をまじまじと見てきて、友達は恥ずかしくなっちゃったそうです(笑)。

──聞いてるこっちが照れくさくなっちゃいますね……(笑)。

ですよね(笑)。歌詞にするときは、こういう話をもとにいろんな要素を足していきます。例えば、TikTokやMixChannel(共に動画コミュニケーションアプリ)を使ってる子たちは、みんな自分の恋愛に対してめっちゃオープンなんですよ。2人の記念日に「等身大のラブソング」を使った動画をアプリ上で公開したり。私はそういう子たちが着てる服をチェックしたりします。「SupremeのTシャツに白いスキニーのパンツか」みたいな。そこから「彼氏はきっと白いスキニーにアイスこぼしちゃって1日中ソワソワしちゃってたりするのかな」とか、勝手に妄想して話を大きくして歌詞に反映させたりしますね。

──清水翔太さんの「My Boo」のアンサーソングを作ったのはなぜですか?

清水翔太さんは事務所の先輩で、私は「My Boo」が初披露されたライブも観てるんですよ。だからすごく思い入れがあって。「My Boo」には女の子が欲してるものが全部ある。「照れくさくていつも言えないけど愛してる」って歌詞を、カラオケで彼氏に歌われたらもうキュンキュンしちゃう。しかも歌詞の中にブランド名が具体的に出てきますよね? あれを自分の好きな人が着てるものに置き換えると、主人公の男の子は自分の好きな人になるんですよ。私がTikTokやMixChannelで服とか細かい部分をチェックするのは、その影響もあります。

──「Dear My Boo」の歌詞ではどんなことを意識しましたか?

私は男の人が引っ張ってくれるような曲が好きなんです。なんでもかんでもうまくできるわけじゃない私に「そこも含めて君が好き」って言ってくれるような。だから私は「そう言ってくれるあなたが好き」って言いたかった。「そのエスコートしてくれる感じが、逆にかわいいんだよ!」みたいな。この「My Boo」だけじゃなくて、今回作ったアンサーソングの原曲は全部名曲で、聴いた人それぞれがいろんな思いを持ってると思うんですね。だからプレッシャーはものすごくあります。でもそんなこと思ってたら、私の中にある伝えたい気持ちは聴いてる人に絶対届かない。だから手紙に返事を書くように、自分の中にあるものをストレートに歌詞にしました。

──友達ののろけ話やSNS以外に、作詞のインスピレーションソースはありますか? 「テラスハウス」みたいな恋愛バラエティとか。

當山みれい

私、恋愛の駆け引きみたいな部分にはあまり興味がないんですよ。だから「テラハ」みたいなものを観てから作詞することもないです。そもそも何が起きてるかより、その人が何を感じているかということに興味がある。リアルな本音。飾らない気持ちって言うか。ドラマチックじゃなくて全然いいんです。だからインスピレーションを受けるのは、ほとんど身近の人たちの話からですね。

──恋愛の根っこにある部分は、作り物からは得られないということですか?

そうですね。そこが一番大事。妄想するのは得意なんで、ドラマチックなキュンキュンポイントは私がいくらでも作ります(笑)。レコーディングのときに、スタッフやミュージシャンたちに恋愛にまつわるインタビューをして、その場で歌詞を変えちゃったりもしますから。

ロマンチックで明るいラブソングを歌う意味

──アルバムの最後に収録されている表題曲「Answer」は一転して、恋愛を題材にしていませんが、この曲にはどんな思いが込められているんですか?

この曲は私が本当に思ってることだけ書きました。まったく脚色してないです。私、これまで“ファッションメンヘラ”が大嫌いだったんです。自分の弱さをSNSでアピールするような人たち。本当につらい人はそんなことしない。ああいう人たちは、結局自分をどう見せるかってことばかりを考えて、“いいね”の数を競い合ってるだけなんですよ。しかも、そんなことで疲れちゃうのも変だなって思ってた。でもそんなふうに私自身が「あれもやだ」「これもしたくない」と思ってたら、最終的に何もできなくなってしまった。

當山みれい

──どういうことでしょうか?

私、人の目が気になりすぎて、全然外に出られなくなったんですよ。誰かに何か言われるのが嫌で、柄ものの服すら着れなかった。今の世の中って、誰かが何かするとすぐにディスったりする。アニメが好きな人を笑ったり、MixChannelでチューしてる恋人同士を批判したり。でもある日突然、「別にいいじゃん」って思うようになりました。幸せな2人が記念日の思い出を作品にしてもいいじゃんって。みんなそれぞれ違うんだから、お互いを認め合えばいい。だから、私はこの曲で自分のことを正直に出すことにしたんです。素直な気持ちを歌えば、私が明るいラブソングを歌う意味がもっと伝わるんじゃないかって。黙ってたらわかんないとも思ったし。

──ディスだらけの窮屈な世の中だからこそ、聴いてるだけで幸せになれるような歌を歌いたいということですね。

恋人のことを深く愛してる人って、友達のこともすごく深く考えてくれてると思うんです。私はそういう人たちの愛を世の中に広めたい。恥ずかしがらずに伝えて、聴いた人の力になれるような歌を歌いたい。人のことが本当に好きな人たちの本音をもっともっと歌っていきたいです。

當山みれい「Answer」
2018年8月29日発売 / Sony Music Records
當山みれい「Answer」初回限定盤

初回限定盤 [CD+DVD]
3900円 / SRCL-9811~2

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當山みれい「Answer」通常盤

通常盤 [CD]
3300円 / SRCL-9813

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CD収録曲
  1. Dear My Boo
  2. P.S. 等身大のラブソング
  3. Lie
  4. Tiger
  5. 君のとなり
  6. 音色 Regards
  7. 願い ~あの頃のキミへ~
  8. Missing You
  9. キミの好きなうた
  10. The Answer
初回限定盤DVD収録内容
  • 君のとなり -Music Video-
  • 願い ~あの頃のキミへ~ -Music Video-
  • Missing You -Music Video-
  • Dear My Boo -Music Video-
當山みれい(トウヤマミレイ)
當山みれい
1998年大阪生まれの“ダンサーソングライター”。中学1年生でアメリカ・ニューヨークのライブハウスのオープンマイクに出場し大喝采を浴びる。その後中学2年生でニューヨークへ留学。全米トップの名門ゴスペルグループ「Gospel For Teens」に所属し、アジア人として異例のリードボーカルに抜擢される。2013年6月にはシングル「TATTOO」で全米デビューを果たした。躍動感あふれるダンスパフォーマンスとゴスペル仕込みのソウルフルな歌声により注目を集め、日本でもデビュー前から童子-Tのアルバム「T's MUSIC」やDJ和のコンピレーションアルバム「A Girl↑↑」に参加。2014年6月に両A面シングル「Fallin' Out / I Wanna NO feat. SHUN」にて待望の日本デビューを果たす。2016年7月に1stアルバム「My Way」を発売。2017年7月に童子-T「願い feat. YU-A」のアンサーソング「願い~あの頃のキミへ~」を含むCD「願い E.P.」、2018年3月に清水翔太の楽曲「My Boo」のアンサーソング「Dear My Boo」をリリースする。8月に、アンサーソングを多数収録したアルバム「Answer」を発表した。