ライブイベント「TOUCH」特集 川崎鷹也インタビュー|出会いに恵まれたどり着いた今、感情があふれるような瞬間を

3月23日に東京・WWW Xで開催されるライブシリーズ「TOUCH」第4回に川崎鷹也が出演する。

「TOUCH」はカルチャーの街・渋谷を舞台にアーティストの“今”に触れる、ライブナタリーによるシリーズ企画。有観客ライブと生配信を合わせたハイブリッドなスタイルで、毎回異なるアーティストを招いて行われている。第4回となる今回は、会場を前回までのSpotify O-EASTからWWW Xに移して開催。当日は芦沢ムネトがパーソナリティとなりラジオの公開生放送風のコーナーを展開するほか、「最近泣いたのいつですか?」をテーマにファンから募集したエピソード、川崎にゆかりのある人物からのメッセージも紹介される。

音楽ナタリーはイベント出演を控える川崎にインタビューを実施。近況を語ってもらいつつ、「TOUCH」のテーマである“出会い”についての話題や、ライブに向けた意気込みを聞いた。

取材・文 / 上野三樹撮影 / 曽我美芽

ライブ情報

TOUCH “川崎鷹也”

2022年3月23日(水)東京都 WWW X
OPEN 18:15 / START 19:00

入場チケット

価格:全自由席6000円(税込)

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配信視聴チケット

価格:一般2800円(税込) / auスマートパスプレミアム会員2300円(税込)

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モチベーションはやっぱりライブ

──川崎さんは昨年12月にアルバム「カレンダー」、そして1月には新曲「Be yourself」のリリースと、精力的に活動されています。「魔法の絨毯」のヒット以降、多くの人にご自身の曲を聴いてもらえるようになって、環境の変化もあったと思いますが、今はどんなことをモチベーションに活動されていますか?

18歳のときからライブを続けてきて、当時はお客さんが3人とか5人とかでしたが、ステージからお客さんの反応を見ることが、僕にとって今も変わらない一番のモチベーションなんです。ライブとライブの間は、今自分がやろうとしていることや作っている曲が正しいのかどうかわからなくて不安になるから、地獄の日々と言ってもいいくらい(笑)。ライブでお客さんが少しでも反応してくれたら「間違ってなかったな」と思えるんです。だからどんなにつらいときも「次のライブまではがんばろう」と。コロナ禍に入ってから有観客ライブが頻繁にできなくなって、配信ライブを始めた当初はカメラに向かって歌うことになかなか慣れず、気持ちが乗らないなんてこともありました。でも、ここ数年はテレビやラジオに出演させてもらう機会が増えたことで、カメラや電波を通してもお客さんに音楽が届くんだということがやっと理解できるようになったんです。だから今のモチベーションは何かと聞かれたら、やっぱりステージに立ってライブをすること。お客さんがいても配信でも、パフォーマンスすることです。

──川崎さんは「カレンダー」や「ぼくのきもち」といった、人生の歩みがリアルに刻まれている歌をたくさん生み出されています。お忙しい中でも、お子さんをお風呂に入れたりと育児もされているそうですが、音楽活動と生活のバランスはどう取っているのでしょうか。

子供のお風呂、めっちゃ入れてますよ。今はイヤイヤ期のピークみたいで、僕が抱っこしても初めて会った人みたいな反応をされて「ママー!」って叫ばれたりしてヘコみますけど(笑)、楽しいですね。そもそも僕は音楽活動とプライベートを分けようという感覚があんまりないんです。おっしゃっていただいたように私生活がそのまま音楽に生きるタイプなので、家にいるのと同じような状態でこうして取材を受け(笑)、このまま帰りますから。そしてリビングや作業部屋で曲を書き、できたらすぐに奥さんに聴いてもらいます。僕はシンガーソングライターとしていい曲を生み出すには、メロディや歌詞よりも、人間力が重要だと思ってるんですよ。僕という人間がいかに胸を張ってカッコよくいられるか、それが音楽に直結するので。

