ナタリー PowerPush - TOTALFAT

勝負作「Wicked and Naked」でバンドの全てをさらけ出す

カッコいいものなら日本語でも英語でもどっちでもいい

──今回のアルバムは1曲目「ROCKERS IN DA HOUSE!!」から4曲目「PARTY PARTY」まで怒とうの流れですね。で、息つく間もなく4曲終わったところで始まる「Just Say Your Word」で、ハートをがっちり掴まれるという。それ以降も従来のTOTALFATの色と新しい色が入り交じってるんですが、とにかく流れというかテンポ間が非常に良いんです。

Shun 今回は頭の5曲で決めにいった感があって、ここに集約されてるなっていうのはほかのメンバーも感じてたようで。

Jose 頭5曲は本当に1曲1曲が作品として全部カッコいいものだって、胸を張って言えます。この前別の取材で「正直カッコいいもの、楽しいものに対しては、日本語でも英語でもどっちでもいいんだな」って言われたのがすごくうれしくて。僕らも日本語でやるからには伝えたいことはちゃんと伝わるようにしようって思ってるんですけど、それ以前に「この曲を聴いてほしい」っていう気持ちが強いんです。で、カッコいいと思ったその曲を何回も聴いてるうちに歌詞が刺さってくれたら、なおうれしいし。もちろん歌詞から入って何回も聴いてから「この曲、カッコいいな」って思ってくれてもいいんです。

Bunta アルバムに入ってる12曲全部、スルッと聴けるんですけど、実は意外と引っ掛かりのある曲ばかりだという。聴き終わったあと、頭の中に全曲の印象が残ってるんですよね。

──1曲1曲の個性が濃くて、しかも同じような曲がないという。例えばメロコアタイプの曲でも、どれも違って聴こえるんですよね。1曲1曲を取り出すと、どれもシングルとして発表できるような完成された曲で、それが12曲集まってもお互いを殺し合わず、すごく調和してる感じがあります。

インタビュー写真

Kuboty それは「DAMN HERO」を作れたからっていうのもあると思うんですよ。

Bunta 実は今回のアルバムって候補曲が13曲あったんですけど、1曲だけハードロックすぎちゃった曲があって。最終的に「今回はやめておこうか」って話になって今の12曲になったんです。

Jose 2~3年前からある曲なんですけど。

Bunta まだ寝かしておいたほうがいいってことになって。でも、以前だったら多分収録しちゃってたかもしれないですね。

Shun そういう意味では、この12曲は本当の意味で選抜された楽曲たちなんです。

Bunta 「DAMN HERO」は14曲入っていて、全部乗せ感があったんですけど、今回はふるいにかけられて残った12曲という。

Kuboty 15曲くらい入ってると、確かに若干被ったりしますからね。

「Good Bye, Good Luck」がアルバム終盤に果たす役割

──アルバムは後半の「Echoes Inside My Memories」から、ジャンルで言ったらバラバラな曲が並びます。特にスラッシュメタル調の「Fat or Die」で盛り上がった後に、ライブのアンセムといえる「Good Bye, Good Luck」を持ってくるあたりに、今のTOTALFATの強みを感じました。

Kuboty それはこのアルバムを通して聴いたときに、みんな思ったよね(笑)。

Shun 個人的に、アジカンの「マジックディスク」っていうアルバムがすごく好きで、全曲歌えるくらいめっちゃ聴いてるんです。

Bunta よく1人で歌ってたよね、車の中とかで(笑)。

Shun で、「マジックディスク」の最後の曲が「ソラニン」なんです。「ソラニン」って元々シングルで発売されてたし映画のテーマ曲にもなったから知ってる曲なんですけど、あのアルバムのラストで「ソラニン」のイントロが鳴った瞬間、「きた!」って感じがするんですよ。

Bunta それはわかるわ!

Shun TOTALFATに置き換えると、「Good Bye, Good Luck」はアルバム最後の曲ではないんですけど、「マジックディスク」における「ソラニン」に似た感覚が自分の中にあって。「マジックディスク」に入ることで「ソラニン」の聴こえ方が変わって「ソラニン」がもっと良く聴こえたのと同じ化学反応を、僕らもちゃんと起こせてるんだっていうところにすごく自信が持てたんです。ロックバンドとしてリスペクトしてる人たちにちょっと近付けたような気もしたし。

Jose 「Good Bye, Good Luck」を作った当初は、アルバムでは「Fat or Die」のあとに入れようなんて全く考えてなかったんですけど、いざ2曲が並んだときにお互いの曲の魅力を引っ張り出してくれるような曲順はちょっと意識しました。

Shun アルバム冒頭の「ROCKERS IN DA HOUSE!!」から「Place to Try」への流れでも同じ現象が起きてます。さっき言った「きた!」感があるんですよね。

Jose 曲順を決めるのも結構時間が掛かるんですよ。今までは最初にそれぞれ案を出し合って、1回まとめてから「じゃあまた話そうよ」って感じで何回もやり直してたんですけど、今回は1日というか、ほぼ1~2時間で決まっちゃって。みんなが出してきた曲順案がほぼ一緒で、最終的に2~3曲変えたくらい。

Bunta 今まではレコーディング前にあまりセッションをしなかったから、レコーディング中にその曲に対するイメージが変わってたのかもしれないけど、今回はスタジオである程度合わせてたから、その曲の持つイメージをメンバー全員が共有できてたんです。スタッフ陣の意見も僕らのものとそんなに変わらなかったよね。

ニューアルバム「Wicked and Naked」/ 2012年7月4日発売 / Ki/oon Music

CD収録曲
  1. ROCKERS IN DA HOUSE!!
  2. Place to Try
  3. X-stream
  4. PARTY PARTY
  5. Just Say Your Word
  6. Highway Mark4
  7. We Rise Again
  8. Echoes Inside My Memories
  9. Friend Never Sucks
  10. Fat or Die
  11. Good Bye, Good Luck
  12. The Naked Journey
初回限定盤DVD 収録内容
  • ROCKERS IN DA HOUSE!!(Studio Live)
  • Place to Try(Studio Live)
  • X-stream(Studio Live)
  • .Documentary Films & Interview
TOTALFAT(とーたるふぁっと)

2000年、同じ高校のメンバーにより八王子で結成。都内のライブハウスを中心に、精力的なライブ活動を展開する。2002年から全国ツアーを敢行。ライブバンドとしてその頭角を現す。2004年、ギタリストのKubotyが正式メンバーとして加入し、Shun(Vo, B)、Jose(Vo, G)、Bunta(Dr)、Kuboty(G)の4人でパワフルな活動を続けている。2008年以降は「PUNKSPRING」「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」「SUMMER SONIC」などの大型フェスに出演。また、GOOD CHARLOTTEやTHE OFFSPRINGの来日公演ではオープニングアクトを務めた。
2010年6月にKi/oon Records(現Ki/oon Music)からメジャー1stアルバム「OVER DRIVE」を発表。翌2011年5月には井上ジョーをフィーチャーした日本語詞のシングル「World of Glory with JOE INOUE」をリリースし、話題を集めた。続けて同月末にメジャー2ndアルバム「DAMN HERO」を発表。9月には全国ツアーのファイナル公演として、SHIBUYA-AXでワンマンライブを実施し大成功を収めた。同年11月に2ndシングル「Place to Try」を発売。2012年は1月に3rdシングル「Good Bye, Good Luck」、4月に4thシングル「PARTY PARTY」、7月にメジャー3rdアルバム「Wicked and Naked」を立て続けにリリースした。