度胸試しで明確になったミュージシャンという夢
──ちなみに現在のマネージャーさんとはどんな出会いだったんでしょう。高校の文化祭で一緒に歌われたことがあるとお聞きしたのですが、お二人で音楽活動をしようとしていたんですか?
彼はお笑い芸人になりたくて、僕はミュージシャンになりたかったんです。お互いにそんな夢をなんとなく抱きながら、栃木の田舎でどうすればいいのかまったくわかってなくて。1回、誰かの前で何かを表現してみようかと、高校の文化祭に出たんです。体育館のステージに立って、2人で歌って、MCみたいな感じで先生をちょっとイジってみんなを笑わせたり。この間録画したビデオを観返してみたら、僕しかしゃべってなかったですけど(笑)。
──文化祭のステージで度胸試ししたんですね。
僕はそのとき初めて人前で歌ったんですが、周りからの反応がすごくよかったんですよ。泣いている女子がいたり、先生も褒めてくれたりして。そういう反応を受けて、初めて自分の歌が評価された気がしたんです。これをもっと大きな場所で、たくさんの人に聴いてほしいなという具体的な夢が持てた出来事でしたし、東京に行こうという覚悟が決まりました。
──確か、マネージャーさんは芸人として芸能事務所にも所属されてましたよね?
去年の12月に辞めたんです。彼の中で1つの区切りを付けて、ミュージシャン・川崎鷹也を日本一にするという目標に100%フォーカスしたいという思いが強くなったみたいで。マネージャーと芸人を片手間にやるのは、どっちにも失礼だということもあり。
──それだけマネージャーの仕事もやりがいを感じられたってことでしょうね。すごい出会いだと思いますよ、人生が変わってるわけですから。
そうですね。お互いの人生に関わってるわけですからね。だからこそ、僕個人的には彼がマネージャーとして大きな仕事を取ってきてほしいとか、裏方として最強な仕事をしてほしいなんて1mmも思ってないんですよ。でもマネージャーとしてカッコいい男になってほしいと思っています。
真逆でバランスのいい2人
──マネージャーとしていい仕事をしてほしいとは思ってないけれど、彼がいてくれることで安心感があったりするのでは?
それはありますよ、すごく。それこそ生放送の音楽番組の本番直前、精神がピークに張り詰めてるときにステージからパッと脇を見たら、高校からの親友が不安そうな顔で水を持ってこっちを見ている。その光景がすごく面白かったんです。不安なのはこっちだよって(笑)。それでちょっと客観的になれたり、無理をする必要はないなって思えたりするんですよね。それこそお客さんが2、3人のときからライブを観てくれている人なので、そんな彼と今も一緒に仕事ができているのはうれしいです。
──ちなみにお互いの高校時代の第一印象はどうだったんでしょう。
田舎もんだなあって。
──同じ栃木県出身なのでは?
同じなんですけど(笑)、眉毛も太くて顔が赤くて「田舎っぺだな」っていう印象でした。僕は中学がマンモス校で、田舎の中でもわりと都会側の出身だったんですけど、彼は那須の山の中の同級生8人みたいな中学の出身なので「仲よくなれないな」と思いました。
──じゃあ逆にマネージャーさんから見た、川崎さんの第一印象も聞いてみましょう。
(マネージャー) 「めちゃくちゃヤンキー来たぞ!」ですね。
──あはははは。最高ですね。
(マネージャー) こちらこそ仲よくなれないと思いました。
(笑)。そう考えたら、真逆のタイプでしたね。彼は入学式から真面目に背筋をピンと伸ばして椅子に座ってましたから。僕は入学式だからこそナメられたくないと思って態度が悪かったですね。そんな真逆な2人だからこそ、違う考えを持てたりすることがあるし、バランスはいいと思います。
ちょっと確信が得られたり、感情があふれたりする瞬間を
──素敵な出会いのお話、ありがとうございます。そして第4回となる「TOUCH」の、今回のテーマは「最近泣いたのいつですか?」ということですが、川崎さんは普段、泣くことはありますか?
僕はわりと泣くほうなんですよ。高校の卒業式でも人一倍泣きましたから。
──ヤンキーも泣くんですか。
ヤンキーこそ泣くんですよ、卒業式なんて(笑)。最近でも映画を観て泣いたりとか、マンガを読んでグッときて泣いたりしますね。
──先ほどの「ぼくのきもち」もそうですけど、川崎さんの楽曲にはいろんなタイプの涙を誘う歌がありますよね。曲を書きながら泣いたり、歌いながら泣いたりしたことはありますか?
書きながら泣きはしてないんですけど、「拝啓、ひまわり」は上京してすぐに母親に向けて書いた曲なんです。1人暮らしを始めて、それまで当たり前だったことが当たり前じゃなくなって。家に帰ったらごはんがあることや、洗濯物が畳まれてることのありがたさにようやく気付いた。それで母親に向けて「必ずやいつの日にかあなたの元へ帰るから」なんて歌詞を書いているときはグッと来るものがありました。
──「拝啓、ひまわり」のミュージックビデオではお母さんが家でごはんの用意をしてくれているのに、息子は1人でカラオケに行ったりしていて、「何やってんの!」って大人になった今だからこそ思いますよね(笑)。
あはははは、そうそう。僕もそうだったんで、親になって初めてわかる気持ちがあります。自分でも歌いながら一番グッとくるのはこの曲です。歌う前のMCでは、どうしてもオカンの話になるので、泣きそうになって「やばい、早く歌おう!」と思うことも多いです(笑)。
──当日に向けて、セットリストなどもいろいろと考えてくださっていると思いますが、改めてライブイベント「TOUCH」への意気込みをお聞かせください。
僕も音楽に助けられてきましたし、自分が思っている以上の感情が湧き上がる瞬間もあったりして、音楽や歌の持つ力って不思議だなと思っています。だからこそ、このイベントでは、何かを迷っていたり悩んでいたりする人が、ちょっと確信を得られたり、感情があふれて涙してくれたりしたらうれしいです。「あのとき『TOUCH』ってイベントに行って川崎鷹也の曲を聴いてブワッて泣いちゃったな」とか、「背中を押してもらったな」とか、いつか思い出すような瞬間を体験してもらえたら成功だなと思っています。
ライブ情報
TOUCH “川崎鷹也”
2022年3月23日(水)東京都 WWW X
OPEN 18:15 / START 19:00
入場チケット
価格:全自由席6000円(税込)
配信視聴チケット
価格:一般2800円(税込) / auスマートパスプレミアム会員2300円(税込)
プロフィール
川崎鷹也(カワサキタカヤ)
1995年、栃木県生まれ。ハスキーな歌声と美しいビブラート、特徴的なメロディラインが人気を集めている。2018年にアルバム「I believe in you」でシンガーソングライターとして本格的に音楽活動を開始。2020年、TikTokで「魔法の絨毯」が人気となり、同曲を使った動画が2万7000本以上アップされ、トータルの再生回数は約3億回を超える。同曲はSpotifyのバイラルチャートで1位を獲得した。2021年12月、メジャー1stアルバム「カレンダー」を発表。2021年にはテレビ朝日系ドラマ「もしも、イケメンだけの高校があったら」の主題歌として書き下ろした新曲「Be yourself」を配信リリースした。
川崎鷹也 (@kawasaki_takaya) | Twitter