ナタリー PowerPush - 當山みれい

15歳の歌姫が歌う“JK”のホンネ

日本人であることの大切さ

當山みれい

──とはいえ、中学2年生で留学ってつらくなることはなかったですか?

3カ月ほどすごくホームシックで。日本に一旦帰ったらもうアメリカに戻りたくなくなるんじゃないかって思って、冬休みの里帰りも危うかったです。でもそれを乗り越えてからは本当に楽しくて、最後は日本に帰りたくなくなってました(笑)。

──その1年の間に全米デビューしたんですよね。アメリカで音楽活動を続けて、日本に帰らないという選択肢もあったと思うんですけど、日本に帰ってきて音楽をやろうと思ったのはなぜですか?

それまで日本を国として見たことがなかったし、どっちかというと「小さな島国で……」ってあんまり日本をよく思えてなかった部分があったんですよ。でもニューヨークに行ってから、日本人のいいところとか日本っていう国の文化の素晴らしさをすごく実感して。日本語も大切にしたいなって思ったし、自分の個性として日本人であることってすごく重要だと思ったので、帰ってきて日本でがんばってみようと思いました。

──アメリカ生活で見えた日本のよさとは?

いろんなものが見えたんですが、やっぱり原宿ファッションの影響力はすごかったですね。アメリカでもきゃりーぱみゅぱみゅさんとかすごい流行っていて、ニューヨーク公演もすごかったんですよ。カラフルなカツラをつけた白人さん、黒人さんがみんなで「PONPON」言ってるみたいな。ああいうカラフルな色合いとか日本の「KAWAII」みたいなところに、人を惹きつける魅力みたいなのがあるんだなっていうのをすごく感じました。

自分の世代の人たちの気持ちを代弁したい

當山みれい

──作詞作曲を始めたのはいつ頃ですか?

小学5~6年のときに始めました。

──どういったきっかけで?

ずっと昔から「理想の歌手像はシンガーソングライター」っていうのがあったんです。自分の歌いたくない歌は歌いたくないし、思ってないことも歌いたくなくて。自分で曲や詞を書くと、自分の納得のいく音楽ができると思うし、なおかつ自分の伝えたいことを発信できるなって思っていたので。そしたらお父さんとお母さんが、ある日「がんばりなさい」ってMacBook Proと作曲ソフトを買ってきてくれたので、それを使って始めました。

──独学ですか?

そうですね。操作方法から検索して。当時からつながりのあったプロデューサーさんとかに質問したりして、手探りでやっていってました。

──その頃はどんなことを歌ってたんですか?

(小声で)背伸びして書いてましたね……。何書いてましたっけ?

スタッフ すんごい背伸びしてたよ。まずクラブ行ってました、曲の中で。クラブで「DJ! あの曲回して」って言って、その曲が回った瞬間から楽しい時間が終わるカウントダウンが始まる、みたいな。

背伸びしてるなー。嫌だなー。

──クラブに行ったりしてるのは、想像ですか?

完全に想像です。いまだに入れない年齢ですから(笑)。でも自分で聴いてた曲にそういうものが多かったので憧れがあって。あと自分がクラブで流れているようなエレクトロな、今のEDMみたいな音楽が好きで、それに合わせて歌詞を書いていたのでちょっと背伸びしてました。

──「してました」ということは今は背伸びしてない?

今は、自分の世代の人たちの気持ちを代弁できたらなと思っていて、背伸びはせず、単純に自分の思ったことを書いています。周りの友達の会話からインスピレーションを受けて書いたり。日常会話の中でヒントを見つけられるので楽しいです。

──「自分の世代の気持ちを代弁する」というのが當山さんの作る曲のテーマですか?

みんなに共感してもらえる曲を作ろうと思っています。そうしたら上の世代の方にも「今の自分たちの世代ってこういうことを思ってるんだよ」ということを発信していけると思いますし。

リアルタイムで流行っているJ-POPは聴いていなかった

──今回のシングルにはカバーが2曲収録されています。DREAMS COME TRUE「未来予想図II」はなぜ選んだんですか?

當山みれい

自分のお母さんが歌っていたのを聴いて好きだったので、この曲を自分らしく歌えたらいいなと思って選びました。

──洋楽をずっと聴いていたということだったので、ここでドリカムが出てきたのが意外でした。

お父さんは洋楽ばっかり聴く人なんですけど、お母さんはそんなこともなくて。あとカラオケに行くと両親は自分の世代の曲を歌うので“懐メロ”みたいな曲をよく聴いていたんです。なので古い世代の邦楽はなじみがあって好きです。

──逆にリアルタイムで流行っているJ-POPなどは聴いていないんですか?

あんまり聴いてなかったです。自分で調べて聴いてたのは洋楽だったので……。邦楽も好きな曲はありますけど、基本は洋楽です。

──カバーのもう1曲は洋楽の中からJackson 5「I'll Be There」です。

私は“ダンサーソングライター”って呼ばれたりしますけど、やっぱりマイケル・ジャクソンさんは憧れの存在で。小さい頃からやってるJackson 5のときの歌声も素晴らしいなと思って、自分なりにアレンジできたらなと「I'll Be There」を選びました。

──マイケル・ジャクソンのほかに、影響を受けたアーティストはいますか?

リアーナ。あとはレディー・ガガ、スティーヴィー・ワンダーですね。

デビューシングル「Fallin' Out / I Wanna NO feat. SHUN」/ 2014年6月25日発売 / Sony Music Labels
初回限定盤[2CD]1599円 / SRCL-8560~1
通常盤[CD]1300円 / SRCL-8562
収録曲
DISC 1
  1. Fallin' Out
  2. I Wanna NO feat. SHUN
  3. Hysteric Girl
  4. Fallin' Out(DJ WATARAI Remix)
  5. I Wanna NO(Tachytelic Bass Remix)
  6. Hysteric Girl (T.O.M. Remix)
  7. I Wanna NO feat. SHUN(A Cappella)
DISC 2(※初回限定盤のみ)
  1. 未来予想図II(DREAMS COME TRUEカバー)
  2. I'll Be There(Jackson 5カバー)
當山みれい(トウヤマミレイ)
當山みれい

1998年大阪生まれ、現役女子高生の“ダンサーソングライター”。中学1年生でアメリカ・ニューヨークのライブハウスのオープンマイクに出場し大喝采を浴びる。その後中学2年生でニューヨークへ留学。全米トップの名門ゴスペルグループ「Gospel For Teens」に所属し、アジア人として異例のリードボーカルに抜擢される。また2013年6月にはシングル「TATTOO」で全米デビューを果たした。躍動感あふれるダンスパフォーマンスとゴスペル仕込みのソウルフルな歌声により注目を集め、日本でもデビュー前から童子-Tのアルバム「T's MUSIC」やDJ和のコンピレーションアルバム「A Girl↑↑」に参加する。そして2014年6月に両A面シングル「Fallin' Out / I Wanna NO feat. SHUN」にて待望の日本デビュー。