川崎鷹也

──もともとそういう環境の中で曲を書いているからこそ、音楽活動と生活が地続きになっているんですね。

はい、レコーディングスタジオで合宿してアルバム作るとか絶対無理ですね(笑)。何もできないと思います。奥さんと会話したり、子供を抱っこしたりする中で曲が生まれるので。

──「ぼくのきもち」なんてまさにそうですよね。お子さんと出会ったからこそ書けた曲。

そうですね。あの曲って実は、僕は子供に向けた曲を書きたいと思ってたんですけど、奥さんに「子供からママに向けた曲を書いてよ」と言われたことがきっかけで書いたんですよ。そこでいろいろと考えるようになって。赤ちゃんってかわいいけど、育ててる親はしんどくて「もう嫌だ」と思うこともあるだろうし、それで自己嫌悪に陥っちゃったりすると思うんですよ。だから、お乳をあげたり、着替えさせたり、数時間置きに起こされたり、そんながんばっているママが救われるような曲を書きたいなと。赤ちゃんが音量マックスで泣き続けていて、どうしたらいいかわからないときに、赤ちゃんから「ありがとう」と伝えられたら少しでも気持ちが楽になるんじゃないかなという気持ちで歌詞を書きました。

だまされてもいい!と思う人とだけ一緒にいる

──そうだったんですね。先ほど、ライブがモチベーションだとおっしゃっていた川崎さんですが、3月23日開催のライブイベント「TOUCH」への出演が決まっていかがでしたか?

めっちゃうれしいです! しかもこういう、ちょっとレアで特別なステージを企画していただいて。僕らみたいに弾き語りのミュージシャンは音やアレンジでバリエーションを付けることが難しいので、歌い方を変えたりテンポ感を変えたり試行錯誤をしているんですけど。イベント全体で普段のライブとはちょっと違った見せ方ができるのって、すごく新鮮でワクワクします。

──ライブイベント「TOUCH」は「出会い」をテーマに掲げるイベントですが、大切な出会いと言って思い浮かぶ人は誰ですか?

いっぱいいますね。僕は今この瞬間に至るまで出会いに恵まれて歩んできたと思います。奥さんももちろんそうだし、事務所の社長もマネージャーもそう。出会った人で僕は人生が変わってきたんです。「この人のために歌おう」とか「この人が喜ぶからやろう」ということが僕の原動力になってきたから。その分、何かを一緒にやろうとするまでには人を慎重に見てるところはありますし、だからこそ一度協力した人とはなかなか離れない。その基準って、人間臭い人が好きとか、自分のことより相手のことを考えてる人が好きとか、いろいろあるんですけど。すごく冷たい言い方をすると、僕はずっと1人で活動を続けてきた中でいろんな経験をして、人は裏切るものなんだと思っているところがあって。だからこそ「この人にならだまされてもいい!」と思う人とだけ一緒にいるんです。

川崎鷹也

──テレビやラジオへの出演を通していろんなアーティストとも出会いがあるのでは?

ご挨拶はしても、そこで深い付き合いになったりすることはあんまりないんですけど、同じシンガーソングライターの優里くんや瑛人くんとは仲よくなりました。これはミュージシャンあるあるなのかもしれないですが、お互いに認め合えているというのは大事なのかもしれないですね。例えばライブ前の挨拶はよそよそしくても、同じステージでライブをしたあとは「めっちゃよかったです!」という感じで、そこで初めて腹を割って話せるようになるんです。瑛人くんも同じイベントに出て、ライブ後に時間を忘れるくらい話したし。優里くんもYouTubeの番組に呼んでいただいたのがはじめましてで、最初は2人とも警戒心がすごかったんですけど(笑)、カラオケでお互いに1曲ずつ歌ったときに“本当の出会い”ができたと感じています。

──なるほど。シンガーソングライター同士だからこそわかり合えて、プライベートでも親交が深まったりするんですね。

はい。ただ、初対面で僕の子供を抱っこしようとして嫌われたのは瑛人くんだけですね(笑)。彼は面白いですよ。