TOUCH×BIGMAMA|Zeppツアーに向け、心の琴線に触れる一瞬を

BIGMAMAが3月11日に東京・TSUTAYA O-EASTで行われるライブシリーズ「TOUCH」の第2弾に出演する。

「TOUCH」は“今”触れたいアーティストの音楽を、カルチャーの街・渋谷からジャンルレスに発信していくライブナタリーによる企画。リアルライブと生配信を併せたハイブリッドな形で公演が行われる。

BIGMAMAが出演する「TOUCH」第2回は、通常のライブとは異なり、パーソナリティに芦沢ムネトを迎えたトークコーナーを挟みつつ進行する内容。5月に東名阪ツアー「What a Beautiful Life ! 〜美しき我が人生を〜」を控えるBIGMAMAだが、彼らと親交のある人からのリクエストを受けたセットリストをこの日限りで用意してくれるという。音楽ナタリーではこのスペシャルなライブに向けてメンバーにインタビューを実施。「TOUCH」のテーマである“出会い”や“触れ合い”にちなみ、メンバー同士の出会いを聞きつつ、ライブに向けた意気込みについて話を聞いた。

取材・文 / 清本千尋 撮影 / 斎藤大嗣

教室に遅れて入ってきたときと同じ

──今回出演いただく「TOUCH」は“出会い”や“触れ合い”をテーマにしたイベントです。BIGMAMAは今から約20年前に同じ高校に通うメンバーで結成されました。

金井政人(Vo, G) もう20年? いよいよそれぐらいの大台に乗ってきたんですね。もうカッキー(柿沼広也)と(安井)英人とは人生の半分以上の付き合いがあるんだな。

柿沼広也(G, Vo) バンドを組んだのは17歳の頃だったもんね。

金井 ただ僕の中では、カッキーと英人は高校生の頃から変わってないと思っていて。

BIGMAMA

──安井さんは当時から長髪だったんですか?

安井英人(B) 高校生の頃は坊主に近い短髪でしたね。

東出真緒(Violin, Key, Cho) 今の長髪からは想像がつかないね(笑)。

金井 僕は出席番号がカッキーの次だったんですよ。座席も前後でカッキーからプリント用紙をもらうことが多かったんですけど、今カッキーから紙を渡される瞬間と、あのとき教室でプリント用紙を回してもらった瞬間の感覚は一緒だなと思っていて。それはすごく幸せでありがたいことだと思いますね。さすがに20年も前になると思い出せる記憶は断片的ですけど、2年K組で授業中に一緒に大貧民をしてたなみたいなことは覚えています。こうやって鮮明に残っている記憶があるということは、すごく濃度が高い日々を過ごしていたんだなと思います。

柿沼 俺もそういうのあるよ。BIGMAMAのライブはステージに順番にメンバーが入ってきて、金井が最後に入ってくるじゃん。その感じが高2の始業式に出ないで遅れてクラスに入ってきた金井の姿とぴったり重なるなと毎回ライブのたびに思うんです。

金井 始業式というものが苦手だったんですよね。トイレでみんなが式から戻ってくるのを待って合流しようとしていたのに、タイミングが合わずに1人で教室に入ることになったという(笑)。

柿沼 そうそう。ガラッと扉を開けてやってきた彼はどこに座るんだろうと思ったら俺の真後ろ(笑)。それが金井との出会いでしたね。

安井 僕と金井の出会いは高1だよね。初めて会ったときになんか金井が名前でボケたんです。内容は忘れちゃったんですけど、面白い人だなと思ったことを覚えています。それで高1で同じバンドを始めて、高2のとき金井とカッキーと同じクラスになった。

柿沼 金井って変わってるよね。それは今も同じなので、変わってることが変わらないなと思います。

あんなに熱心に口説かれたのは最初で最後だった

──東出さんと3人はどうやって出会ったんですか?

東出真緒(Violin, Key, Cho)

東出 BIGMAMAが1stアルバム「short films」でデビューした頃、私は神戸のライブハウスで働いていたんです。ファンだったのでBIGMAMAを中心にブッキングして、そのライブハウスに出てもらった日がみんなとの出会いです。初めて生で観たBIGMAMAは本当にキラキラしていてカッコよくて、終演後、金井くんに「私もバイオリンをやってるんですよ!」と話しかけたことを覚えています。次の日BIGMAMAは大阪でライブだったんですけど、初めて観たライブがカッコよすぎて大阪にも観に行きました。

──それぐらい素敵なライブだったんですね。

東出 はい。それで後日、バイオリンのメンバーが抜けるという発表があってびっくりしてたら金井くんから「東京でバイオリンを弾ける人を探しているんですが心当たりありませんか? もしくはご自身で興味はありませんか?」という連絡が来て。

──憧れのバンドの人からそんなふうに相談を受けてどんな気持ちでした?

東出 まず私は東京に住んでるわけじゃないし、東京で活動しているバイオリニストの知り合いなんていたかな……と思ったんですよね。そこからメールのやり取りをしたり、電話で3時間くらい話したり、東京でいかにバンドをやっていこうと思っているのかを金井くんから熱弁されて。あんなに熱心に口説かれたのは人生の中で最初で最後だったので、心を打たれて上京することに決めました。

──金井さんは東京で知り合いのバイオリニストがいないかと聞きつつも、最初から東出さんがいいなと思っていたんですか?

金井 当時の気持ちを推測するに、一刻も早く新しいバイオリニストを決めてまた動き出したかったんだと思います。真緒ちゃんがよかったのかというと、スタジオで合わせないことには何もわからないからとにかく合わせてみたかった。もともと僕らはクラスメイトにバイオリンを弾ける人がいたんで一緒にバンドをやり始めたんですよ。続けていくうちにそれがBIGMAMAにとってすごく大事な要素になったので、どうしてもバイオリニストを入れたかったんですよね。BIGMAMAのバイオリニストには、クラシックのバイオリンとはまた違うセンスが必要だった。そのセンスっていうのはきっとライブハウスやバンドに理解がある人じゃないと持ち得ないもので、ライブハウスで働く真緒ちゃんの「私もバイオリンをやっているんですよ!」という言葉が、2日連続でライブを観てくれたという印象と一緒に心に留まっていたんでしょうね。それで最初に思い浮かんだのが彼女でした。

安井 あの時期に関西にツアーで行ってなかったらこの未来はなかったよね。

──当時の真緒さんはほかにバンドを組んでいたんですか?

東出 ちょうど2カ月くらい前に辞めたところだったんですよ。だからものすごくいいタイミングのお誘いだったんですよね。