ナタリー PowerPush - TOTALFAT
日本語詞を極めた新曲で新たな地平を切り開く
「末光さんに断られたら、このアレンジはボツにしよう」
──そして3曲目は「Place to Try」のリアレンジバージョン。末光篤さんのピアノが大々的にフィーチャーされていますが、どういう経緯で参加することになったんですか?
Shun Kubotyが末光さんのことをすごく好きで、僕らから一方的にオファーして。
Kuboty 面識はなかったけど、以前はTOTALFATと同じレーベルに所属していた、とても近い位置にいた人なんです。「Place to Try」を別の形でアレンジしてみるのはどうかとディレクターから提案があったときに、クラブ調とかリミックスとかいろんな案があったんですけど、その中で「ピアノバラード調がいいんじゃないか」って声が挙がって。じゃあ誰にピアノを弾いてもらおうかと考えたときに、末光さんしかあり得ないよねって意見が一致したんです。
Shun 「末光さんに断られたら、このアレンジはボツにしよう」って言ってたくらいで。
Kuboty 最初スタッフに「末光さんがダメだったらほかの人でもいい?」って言われたんですけど、「ダメです!」ってキッパリ断って。それで、まず「Place to Try」のデモに俺たちの要望を添えて末光さんに預けて、末光さんのアイデアが返ってきたらもうレコーディング。やり取りはその1回だけで、あとはレコーディングの直前に僕と末光さんでスタジオに入って、もうちょっと細かい詰めをしたくらい。Cメロのところには、末光さんのルーツでもあるクラシックの要素を足してもらって、ちょっとQUEENっぽい感じに仕上がりました。
Bunta この曲は基本的には一発録りなので、より生々しさが出てますよね。曲が盛り上がるパートになるにつれて、バンドの演奏がどんどん末光さんのピアノに引っ張られていくから、クリックとジャストのノリじゃないんですよ。でも、それがすごく心地よくて、いいセッションになったんじゃないかと。
Shun 一発録りならではの緊張感があるんだよね、この曲には。
メロディアスな曲はテンポに左右されない
──TOTALFATはメロコアシーンの中で活動してきたわけですが、今回みたいにスローナンバーを本格的にやるのはこれが初めて?
Shun そうですね、これまでも挑戦はしていたんですけど。
Kuboty アルバムの中の1曲としてはあるにはあったんですけども、胸を張って人にオススメできる段階ではなくて。
Bunta 以前は技術的にも、精神的もまだ俺らが追いついてなかったよね。
Kuboty 俺ら4人の足並みがちゃんと揃ったという意味では、これが初めてと言って間違いないと思います。
──メロディがしっかりしてる分、メロコアアレンジでもバラードアレンジでもどちらでも楽しめるし、改めて「Place to Try」はいい曲だなと実感しました。
Kuboty メロディアスな曲ってテンポを速くしても遅くしても、そこに左右されず強く響かせることができると思うんです。それを立証したかったわけじゃないけど、ただ速さでごまかしてるだけじゃないってことをわかってもらえたんじゃないかな。
Bunta あとさ、「Place to Try」のテンポをスローにしたら曲の長さが5分になったじゃん。ってことは、ほかのアーティストが5分ぐらいでやる内容をTOTALFATは3分でやってるってことなんだよね(笑)。
一同 あははは(笑)。
Kuboty それも立証されましたね。つまり、俺らの2時間のライブは、実質3時間半くらいの内容ってことなんですよ。
Bunta 生き急いでるね(笑)。
Jose 自分らがグッドメロディだと思ってやってきたものが、ちゃんとグッドメロディだったんだなってわかってホッとした部分もあったし、本当に勉強になりました。
Kuboty 末光さんが「TOTALFATの曲は完成度が高いからアレンジしやすかった」って言ってくれたのは、さすがにうれしかったね。
Jose あれはうれしかった。末光さんもTwitterで「すごく楽しかった、またやりたい」って言ってくれてたし。
Kuboty うん、また一緒にやりたいよね。
英語詞と日本語詞でやることが2倍になった
──今回のシングルは3曲とも本当にタイプがバラバラですが、バンドとしての多面性を楽しむことができる1枚になりましたね。
Shun このレンジの広さこそがTOTALFATの持ち味だと思うんです。特定の方向に偏ったものは、それを得意としている人たちにお任せすればいいし。あとは、TOTALFATには4人それぞれ異なるキャラがあるので、それを音楽に乗せて表に出さない手はないと思ってます。
──「Place to Try」と「Good Bye, Good Luck」を作ったことは、今後の活動の大きな糧になりそうですね。
Bunta 音楽的にも気持ち的にも、すげえデカイと思います。日本語詞の曲が増えてからツアーをすることで、お客さんからの新しいリアクションも増える。俺らにとって驚きがたくさんあると思うんで、そこへの期待も大きいです。そういう意味では、本当に「Place to Try」ができてよかったなって。
Kuboty 英語詞と日本語詞で、やることが2倍になった。もし今日本語詞をやってなかったらTOTALFATは12年で終わってたかもしれないし、逆に2倍になったことであと12年はやれる。
Jose 2周目に突入だ。
Kuboty とりあえず、今まで英語詞でやってきたことを全部日本語詞にしてやり直せば、もう12年できるかもしれないね。
CD収録曲
- Good Bye, Good Luck
- Attack Or Die
- Place toTry -Featuring Atsushi Suemitsu Version-
- Good Bye, Good Luck -NARUTO-ナルト-Opening Version-
- Good Bye, Good Luck -Instrumental-
DVD収録内容
- Good Bye, Good Luck (Music Clip)
- Livin’ for The Future(Live) *September 18th, 2011 SHIBUYA-AX,TOKYO
- Across The Chance (Live) *September 18th, 2011 SHIBUYA-AX,TOKYO
TOTALFAT(とーたるふぁっと)
2000年、同じ高校のメンバーにより八王子で結成。都内のライブハウスを中心に、精力的なライブ活動を展開する。2002年から全国ツアーを敢行。ライブバンドとしてその頭角を現す。2003年に1stアルバム「End on Introduction」をリリース。2004年、ギタリストのKubotyが正式メンバーとして加入し、Shun(Vo, B)、Jose(Vo, G)、Bunta(Dr)、Kuboty(G)の4人でパワフルな活動を継続中。数々のコンピレーションアルバムへの参加を経て、2005年にミニアルバム「Get It Better」を発表。2007年にはミニアルバム「Hello & Goodnight」をリリースし、GOOD CHARLOTTEの来日公演オープニングアクトに出演した。 2008年には「PUNKSPRING 08」に初出演を果たし、アルバム「ALL THE DREAMER,LIGHT THE DREAM」を発表。THE OFFSPRINGのジャパンツアーで日本人最多の7公演のオープニングアクトを務めた。2009年にはアルバム「FOR WHOM THE ROCK ROLLS」をリリース。「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2009」「SUMMER SONIC 2009」といった夏フェスに出演し、好評を博した。
2010年6月にKi/oon Recordsからメジャー1stアルバム「OVER DRIVE」を発表。翌2011年5月には井上ジョーをフィーチャーした日本語詞のシングル「World of Glory with JOE INOUE」をリリースし、話題を集めた。続けて同月末にメジャー2ndアルバム「DAMN HERO」を発表。9月には全国ツアーのファイナル公演として、SHIBUYA-AXでワンマンライブを実施し大成功を収めた。同年11月に2ndシングル「Place to Try」を発売。2012年1月には早くも3rdシングル「Good Bye, Good Luck」をリリースした。